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観戦記2: 4/3ヤクルト戦○ 打順変更は今後も奏功するか?

開幕して一週間が経過し、早くもリーグ最下位に沈んでしまった我らがドラゴンズ。駒不足の先発陣に、ビシエド&高橋周に頼りきりの打線と課題は山積しておりますが、そんなチームに喝を入れるべく日曜の神宮球場に乗り込みました。

普段はレフトスタンドでウインナー盛りをつまみながらゆったり観戦するのですが、今回はヤクルトファンの後輩も伴っての観戦のため、中立を保つためバックネット裏からの観戦となりました。プロ野球の試合をバックネット裏で見る機会も(キビしい懐事情では)中々ないため、いつもとは違い視点からの観戦を楽しんできました。

開幕9戦目で初の先制タイムリー

試合はヤクルト先発ドラ1ルーキー原樹理、中日先発ネイラーでスタート。両投手とも立ち上がりからテンポよくストライクゾーンに球威あるボールを投げ込み、序盤3回までを非常に少ない球数で投げ抜きました。原樹理投手は内外角に切れ味鋭いスライダー、シュートを投げ込みゴロを量産。また時折カウント球として投じる大きなカーブも効果的で、ルーキーながらドラゴンズ打線を手玉に取っていました。

試合が動いたのは4回。荒木選手がセンター前ヒットで出塁すると、すかさず盗塁。続く3番平田選手が四球で歩くと、初回のチャンスで凡退していたビシエド選手がセンター前へ痛烈なゴロ。ショート今浪選手の左をあっという間に抜けていくヒットで、ドラゴンズは開幕9戦目にして初めての先制点をゲットしました。

ドラゴンズ先発ネイラー投手は球威あるカットボールを主体にヤクルト重量打線を抑え込んでいましたが、5回にツーベースヒットを放った後からそのピッチングが一変。制球が乱れ、次第にボールも真ん中付近に集まるようになってしまいました。5回のピンチはなんとか守りましたが、6回にはこらえきれず、山田選手に逆転の2点タイムリーツーベースを浴びてしまいます。

正捕手争い過熱!桂逆転ツーランHR

このまま原樹理投手にプロ初勝利を献上か・・と思った矢先、今日のドラゴンズ打線は一味違いました。好調続く高橋周選手が甘いフォークを痛烈にライト前へ運ぶと、ツーアウトから打席には今日ノーヒットの桂選手。

真ん中に入った甘いカットボールを逃さず振り抜き、打球はドラゴンズファンの待つレフトスタンドへ。今季第1号となる逆転のツーランホームランとなりました。これで桂選手はスタメン起用時の全試合でヒットを放ったこととなり、同じく連続安打を続けるライバル杉山選手との激しい競争となっています。

その後ネイラー選手はピンチを招き7回途中で降板しますが、後を継いだ左のワンポイント小川選手、セットアッパー田島選手、クローザー福谷選手がなんとかリードを守りきり、昨季王者ヤクルトに今季初勝利。神宮での3連敗を阻止し、私自身にとっても今季現地観戦初勝利となりました。

3番遠藤外しは限定的?ショート&レフトの気になる起用法

今日の試合を見てまず気になったのは、スタメンが大きく様変わりしていた点です。これまでセカンド、ライト、キャッチャーが相手投手によって(また平田選手の怪我によって)選手が流動的に変わることはありましたが、打順そのものが変更することはありませんでした。しかし今日の試合では不振の遠藤選手・藤井選手がスタメンから外れるなど一部で打順の変更がありました。

【4/3ヤクルト戦スタメン】
1 CF 大島
2 2B 荒木
3 RF 平田
4 1B ビシエド
5 LF ナニータ
6 3B 高橋周
7 SS 堂上

8 C 桂
9 P ネイラー

遠藤選手に代わって3番には平田選手。5番には藤井選手に代わって入ったナニータ選手が繰り上がり、これまで全試合で7番を務めていた好調高橋周選手も一つ打順を上げました。またスタメンショートには守備に定評がある堂上選手が今季初スタメン。

結果はこれまで好調ビシエド選手の前に出塁できなかった1~3番が序盤でそれぞれ出塁し、チャンスを演出。ビシエド選手もそれに応え、チーム今季初の先制攻撃につながりました。6番に繰り上がった高橋周選手は4回のチャンスでは犠牲フライが打てず敢えなく併殺打に倒れますが、7回には出塁し桂選手の逆転ツーランにつなげています。

注目は今後もこの打順が続くかどうか、です。
遠藤選手のショートスタメン起用は今季のみならず、未来のドラゴンズを左右する重要な戦略になります。いまはまだ攻守ともに不安定さが目立ちますが、我慢強く起用することで将来的には貴重な「強打のショート」としてチームに大きな強みをもたらすはずです。短期的には脆さも見えますが、個人的には今日のような休養も挟みながら、下位打線に下げてでもスタメンで起用して欲しいと考えています。

本日起用された堂上選手は確かに守備には定評のある選手ですが、打撃面では残念ながら伸び代が感じられる選手ではありません。今回のように遠藤選手の休養日に守備を引き締める意味でのスタメン起用は賛成ですが、あくまで限定的なもので、より遠藤選手に出場機会を与えるべきだと考えます。

藤井選手・ナニータ選手が争うレフトでは、状況に応じた起用が求められると考えます。藤井選手は守備に定評がある一方で、今季はリーグトップの三振率35.5%と苦戦。もともと打撃にムラがあるのが特徴で、シーズンを通してのスタメン起用よりも、調子が良い時期を見定めて集中的に起用するのが良いタイプでもあります。一方でナニータ選手は守備が壊滅的ではありますが、昨季は怪我で離脱するまで打率.300をキープしていたようにシュアな打撃が持ち味です。今季もここまで出場機会は限られていますが、5打点と勝負強さを発揮しています。

チームは今後、レフトの出場機会をどう分配していくかが鍵となります。ドラゴンズはホーム・ナゴヤドームではその地の利を生かし外野守備と投手力で内野守備及び打撃陣をカバーする戦略になりますが、その際はレフト藤井が適しているでしょう。また今日のように狭い神宮球場では外野守備があまり重視されず、また打撃力がポイントになるのでナニータ選手の起用がベターのように思います。本来では打てて走れて守れる、いわゆる「三拍子揃った」選手が求められますが、選手層の薄いチームにとってはなかなかそういった選手をスタメンに連ねるのは難しい話です。選手の特性を理解し、また状況に応じた柔軟な選手起用が求められます。

長期的な視点で見た時の起用法と、目先の勝利を追求するための短期的な選手起用。ときに相反する兵法ですが、ここを如何に並行して上手く進められるかがチーム戦略の肝になります。特に日本ではMLBのようにトレード&FAによる選手の流動性が高くないため、如何にドラフトで獲得した選手を育成するかが重要です。選手の育成には本人の能力や指導環境も大切ですが、もっとも重要なファクターは「出場機会が十分に与えられているかどうか」だと考えます。チーム首脳陣にはチームの成績と、育成する選手の可能性・将来性を天秤に掛けながら常に最適な意思決定をしてほしいと思います。

来週1週間はナゴヤドームでの6連戦。4勝5敗と負けが先行するチームにとっては立て直す良い機会となります。残念ながら私は現地観戦する予定はありませんが、引き続き試合結果はウォッチしていきたいと思います。

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