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6/11観戦記@西武D:中日と西武に見られたブルペン運用の違い

久しぶりの記事投稿となります。昨日西武ライオンズとの交流戦第2戦を観戦するために、所沢は西武プリンスドームまで行ってきました。最近関東でも梅雨入りしたとのニュースがありましたが、この日は気温30度を超える快晴。多くのファンも詰めかけた野球日和の一日でした。

試合総評:平田の完璧ツーラン、大野145球熱投で対戦カード1勝1敗のタイに

試合は西武佐野、中日大野の両サウスポーの先発で始まりました。両先発とも再三のピンチを招きますが、5回までをなんとか2失点で堪える投手戦。西武は6回で先発佐野を諦め、変則左腕の小石へとスイッチします。7回まではドラゴンズ打線を無安打に抑えますが、まさかの3イニング目に突入。疲れが見えたところを中日打線が見逃さず、大島のヒットからチャンスを作ると平田の完璧なツーランホームランでドラゴンズは勝ち越しに成功しました。一方でドラゴンズ先発の大野は5回までに100球を投じるも、6回以降は西武打線をわずか1安打、45球で封じる対照的なピッチングで145球の熱投。左肘痛からの復帰後2戦目を、今季3勝目となる完投勝利で飾りました。これで対戦カードの勝敗は1勝1敗のタイ。明日の予告先発吉見にはカード勝ち越しを賭けたマウンドで躍動してもらいたいところです。

フォーカスポイント:中日ドラゴンズと西武ライオンズの、対照的なブルペン運用

…さて無難な試合評はこの辺にしておいて、ここからは個人的に注目していた「ブルペン運用」について観察してきたことを書いていきたいと思います。ドラゴンズファンの皆様ならご存知かと思いますが、我らがドラゴンズは中継ぎ投手の登板過多、いわゆる酷使で悪名高く、今季もつい最近まで田島又吉福谷の3投手がシーズン70試合を超えるペースで登板数を重ねるなど一部の投手に負担が集中していました。

6/11現在登板数、シーズン登板ペース
田島:33試合登板、74試合ペース
又吉:27試合登板、60試合ペース *5/25登録抹消
福谷:29試合登板、65試合ペース *6/1登録抹消

ブルペン運用については明確な正解が確立されている訳ではなく、各チームとも「チームの勝利」という成果と「リリーフ投手への負担」というリスクがバランスする最適点を、色々と試行錯誤しながら見つけようと取り組んでいる印象です。

例えば我らがドラゴンズは抑えの田島が4連投含む連投を今季9度記録するなどある程度連投は辞さず、のスタンスですが、一方で回跨ぎは今季2度しかなく、こちらはなるべく避けようとする意図が感じられます。またDeNAの場合はセーブのつく1~3点リードの場面では山崎三上須田田中の4投手しか起用しないなど、試合状況に応じて各リリーフ投手に明確な役割を与えることで負担を分散させています。

リリーフ投手のブルペンでの稼働状況に違いは見られるか?

ブルペン運用に関して私が個人的に気になっているのは「リリーフ投手をどのタイミングで準備させるか」です。日本のチームでよく見られるのは、試合の序盤でまず一度肩を作らせ、試合展開に応じて仕上げの準備を行わせた後にマウンドに送り出す、というスタイル。リリーフ投手にとって臨機応変に準備することが求められます。一方でMLBでは162試合と試合数自体が多く、また連戦や移動も過酷なため、リリーフ投手が準備するのは登板直前の一度のみだと聞いたことがあります。MLBを経験した高津元投手がピッチングコーチを務めるヤクルトでは、この方式を採用しているとか。いずれにせよチームによってブルペンでのリリーフ投手の準備の仕方には違いが見られるようです。

今回行ってきた西武ドームは観客にブルペンがオープンになっている球場です。双眼鏡片手に、各チームのブルペン運用状況に関して観察してきました。

前提条件:両チームとも前日に延長12回を戦っている。
6/10登板ピッチャー *カッコ内はイニング数
西武:多和田(8)-増田(1)-牧田(2)-武隈(1)
中日:ジョーダン(7)-山井(2)-岡田(1)-田島(1 2/3)

