[5月8日]今週のブック特集(王様のブランチより)

こんばんは、robin1101と申します。 

久しぶりに書かせていただきます。先週と先々週の放送回ではお笑い芸人(ぼる塾・イモトアヤコ)が選ぶマンガや本を特集していました。

小説を紹介していませんでしたが、何を紹介していたのか、後日書かせていただきます。


さて、 今回は、この作品を特集していました。

潮谷験さんの「スイッチ 悪意の実験」です。

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話の内容としましては、

大学時代の先輩から誘われたバイト。それは、有名な心理コンサルタントが発案したもの。何かはわからないまま、とある家族が経営するパン屋に訪問する。決して美味しいというわけではなく、普通の味で、経営としてはいかがなものかという感想だった。そんな時、実験として、スマホにあるスイッチがインストールされた。それは押しても押さなくても1ヶ月後に100万円が入るというもの。でも、もし押した場合、訪問したパン屋の出資を中止し、その家族は破滅にさせるのであった。


如何でしょうか。表紙の内容に興味が湧きましたので、購入してみました。


第63回メフィスト賞を受賞した作品で、巧みな心理や衝撃的な展開に圧倒されました。

てっきりスイッチを押すか押さないまでの緊迫の1ヶ月間を描くのかなと思ったら、それは前半で終わり、その先には殺人や疑惑、隠された真相など、「スイッチ」による心理も面白かったですが、その後の展開が予想もつかないことだらけで、ついつい惹きこまれました。


ストーリーも面白かったですが、登場人物のキャラクター性も面白かったです。登場人物の半数は、「狂気」性のある人物ばかりで、人間が一番怖いのではと思ってしまいました。


特に心理コンサルタント。この人物の狂気が異常でした。
「普通」という概念がないのではと思うくらい、側から見たら異常性を放っていました。目に見えるものは何でも実証実験という感覚で、冷静に分析しているところが恐怖を増していました。


そして実験にされた被験者の6人。みんな違った考え方や解釈をもっていて、それがどうストーリーに影響を与えるのか。それぞれの持ち前を発揮しているので、みんな、ある意味光っていました。


この作品では、ある架空の宗教が登場します。その概念はフィクションですが、実際にあるのでは?と思うくらい、しっくりくるものがありました。こうして、のめりこむのではとも思ってしまいました。


巧みに使う言葉。一つ一つに言霊があるかのように人間って言葉だけで、惑わせるんだということを証明されたようで、ちょっと恐怖も感じました。


個人的には、心理コンサルタントの態度や態度には、イラッとしましたし、主人公よりもあまり活躍してほしくなかったという不満はありましたが、言葉を巧みに使って、ここまで話が発展するとは予想がつきませんでした。


何が「悪」で、何が「善」なのか。紙一重なのかと思いました。善意だったことが、人によっては悪意だと感じる人もいます。色んな「悪」の概念が描かれていましたが、結局のところ、人それぞれの解釈があり、答えを導き出すのは困難かと感じました。


要は、胡散臭いことには関与しない。これが正直な思いでした。


ちなみに潮谷さんの次回作は、2021年夏に出版されるということで、ぜひ読んでみたいなと思いました。

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