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7年ぶりAクラスに向け、後半戦のキーマンは誰だ?

皆さま、こんにちは。今回はオールスターも終わりシーズンも折り返し地点に来たということで、

『前半戦成績を振り返った上で、後半戦のキーマンは誰なのか』

考えてみたいと思います。

前半戦を借金6の5位で折り返したドラゴンズですが、連勝を続け現在は借金3ながら3位まで上り詰めました (7/19現在)。ただ2位以下はまだまだ団子状態、さらに高橋周平の離脱によりAクラス争いは予断を許さない状況となっています。7年ぶりのAクラス、そしてその先の優勝を掴み取るにあたりチーム状況はどうなっているのか。また躍進のための投打のキーマンは誰なのかについて、今回の記事で考えていきたいと思います。

*以下のデータは「前半戦成績」と言いながら、7/16終了時点でのデータを参考にしている点はご留意頂ければと思います。

1. 打撃: リーグワーストの得点数は「一発の怖さ」が足りないことが要因

まずはドラゴンズの打撃面について考えます。7/16時点でドラゴンズのチーム得点数は313得点でリーグワースト。首位をひた走る得点数トップの巨人とは、同じ試合数にも関わらず100点近い差が付いています。以下の表では、各チームの1試合平均得点と出塁率、長打率をそれぞれグラフにしてみました。

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ドラゴンズは阪神を紙一重で上回る1試合平均3.8得点をマークしていましたが、首位巨人とは1点以上の差がついていることが分かります。ここからドラゴンズの得点力不足の要因を、

①長打率
②出塁率

以上の2点から探ってみたいと思います。

①低「長打率 」(.377、リーグ4位)
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・中日は二塁打数(134)と三塁打数(21)でリーグトップだが、ホームラン数(47)はリーグワースト
・広いナゴヤドームに最適化した打撃スタイルのため、ゴロ割合(51.9%)がリーグトップ
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ドラゴンズは一発の怖さが少ないコンタクトヒッターが並ぶ打線のため、ホームランが少ないことが長打率が伸び悩んでいるのが直接の要因です。リーグトップである二塁打と三塁打についてはチーム間で差が付きにくく、得点力増のトリガーになりにくいのも原因の一つです。

広いナゴヤドームを本拠地としている以上は仕方のない部分ではありますが、短期的にはなるべく「ホームランを期待できるフライヒッター」を打線に組み込むことくらいしか戦術的な上がり目はなさそうです。

②低「出塁率」 (.316、リーグ4位)
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・中日はチーム打率リーグ2位(.262)ながら、BB% (四球割合)がリーグワースト(6.4%)
・ストライクゾーン内で攻められる割合が高い一方で、ボール球空振り率も高い
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前述の通りHRを浴びるリスクが低い選手構成になっているので、投手は思い切ってゾーン内で勝負してくる傾向があると言えます。また選球眼も良くない打者が多いため、ボール球にも手を出す割合が高く、結果的に四球が増えないのが現状です。

こちらも一朝一夕で選球眼を高めるのは不可能なので、長打率を上げる策のところで述べた通り少しでも一発の期待が持てる打者を並べることで相手投手に攻めづらくさせる、結果的にボール球を多く投げさせることで出塁率を高めるくらいしかできないかと思われます。

以上2点から、後半戦の「打のキーマン」としては『アルモンテ』『福田永将』の二人を挙げたいと思います。

▼後半戦「打」のキーマン①アルモンテ

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アルモンテは基本的にはゴロ打球が多いアベレージヒッターのため、前述したような「ホームランを期待できるフライヒッター」タイプではありません。ただチーム内を見渡したとき、レギュラーとして前半戦から活躍してきた打者を除いて彼以上にホームランを期待できる打者はいないと考えます。

二軍調整中も単打ばかりだったのは気がかりですが、後半戦に入ってからは既にホームランを1本放ち四球も多く選んでいることから、彼が3番打者にどっしり座ることで打線全体へ好影響を与えると確信しています。高橋周平の長期離脱が避けられない今、打線のコア・プレーヤーとしての活躍を期待しています。

▼後半戦「打」のキーマン②福田永将

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福田はまさに「ホームランを期待できるフライヒッター」そのものと言った選手です。ドラゴンズでは珍しいタイプの打者ですが、彼のような率は低くともアーチストタイプの打者を打線内に組み込むことで、相手バッテリーの攻め方を変える「アクセント」になり得るのは間違いありません。

現在は不振のため二軍調整中ですが、こちらも高橋周平の長期離脱が確定した今、代わりにサードを任せられるのは去年レギュラーだった彼しかいません。現実的には堂上や亀澤との併用になるかと思いますが、個人的には昨年まで3年連続で二桁ホームランを放っている和製大砲の、後半戦からの爆発を期待しています。

以上、打撃面については

『アルモンテや福田のような長打力のある選手を打線に多く組み込み、更なる得点力UP&得点バリエーションを多様化すること』

がカギになってきそうです。

2. 投手: 失点率は優秀だが12球団トップレベルの守備陣のサポート大きい

次に投手成績について見ていきます。前項で1試合あたりの平均得点を挙げてチーム間の比較を行いましたので、こちらもまずは1試合あたりの平均失点を表す失点率で比較をしてみたいと思います。失点率においては、中日は巨人に肉薄するリーグ2位とかなり健闘していることが分かります。

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要因としては投手自身の能力だけでなく、12球団トップレベルの守備陣をバックにしていることも要因として考えられそうです (例: 堅い守備陣によりエラーが少ない、ヒット性の当たりがアウトになっている、など)。

