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都立進学指導重点校と"種類物男子校"の[旧帝早慶以上進学率]を比較

前回のnoteでは、東京一工と早慶の合格数から、早慶への進学者を推定する式について考えました。

前回得られた推定式、
早慶進学者数 = ([早慶]合格者数 - [東京一工]合格者数*1.40)/1.84
を使って、
進学指導重点校(都立高校)と"種類物男子校"について、<旧帝早慶以上への進学率>を比較したいと思います。

前述の通り、一般的な難関大学として、また就職活動の学歴フィルターという意味合いにおいても旧帝早慶以上への進学率こそが首都圏の学校比較において非常に大きな関心事と思われるためです。

またいわゆる2番手校の括りにおいては東京一工医進学率は20%未満で、中央値、つまりボリュームゾーンはどの程度の進学実績かを推し量ることが難しいという問題点があります。旧帝早慶以上の進学率を推定することはこの点を克服するためにも良い方法と言えるのではないでしょうか。

ところで聞きなれない言葉ですが、"種類物男子校"とは何でしょうか。
ネットスラングですが、以下の法律用語(種類物)から転じて替えがきく同程度の男子校を総称して(自虐的に)いう言葉のようです。

しゅるい‐さいけん【種類債権】
一定の種類と分量だけを定め、その引き渡しを目的とする債権。米10キロ、ビール10ダースなど、どこにあるか特定できない物の引き渡しを請求する債権。不特定物債権。

デジタル大辞泉 「種類債権」

失礼な表現ではありますが、概念として都内の東大合格者数5人以上~20人以下の伝統ある男子校の総称として言い得て妙な面があるので今回はこの括りの学校について分析をしてみたいと思います。

なおもともとがスラングであることから特に学校群の定義はありませんが、以下のツイートにならって7校を分析対象とします。
(このnoteは以下のツイートから大きくインスパイアを受けております。)


以下の分析ではこのような前提を置いています。
・東京一工合格者は平均的に1.4回早慶に合格し、東京一工に進学する
・国医合格者・旧帝合格者は早慶には合格せず、それぞれ国医・旧帝に進学する(*但し国医には防衛医を含まない、*旧帝大等として神戸大を含む)
・早慶進学者は1人あたり平均1.84回早慶に合格し、早慶に進学する
上記以外の合格者および進学者は以下の分析において考慮しない

まずは都立高校(日比谷を除く進学指導重点校6校+代表的な自校作成校として新宿高校)を見てみたいと思います。

2023年度実績、インターエデュおよび各校公表値より

全て都立高校同士の比較ということで、一学年の人数はかなり近いです。SAPIX(高校受験)の偏差値順に東京一工医進学率・旧帝早慶進学率が並ぶ結果となりました。立地を除けばある意味で都立高校も"種類物"的だと言えるのかもしれません。

続いて"種類物男子校"7校の比較です。(偏差値は中学受験時)

2023年度実績、インターエデュおよび各校公表値より

東大合格人数では芝がトップでしたが、旧帝早慶への進学率を考えると本郷がトップになりました。

確かに、巷で言われているように進学指導重点校と"種類物男子校"の進学実績はかなり拮抗しているようでした。
難関大への進学率を散布図に表現したものが下図となります。SAPIX偏差値は小学部と中学部のものをそれぞれ使用しているので直接的な比較はできないと思われますが、進学実績を見るに3程度は小学部(中学受験)の偏差値の方が実質的に高いかもしれません。

2023年度実績より、カッコ内はSAPIX偏差値(男子)

今回の結論は以下の通りです

・二番手校群の比較において、東京一工医進学率は20%を切っており、ボリュームゾーンの実績を比較しづらいという問題点がある。<旧帝早慶以上進学率>を推定することでより具体的に進学先のイメージを掴むことが出来る。
・進学指導重点校と"種類物男子校"は東京一工医進学率および<旧帝早慶以上進学率>の両方において進学実績はかなり拮抗していることが分かった。

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