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東京大学、二足歩行バイオハイブリッドロボットを開発

2024年1月27日、東京大学の研究グループは、培養骨格筋組織と人工素材を活用して人間の歩行や動きを模倣した二足歩行バイオハイブリッドロボットを開発したと発表した。この研究成果は、「Matter」誌に発表された。
 
この二足歩行ロボットは、柔軟基板を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)製の足、歩行動作を実現するための重り、培養液中で直立姿勢を維持するための浮き、そして、培養骨格筋組織から構成されている。各脚に取り付けられた実験室培養の骨格筋組織に電気刺激を与えることで、5.4mm/分の速度での歩行が実現されたほか、重りが軸足の固定を可能にし、回旋率が従来の同様のロボットの5倍強という細やかな旋回動作が可能となった。
 
研究チームは、より高速な電気刺激のために電極を統合し、より洗練された動きのために厚い筋肉組織と関節を組み込むことによって、ロボットの能力を向上させることを目指しているが、生体組織を維持するための栄養供給システムの統合などが今後の技術改良の課題として残っている。このようなハードルがあるにもかかわらず、このバイオハイブリッドロボットの開発に成功したことは、ヒトの歩行メカニズムの理解を深め、薬剤による運動改善効果解析や効能解析、疾患骨格筋組織を用いた疾患の病態解析など様々な状態での運動モデルを提供し、薬学・医学分野への応用が期待される。
 
出典:
2024年1月27日付 東京大学プレスリリース(日本語)
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400231342.pdf 
2024年1月26日発行 Matter “Biohybrid bipedal robot powered by skeletal muscle tissue”
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590238523006483
2024年1月26日付 TechXplore英語)
https://techxplore.com/news/2024-01-scientists-legged-robot-powered-muscle.html