[3月13日]今週のブック特集(王様のブランチより)

こんばんは、robin1101と申します。

今週のブック特集は、この作品を紹介していました。


伽古屋圭市さんの「かすがい食堂」です。

激務の末にロケ先で怪我を負い、心身ともにダメージを負った楓子は憧れて入った映像制作会社を25歳で退職した。実家で無為徒食の生活を過ごした後、80歳になる祖母が営んでいた東京・下町の駄菓子屋「かすがい」を継ぐことになった。
1ヶ月経ち、「おばちゃん」と子どもたちに呼ばれるのにも慣れ、常連の子の顔と名前も覚えて来た頃、ひとりの少年の存在に気がつく。夕刻にやって来てきっちり300円分の菓子を買って帰るのだ。その理由に気がついた楓子がとった行動とは──(第一話 その名も『かすがい食堂』)。
貧困、いじめ、摂食障害など問題を抱える子どもたちのために、楓子は店の奥の台所で食事を提供することにした。肉汁のあふれるハンバーグ、もりもりごはんが進む野菜炒め、みんなで囲む寄せ鍋……!!
楽しく温かい食卓を描く全四話。

ということで早速購入してみました。

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約200ページで、量としては少なめでしたが、貧困やイジメ、拒食症といった社会問題を扱いながら、食堂を通じて、人との交流や食事のありがたさ・楽しさが描かれていました。

題名の「かすがい食堂」ですが、「かすがい」は母方の姓が春日井ということです。「食堂」は、普段は駄菓子屋として経営していますが、ある出来事がきっかけでこども食堂のような食堂を作ることになりました。

全4話の連作短編集で、1話ごとに何かしらの事情を抱えた少年少女が登場します。ミステリー作家ということもあり、何か過去に起きたのでは?と匂わせるような文章で想像を掻き立ててくれました。

いじめなど重いテーマでしたが、そんなにシリアスさはなく、気持ちを軽めにしてくれるような文章でした。
また、食事のシーンでは、美味しそうなメニューや楽しそうな登場人物たちに気持ちを温かくさせてくれるので、全体的に比較的読みやすい印象でした。

なかなか子供の問題には、スッキリ解決‼︎とまではいきませんが、良い方向へいくよう、努力している姿が描かれています。楓子はプロではないので、スマホから得られる情報を基にして、対応していますが、真摯に向き合う姿には感銘を受けました。

また、祖母の存在感も良かったです。経験を重ねてきたからこそ、出てくる言葉も印象的で、スカッともさせてくれました。

昔よりは減ってしまった近所付き合い。人との交流で、助かることもあります。改めて人との交流がいかに大切であるかということを感じました。みんなで食べる食事は、読んでいてほっこりした気持ちになりましたし、「食事」の大切さ・ありがたみを改めて感じさせてくれました。


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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