Goto読書で想像旅行を② ー東日本部門ー

こんばんは、robin1101と申します。

今回は、Go to 読書第2回について特集します。

各都道府県を舞台にした作品が、全国の書店で展開していて、その波に乗ろうと前回5作品を紹介しました。

1、県庁おもてなし課/有川浩(舞台:高知県)
2、アンマーとぼくら/有川浩(舞台:沖縄県)
3、青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏/伊与原新(舞台:岩手県)
4、ひとり旅日和/秋川滝美(舞台:静岡・千葉・宮城・石川・福岡県)
5、谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題/東川篤哉(舞台:東京都)

他にも多くの作品があり、リストアップしてみたら・・・


結構な数に・・・。


そこで、個人的に

「ちょっと行ってみようかな」
「行った気分になれた」

など都道府県を舞台にしただけでなく、実際の場所やその土地での雰囲気などを味わえるような作品を紹介しようと思います。

しかし、それでも多くありますので、

ー東日本部門ー
ー西日本部門ー
ー施設部門ー
ー交通手段部門ー
ー運動部門ー
ー他県混合部門ー
(番外)ー外国部門ー

部門ごとに分けてみました。

あくまでも自分が読んだ中でですので、参考になれば幸いです。


今日は東日本部門5作品を紹介します。

ー東日本部門ー

1、立待岬の鷗が見ていた/平石貴樹(舞台:北海道)

この作品は、北海道の函館が舞台となっています。

5年前に起きた未解決の3つの殺人事件や傷害致死事件。
その事件に関係する小説家。
以前別の殺人事件を解決したことのある青年に捜査を依頼し、解決へと導いていきます。

函館物語の第2弾ということですが、第1作目を見ていませんが、全然楽しめました。
函館を舞台にしているので、その地域に馴染みのある方は、地名が出てくると親近感が湧くのではないかと思います。
一つずつ積み上げるかのように3つの事件や小説家の出版した作品の内容を順々に紹介していくので、きちんとした安定感のある作品だなという印象でした。
ただ、あまり盛り上がりがなく、会議室で捜査会議を聞いてるかのような淡々さが窺え、特に登場人物の心理描写が描かれていないので、後半まで長く感じてしまいました。事件の登場人物だけでなく、小説家の作品の登場人物も加わるので、ちょっと戸惑いはありました。

後半まで、じっくりと描かれた分、最後は青年の鮮やかな推理が披露されますが、なるほどと思わず納得感がありました。その部分は長く感じることなく、世界観に浸っていました。
じっくり小説の世界観・雰囲気を味わいたい方にはおすすめかなと思いました。


2、雲を紡ぐ/伊吹有喜(舞台:岩手県)

壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。
「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語る今作は、読む人の心を優しく綴んでくれる一冊になりました。

この作品は、岩手県の盛岡が舞台となっています。

家族との心の距離感を中心にそれぞれの登場人物がどう前に進もうとするのか描かれています。

主人公は、高校生の美緒。いじめが原因で不登校に。家族内でも喧嘩が発生し、衝動的に父方の祖父が住む岩手県へ。祖父は、ホームスパン(家庭で紡いだ糸を織った織物という意味)の工房を主宰している。そこで美緒の心境が変化していきます。

短気な母、寡黙な父、それぞれの立場に立ってみると、決して悪い人ではないということが伺えます。

糸として頭に浮かんだのは、中島みゆきさんの「糸」。縦の糸はあなた、横の糸は私という歌詞があります。時が経つと、いつしかどちらかが強く引っ張ることになり、うまくいきません。さらに子供という糸も加わると、なかなか思うようには完成されません。
そんな構図が、この作品にあるように感じました。

色んな悩みを抱えている人にぜひ読んで欲しいなと思いました。これからの選択肢はいっぱいありますし、そのままという答えも正解かもしれません。しかし、何かやってみないと道は開けません。これは正解、あれはダメということを相手からではなく、この作品では自分から徐々に選択を見つけようとしています。無理やり感というのがなく、自然な感じがして、違和感なく読めました。文章も読みやすく、スーっと世界観に溶け込めました。

親子との距離感やいじめや不登校の問題を交えながら、ホームスパンの世界を舞台に上手く調和されていました。

盛岡というと、冷麺やわんこそばのイメージぐらいしかありませんでしたが、盛岡の様々なローカル話も描かれていて、ちょっと行ってみたくなりました。
読み終わった後、心を優しくさせてくれる作品でした。


