【創作note】クロスロード/よそ者
古民家カフェの高い椅子にかけて足をぶらぶら浮かせながら夢の話を書いていた。テーブル席が空いても店主から引っ越しの提案もなく、覚悟を決めて書いた。夢の話を書いているので少し浮いているくらいがちょうどいい。90分もすると足を浮かせるのも疲れて店を出た。
グーグルのナビに従って細い道を歩き歩き、たどり着いたかどっこのうどん屋はまだ開いてない。更に足を伸ばす内にグーグルが居心地よしとする町の中華屋に着いた。扉を開けると薄暗い店内で男は夕方の情報番組を見ていた。
「いらっしゃい」
客席から立ち上がって明かりを灯したのが店主に違いない。
「五目ラーメン」
「はい」
奥の厨房に入り鍋を振る店主はタンクトップ一枚で旅する画家のように見えた。評判通り懐かしく落ち着いた味だった。
「ありがとう」
大将は笑いながら二度礼を言った。
歩き始めて現在地はよくわからなかった。
「ここはどこ?」
そこは初めて見るような交差点。
こんなところにバス停が。
こんなところにスーパーが。
こんなところに町の人が。
こんなところにマクドナルドが。
アイスコーヒーを頼むと100円だ。
安い! 昔から変わらないな!
二階に上がると人は疎らだ。
静かに勉強する中学生に交じって、自由に活動する小学生の姿が見えた。
角っこに腰掛けると居心地がよくて長居したくなった。
「寒くない!」
グーグルで調べてみると現在地は家からそう遠くない!
軽視していた中通りを突き進んだ先にある交差点だ!
ここのマクドナルドは24時間営業だ!
カーテンを引っ張り窓の外に何かを発見する男子
突然始まる記念撮影
意味不明の奇声
新しく生み出され続ける変顔
徐々にヒートアップする小学生
不思議なおどりを踊り始める
元気が余っているのだろう
pomeraを開き
小学生たちを意識の外に追い出して
自分の世界に入り込んだ
『小さな覚悟』
突然夜が明るくなったら
UFOがきたもんだ
「やっときたか」
えっ 僕じゃないの?
つかえてるの……
そっか
ここで頑張れって……
仕方ないね
6月終わりの日が暮れかけていく
まだ小学生は帰らない
宿題を終えた中学生が
ついに一緒になって踊り始めた
ここにいる子は「みんな友達」だ!
踊りが終わればもう下りていくはず
期待とは裏腹に
新しい友達が駆け上がってきた
塾が今終わったとこだとか
ヘイヘイヘイ!
勢いを増していく踊りの輪
パンパンパン!
頬を打つパーカッション
しまった!
「部外者」は僕だけだ!
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