Goto読書で想像旅行を①

おはようございます、robin1101と申します。

今回は、Go to 読書について特集します。

元々、この企画は未来屋書店 石巻店のTwitterから始まりました。
「作家さんを応援し、作家さんと本好きさんをつなぐ売場をつくりたい」という想いから、各都道府県を舞台とした作品を募集すると、大きな反響があったそうです。

今や、未来屋書店だけでなく、他の書店でも展開されています。まだ実際の書店で拝見していないですが、画像を見る限りでは、知らない作品が多く、どんな作品か、ちょっと読んでみたくなりました。

知っている作品では、〇〇が舞台ですが、あまり地元の描写って描かれてないのでは?というのもあります。

でも、そこはお構いなし!!

本を読むきっかけになっていただければいいかなと思います。


そこで、私もいくつか都道府県あるいは外国を舞台にした作品を紹介します。今回は5作品です。

1、県庁おもてなし課/有川浩

とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、人気作家に観光特使を依頼するが、しかし……!? お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の奮闘が始まった!

「Goto読書」と聞いて、一番最初に頭に浮かんだのは、この作品です。

高知の実際にある課を舞台にした物語ということで、面白かったです。有川さんは、「図書館戦争」や「空飛ぶ広報室」など意外なところから攻めてくる作品が多くあり、次作はどんな物語が発売されるか楽しみな作家の一人です。

高知をPRするだけでなく、役所と民間の感覚の違いなども織り混ぜながら、ちょっとしたビジネス書としても楽しめることができました。

いつもの恋愛要素ありで、文章が読みやすく、エンタメ性があって、最後まで飽きさせませんでした。いつか、高知へ行ってみたいなと思わせてくれました。

2、アンマーとぼくら/有川浩

母の予定に付き合う約束で沖縄に里帰りしたリョウ。実の母は子供の頃に亡くなり、再婚してリョウを連れ沖縄に移り住んだ父ももういない。休暇は三日。家族の思い出の場所をめぐるうち、リョウは不思議な感覚にとらわれる。この三日が、恐らくタイムリミット。三日目が終わったら……終わったら、どうなる?
「過去は変えられない。分かるよね?」
「言いたかったことは、今の君が言えばいい」
「頑張れ。君はもう大人なんだから」
一体、ぼくに何が起こっている?

次は、同じ有川さんの作品を紹介します。舞台は沖縄県です。

目覚めてみると、そこは那覇空港のベンチ。
なぜここにいるのか?それまでの記憶が思い出せないまま、沖縄に移り住んだおかあさんの休暇に3日間付き合うことになった。思い出の場所に巡っていくうちに亡くなったお父さんの知らなかった一面を知ることに。

物語の構成は、「旅猫リポート」のような感じがしました。
過去を振り返りながら、結末に驚きの展開が待っています。

大人のおとぎ話を読んでいるようで、懐かしさやゆったり感がありました。沖縄の文化や食べ物、自然などふんだんに盛り込まれていて、いつか行ってみたいなと思わせてくれました。沖縄のあらゆる所を紹介しているので、行きたいリストに書いとこうと思いました。

現在と過去を交互に物語は進行するのですが、切り替えがぶつ切りではなく、フェードイン・フェードアウトのような自然な流れで切り替わるので、違和感なく溶け込んでいる印象でした。
主人公よりも「おかあさん」の存在が際立っていて、良い味を出してくれます。血の繋がらない親子ですが、段々と絆が深まってくるのは、読んでいて感動させてくれました。
そして、その先にわかる真相。それがわかった後のある物の存在。涙を誘いました。

家族っていいなと思わせてくれた作品でした。

3、青ノ果テ   花巻農芸高校地学部の夏/伊与原新

カムパネルラが死んだ場所で、彼女は消えた――。
あの朝、東京から来た「そいつ」は、幼なじみの七夏の机に腰かけていた。
あれが始まりだった・・・。無邪気だった僕たちの、「終わりの始まり」。 知らずに済んでいたこと。誰もが、一人で解決しなくちゃいけないこと。
それは、「カムパネルラが死なない」世界。
僕たちは、本当のことなんて、1ミリも知らなかった――。 <<; br>東京から深澤が転校してきてから、壮多も、幼なじみの七夏も、何かが少しずつおかしくなった。壮多は怪我で「鹿踊り部」のメンバーを外され、七夏からは笑顔が消え、そして突然姿を消した。
そんな中、壮多は深澤と先輩の三人で、宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅に出る。花巻から早池峰山、種山高原と走り抜け、鱒沢駅から三陸を回り岩手山、八幡平へ。僕たちの「答え」は、その道の先に見つかるだろうか・・・。
叙情的でありながら、透明感のある文章。いま最も注目される著者が、「青」のきらめきを一瞬の夏に描く傑作。

こちらの作品は、岩手県が舞台です。別の作品「八月の銀の雪」が直木賞候補や本屋大賞ノミネート作品にも選ばれていて、注目されています。


東京から入学してきた謎の転校生。ひょんなことから地学部を作ることになり、そこから宮沢賢治ゆかりの地を旅することになります。しかし幼なじみが旅へ行かずに音信不通に。それは何故なのか?転校生の正体とは?