3、ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎(舞台:宮城県)

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

伊坂さんといえば、宮城県仙台を舞台にした作品が多く出版されていますが、その中でも仙台の場所を多く紹介しているのでは?と思ったのが、この作品です。

無実なのに首相殺害の罪で追いかけられる。スリリングな展開や最初は退屈かなと思いきや、段々とパズルがハマるかのような興奮感がなんとも言えませんでした。ただ、黒幕がモヤッとしていて、はっきりとは描かれていません。時系列が行ったり来たりと様々な戸惑いはありましたが、あの時の・・・という発見の楽しみを味わえるので、面白かったです。

メディアによる影響力や個人情報による問題といった現代社会を物語るのもあり、他人事ではないようにも感じました。

本屋大賞受賞作でもあり、映画化もされているので、興味ある方はぜひ。

4、ヨシケイ/天沢夏月(舞台:東京都)

慢性的な人数不足に悩む離島・大島の渚台高校陸上部に、奇跡的に男子4人のスプリンターが揃った。インターハイ予選を目前に控え、100×4リレー(四継)に挑むことになるが、メンバーの人間関係はサイアク……。
天才的な兄の存在から屈折してリレーをやりたがらない1走、自信がなくスランプを抱えたエースの2走、強豪校から逃げてきた転校生の3走、リレーへの思い入れが強いばかりに保守的で頭でっかちな部長の4走アンカー。
はじめはリレーで重要なバトンの繋ぎもまったくうまくいかなかった4人だが、お互いが本音でぶつかり合ううちに、しだいにチームに変化が――。
4人のバトンが繋がるとき、感動に胸が熱くなる。最高の青春スポーツ小説!

東京の離島・大島の高校陸上部を舞台に4人の高校生を中心とした4✖️100mリレー(四継)にかける戦いを描いています。初めはバラバラだった関係が、次第に団結力をもっていく様子は爽やかな青春さを感じさせてくれました。

物語の構成としては、各章ごとに4人それぞれが主人公となって、進行します。バトンを渡すかのように次の章へ気持ち良く受け渡している工夫がされていて、その構成が面白かったです。同じ場面でも登場人物の視点によって、解釈が異なっていくので、奥行き感がありましたし、異なった楽しみ方を味わえました。

4人それぞれには、何かしらの悩みを持っていますが、リレーを通して、最後には迷いを断ち切るかのように芯のしっかりとした姿へと成長していきます。
リレーは単純に速いだけで勝つわけではなく、瞬発力や団結力といった様々な要素が詰まっています。その辺の高校生達がどのようにして、勝利へと導いていくのか。青春さを感じながら、良い風を浴びたように感じました。特に次の人に繋ぐ一瞬のタイミングにハラハラしました、

手に汗握るリレーの熱き戦いももちろん楽しめたのですが、離島の大島の魅力も楽しめました。大島の自然や歴史といった紹介が描かれていて、ちょっと行ってみたくなりました。

5、祈りの幕が下りる時/東野圭吾(舞台:東京都)

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。
明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。
シリーズ最大の謎が決着する。
吉川英治文学賞受賞作。

テレビドラマ化・映画化もされた作品です。

「祈りの幕が下りる時」では日本橋など周囲の橋が重要なキーワードとなって登場しています。
その他にも「新参者」では人形町、「麒麟の翼」では日本橋を舞台にしています。その土地での人情や実際の場所がミステリーと絡んでいて、どんなところなのか他の作品とセットで行ってみたいなと思いました。

加賀恭一郎シリーズの最終作。
シリーズの中で、上位に入るくらいの素晴らしい作品でした。
加賀シリーズは、毎回人々の心を丁寧に描いていて、重厚感があって楽しませていますが、今作は、より内面の部分を深く切り込んでいたなと思いました。

松本清張の「砂の器」を彷彿とさせるストーリーで、親と子の愛情の深さにウルっときてしまいましたし、それでいてミステリーとしても楽しめました。
本の量としては、厚めですが、あっという間に読めました。
改めて東野圭吾さんって凄いなとより一層ファンになった作品ということで、結構前に読みましたが、今でも記憶に残っています。


以上、東日本部門を紹介させていただきました。

次回はー西日本部門ーを紹介します。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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