それでは投手能力を自軍の守備力から独立した形で適切に判断するにはどの指標を使うべきでしょうか。
ここでは以下の3点に着目して比較していきたいと思います。

①奪三振割合
②四球割合
③1試合あたり被本塁打

またここからは先発投手中継ぎ投手に分けて考えます。

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先発投手の課題
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・奪三振割合はリーグトップの水準を誇るが、四球割合がリーグ平均を下回る
・ナゴヤドームを本拠地としながら、1試合当たりの被本塁打はリーグワースト2位
・被本塁打数が多い要因はフライボーラー揃いの先発陣(例: 大野雄、柳、ロメロ、阿知羅など)
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今季中日の先発陣は大野雄、柳の左右のエースの活躍が光り奪三振・四球割合共に特筆して悪い訳ではないですが、一方でフライ打球を多く打たれる「フライボーラー」が多いため、被弾リスクがかなり高い陣容となっているのが欠点です。

ナゴヤドームを本拠地としているためホームでは被弾リスクが少ないですが、狭い他球場ではかなり多くのホームランを献上しており、それがリーグワーストに近い1試合あたり被本塁打数となって表れています。

前述した通り中日はリーグトップレベルの守備陣、特に内野守備は名手揃い(高橋周平の離脱は痛いですが・・)のため、ゴロ打球を多く打たせることのできるグラウンドボーラーの台頭が、さらに先発投手陣の成績良化のカギになってくると思います。

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中継ぎ投手の課題
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・先発投手とは傾向が真逆で、リーグ平均と比較した時に奪三振割合は平均より悪く、四球割合は良い
・被本塁打リスクもリーグで最も低い
・上記傾向は今季中継ぎ陣を引っ張るRマル&ロドリゲスの両外国人と、好調の岡田・福によるところが大きく、それ以外の投手が足を引っ張る形になっている
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中継ぎ投手の成績についてもここで取り上げる程の悪い成績を残しているところはありませんし、先発投手の項で述べた被本塁打リスクの高さも見られません。これは特にRマル&ロドリゲスの両外国人に鈴木博志の豪速球トリオの球威のなせる技でもあるでしょうか。

中継ぎ投手の課題としては、今後のブルペン運用を挙げたいと思います。前半戦はRマル&ロドリゲスをAチームに据え、得点力に乏しく勝ちゲームが僅差の試合であることが多いチーム事情から、彼らへの負担がかなり増えました。

開幕前に「3連投はシーズン終盤の厳しい場面までなるべく避ける」と明言していた阿波野投手コーチですが、前半戦だけでRマルが4度、ロドリゲスが4連投1回を含む3度の3連投以上を記録していることからも、彼らへの高い依存度が分かります。5月以降は岡田、福が安定した働きを見せてくれましたが、Rマルの離脱もありますし頭数がまだまだ足りず、日本人リリーバーの台頭が望まれます。

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以上先発投手と中継ぎ投手の成績およびブルペン運用状況における考察から、後半戦の「投のキーマン」としては松葉貴大鈴木博志の二人を挙げたいと思います。

▼後半戦「投」のキーマン①松葉貴大

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先発投手として期待される松葉は、変化球を武器にゴロ打球を多く打たせる典型的な「グラウンドボーラー」なのが特徴で、上記で述べたようにフライボーラー揃いの先発陣の中では鉄壁の内野守備をもっとも活用できる投手の一人であると言えます。

近年は被本塁打が増えているのが目につきますが、そこはナゴヤドームを本拠地にすることで改善が期待できるのではないでしょうか。ゴロ打球を多く打たせられる特性から、狭いビジターでチームメイト以上にホームランを食らうことも少ないはずです。

松葉と同じ左投手では、笠原が今日のDeNA戦で先発予定。
ただファームでは復帰後最長で4回66球しか投げられておらず、順調に調整登板を重ねての復帰とは言い難い状況です。
また左肩痛からの復帰を目指す小笠原も前回登板が4回63球と、こちらは一軍復帰まで複数回の調整登板が必要になりそう。

松葉も前回7/15の登板では4回57球でしたが、こちらは怪我による球数制限ではないはずなので、今後はピッチを上げた調整で早期の一軍登板が期待されます。怪我や病気などで離脱した投手に焦らず調整してもらうためにも、松葉には早期の一軍デビュー&先発投手としての活躍を期待しています。

▼後半戦「投」のキーマン②鈴木博志

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鈴木博志にはBチームの下位から、ブルペンに厚みをもたらす快投を期待して名前を挙げました。

前回UPした記事ではクローザーへの復帰を期待すると書きましたが、前回の一軍復帰登板では二軍で取り組んだことを実戦で発揮できなかったように見えたためか、Rマル不在時のクローザーは現状岡田が抜擢されています。

岡田の安定感抜群の投球を見るに暫くその座に返り咲くのはお預けでしょうが、個人的には彼の高いポテンシャルには大いに期待しています

常時150を超える豪速球と鋭く曲がり落ちるカットボール (スラッター)、そして二軍で習得を狙ったフォークなど、投げているボール自体は一級品と思われます。

それを活かすも殺すも制球力だと思いますので、二軍で見せた低めいっぱいへの150キロ超え速球を一軍でも見せることができれば、手薄なブルペンにとっては大きな武器になるはず。なかなか登板機会に恵まれませんが、今後の鈴木博志にも期待したいと思います。


以上、7年ぶりAクラスに向けた投打のキーマンとして、4人の名前を挙げました。何度も繰り返しになりますがキャプテン高橋周平の長期離脱が確定したいま、

野手も投手も総力戦で戦わなければ熾烈なAクラス争いは勝ち抜けません。

今回挙げた4人だけでなく、一軍と二軍合わせた全員で勝ちに行けるよう後半戦も引き続き頑張って行って欲しいと願います。


以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!

データ参考: 1.02 Essense of Baseball

*2019/7/21 中日新聞プラスへの投稿分を転載

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