6/11ベンチに入っていたピッチャー
西武:増田、小石、牧田、バスケス、中崎、武隈 (高橋光、多和田)
中日:田島、岡田、山井、祖父江、福、小川 (小笠原)

それでは行ってみましょう。

■1回
佐野:22球、無安打、1与四球
大野:18球、無安打
両ブルペンとも動きなし

■2回
佐野:9球、無安打
大野:24球、2安打
前日登板のなかった福、祖父江が投球練習開始

■3回
佐野:8球、無安打
大野:25球、1安打、1与四球、1失点
前日登板のなかった小川が投球練習開始

■4回
佐野:16球、1安打、1与四球、1失点
前日登板のなかった中崎が投球練習開始
大野:9球、無安打
前日登板した岡田が投球練習開始

■5回
佐野:18球、2安打、1失点
前日登板のなかった小石が投球練習開始
大野:24球、1安打、3与四球、1失点
前日登板した山井が投球練習開始。福、祖父江が投球練習再開

■6回
佐野→小石
小石:14球、無安打
大野:11球、1安打
前日登板した田島が投球練習開始

■7回
小石:19球、無安打
前日登板した牧田が投球練習開始
大野:13球、無安打
小川、祖父江(3度目)が投球練習再開

■8回
小石:13球、2安打、2失点
前日登板のなかったバスケスが投球練習開始
大野:11球、無安打
山井、小川(3度目)が投球練習再開

■9回
小石→バスケス
バスケス:8球、無安打
大野:10球、無安打
田島、小川(4度目)が投球練習再開

投手が失点したタイミングで準備を始める西武、6回終了までに全リリーフ投手が一度は肩を作る中日

ブルペン稼働状況まとめ
西武:登板中の投手が失点したタイミングで投球練習開始。複数の投手が投球練習を行うことはなく、同じ投手が複数回投球練習をすることもない。例外は7回に勝ちパターンの一角・牧田が一度肩を作るも、勝ち越しを許したため登板機会なし。2番手小石は3イニングの回跨ぎ。
中日:2回からリリーフ投手が順次投球練習を開始。6回終了までに抑えの田島までの全リリーフ投手が投球練習終了。6回以降は試合展開に応じて、複数の投手が複数回投球練習を再開。祖父江は3度、小川は4度断続的に投球練習を行うも、大野が完投を志願したため登板機会なし。

以上、両チームのブルペン運用の違いを見ていきました。西武は牧田の起用法に代表されるように回跨ぎは積極的に行うものの、連投についてはなるべく避ける起用法。前日登板のない投手を中心に、ブルペンでも極力投球練習は行わせずマウンドに送り出しているのが印象的でした。

一方のドラゴンズは前述の「日本的な」ブルペン運用。刻々と変化する試合展開を読みながらすべての投手に一度は準備させ、臨機応変にリリーフ投手をマウンドに送り出そうとする意図が見られました。なにより試合展開に応じたベストの投手を起用するという意図がある分連投が増え、またすべての投手を準備させていることから回またぎは少ないんだろうと思います。

チームごとに特色が見られるブルペン運用。より効果的な起用法とは?

最後に繰り返しますがどちらの運用方法がベターであるとかそういうことを言うつもりはなく、私個人もどちらが良いのかは判断できません。ただ今回違いが見られたことからも、プロの間でもリリーフ投手が肩を作るタイミングや頻度は意見が別れるところなんだということが、ハッキリしたのは事実なのではないでしょうか。この点は他の球団の起用法や準備状況もウォッチしながら、引き続き理解を深めていきたいと思っています。

再来週、交流戦明けのヤクルト戦もチケットを取りました。神宮球場は西武プリンスドームと同様ブルペンがオープンな球場なので、次回は中日と高津コーチ率いるヤクルトと、どのような違いがあるか観察しに行きたいと思います。

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1988年生まれ。国内の大学を卒業後に渡米、大学院で経済学を学ぶ。修了後帰国しドイツ系メーカーに就職、現在に至る。 1999年のセリーグ制覇以来の、中日ドラゴンズの大ファン。中日ドラゴンズの考察記事を発信中 (Twitter/中日新聞プラス/THE DIGEST/note)。

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