宮沢賢治の作品、特に「銀河鉄道の夜」についてのことがふんだんに盛り込まれていて、宮沢賢治ファンの方には、より楽しめるかと思います。盛岡へは行ったことはないですが、情景描写が繊細で美しかったです。その周辺を知っている人には、大いに楽しめると思います。また、地質について豊富に描かれています。ブラタモリを見ているようで、勉強になった感覚がありました。一緒に旅をしているようで、面白かったです。

表紙や帯を見る限り、ミステリー?な感じがしましたが、全体としては青春小説でした。時にブラタモリ?、時にちょっとシリアス?と読み進めれば進むほど様々な雰囲気を味わうことができました。

幼なじみの真相や転校生の正体がわかってくると、なんとなくミステリー小説を読んでいる感覚がありました。それぐらい通づる理由でした。しかしこの作品は、それぞれの高校生達の情熱や苦悩が描かれている青春小説として楽しめました。もう一回「銀河鉄道の夜」読んでみようかなと思わせてくれるかと思います。

4、ひとり旅日和/秋川滝美

ひとり旅、勇気を出していってみたら、そこは知らない世界が広がっていた!
人見知りで要領の悪い日和は、なんとか就職した就職先でも叱られてばかり。自分は仕事に向いていないのではないかと悩んでいると、社長から気晴らしに旅に出ることを勧められる。最初はひとり旅など無理だと尻込みしていたが、旅好きの同僚に後押しされ、旅に出ることに。最初は日帰りができる熱海へ。神社を訪れ、出来立てのゆで卵の味に舌鼓を打ち、干物の味に感動! さらにそこには、思わぬ出会いが待っていた。ひとり旅の楽しさに気付いた日和は、さらに、佐原、仙台、金沢、博多へと遠くへ足を延ばしていくようになる。少しずつ日和の成長していく姿は、仕事にも影響し始めて、周りの目も少しずつ変わっていく――

こちらは、色んな場所を紹介しています。

一人旅が好きな私にとっては、ひとり旅の「あるある」が多く点在していました。一部、これはナイでしょとツッコミたくなるところもありますが、そのへんは小説ならではの面白さで楽しめました。

全5章からなる連作短編集で、熱海、佐原、仙台、金沢、博多を旅しています。ふとしたきっかけから、ひとり旅を始めるようになり、人付き合いが苦手な主人公が回を重ねるごとにどんどん成長していきます。最初は日帰り、そこから1泊2日、2泊3日へとグレードが上がったり、○○デビューのハードルがあがったりとさすがに少ない回数で凄いなと感心してしまいました。
ひとり旅の醍醐味は、一人で様々なことが自由に満喫できるということもありますが、この本では、主にグルメについて詳しく書かれています。
これを書いているときに作者について調べましたが、結構食べ物についての作品が多く発売されているんですね。秋川さんの作品は初めて読んだのですが、食べ物が美味しそうに描かれているのが印象的でした。

内容としては、テレビドラマで見た「孤独のグルメ」のような解説があったり、ひとり旅の旅日記っぽく書かれていたりとエッセイのような感じがしました。
旅以外では、主人公の職場の描写が書かれています。旅が好きな先輩女子、嫌みな上司など登場人物が少ないけれども特徴ある人たちばかりで面白かったです。
ひとり旅の魅力だけでなく、何かに夢中になることで、それが仕事やコミュニケーションなど何かの役に立てられるんじゃないかと思いました。無駄なことや失敗したことを話のネタにもなりますし、盛り上がることもあります。
何気ないきっかけが夢中になったり、仕事へとつながることもあります。この本をきっかけに新たに探してみることも良いかなと思いました。

5、谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題/東川篤哉

ゆるすぎる名探偵&迷推理女子による、猫とユーモアたっぷりの本格ミステリ
下町情緒あふれる東京の谷根千(谷中・根津・千駄木) の路地裏にある、隠れ家的雑貨屋「怪運堂」。明るさだけが取り柄の女子大生・岩篠つみれは、ミステリアスな店主・竹田津優介の秘められた探偵の素質に気付く。部屋中の物が逆さまになった謎などの怪事件を持ち込むと、竹田津は猫をかまったり寄り道ばかりしながらも、鮮やかに真相を解き明かしていく――
謎解きと下町散歩はよく似合う。猫&ユーモアたっぷりの本格ミステリ

こちらは、東京にある谷中・根津・千駄木の3つの町を舞台にしています。東川さんは「謎解きはディナーのあとで」「放課後はミステリーとともに」で有名かと思います。


表紙から想像するに、ほんわかとしたほのぼのミステリーかと思っていたら、殺人事件があり、意外と本格的でしたので、驚きました。

全4話の連作短編集で、本格ミステリーですが、ツッコミあり、個性あふれる登場人物ありとエンタメ性のある作品でした。

東川さんというと、登場人物の名前に特徴があり、印象深いのですが、今回は特に印象深かったです。
主人公は、女子大生の岩篠つみれ。言葉で言うと、食べ物に聞こえてしまいますが、名前です。
兄は岩篠なめ郎。谷中にある鰯をメインにした海鮮居酒屋「鰯の吾郎」を切り盛りしている。元々父の吾郎が始めた店で、苗字が岩篠という単純な理由で、鰯を専門にしたという。
どこからツッコミを入れたらいいかわからないくらい、特殊な状態に思わず笑ってしまいました。また他にも良いセンスと思うくらい、名前に特徴のある登場人物が登場するので、大いに楽しめました。

舞台は東京にある谷根千(谷中・根津・千駄木)。そこで起きる小さな事件が意外な展開に進み、さらにドンデン返しもあるので、面白かったです。
みんなキャラが濃すぎるくらい、一人一人の個性が引き立っていました。文章がシリアスではなく、漫才などお笑い要素のある文章で、読みやすくクスッとさせてくれるので、ついつい続きが読みたくなりました。

つみれとひょんなことから出会って一緒にコンビを組むことになった雑貨店主の竹田津が、様々な事件を解いていきます。お互いの欠点を補いながら、事件を推理していく姿には、読んでいて楽しく、良いコンビだなと思わせてくれます。
多分、続編があるのではと思いました。
竹田津となめ郎の過去も気になりましたし、もっと二人の活躍が見たいなと思いました。


今回

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