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Braun Paxette Reflex

パクセッテシリーズのデッケルマウント機

またまたデッケルマウントレンズ

性懲りもなく、というべきだろう。レンズ(リーフ)シャッター式の一眼レフ用に企画されたコンパーのマウント、通称デッケルマウントのレンズの記事だ。以前書いた通り、シャッター機構をマウントのすぐ内側に持つため、機構が複雑な上にレンズへの制約が大きいという宿命がある。

上記の記事に少しだけ言及しているが、ブラウン社もこの規格を使って一眼レフを作っている。この会社のシステムカメラといえば距離計連動機のパクセッテシリーズが有名だが、一眼レフのシリーズ名はパクセッテレフレックスと称される。ライカなどの高級路線から一段下の需要に対応していたブラウン社ということも一因か、今に残され伝えられている個体はあまりないようで、私の観測範囲の首都圏の中古カメラ店ではほとんど見たことがなく、eBayで検索しても10台くらいしかヒットしない。レアだけど高値もつかないのは人気がない以前に知られていないということだろうか。かく言う自分も、50年代の大きく重い一眼レフをコレクションするのはさすがにつらいので、結局レンズを入手するにとどまっている。

パクセッテレフレックスのレンズ

このシリーズに供給されたレンズは以下のものがある。28mm広角と85mmクラスの中望遠がないのは惜しいが、一通りの画角は揃っている。レンズの後に製造したメーカーを書いているが、エンナが2本だぶっている以外全部それぞれ別の会社というのに驚く。そのエンナも、望遠レンズはカタログに写真だけ載っていてスペックがないので、何mmレンズだったのかは分からない(ロテラーより大きいようなので200mmか?)し、全く市場で見かけない。
 リタゴン Braun-Reflex-Lithagon 35mmF3.5 (エンナ)
 クヴィノン Braun-Reflex-Quinon 50mmF1.9 (シュタインハイル)
 ウルトラリート Braun-Reflex-Ultralit 50mmF2.8 (シュテーブレ)
 クセナー Braun-Reflex-Xenar 50mmF2.8 (シュナイダー)
 ロテラー Braun-Reflex-Rotelar 135mmF4 (ローデンシュトック)
 テレ エナリート Braun-Reflex-Tele-Ennalyt (エンナ) ・・・レンズ詳細不明
上記のうち、一番市価が高いのはクヴィノンであり、ごくたまに見かけると7万円以上の値段がついているようで、ついでロテラーが4万円程度か(レチナ ロテラーの方が個体数も多く廉価な傾向)。その他のレンズは1万円もするかどうかというくらいで、この最短撮影距離が長い、しかもマイナーなマウントより他の有名マウントで探した方が良い、という市場需要の結果なのだろうと思う。
リタゴン35mmとウルトラリート50mmだけが手元にあるので、その撮影例をここに上げる。

35mmと50mmの撮影例

パクセッテレフレックスは持っていないので、マウントアダプターを介してコシナのベッサフレックスに装着して撮影している。フィルムはフジの感度400のカラーネガだ。

●リタゴン35mmF3.5
4群4枚構成、トリプレットの標準レンズの前(被写体側)に凹レンズを置いたレトロフォーカスタイプのレンズである。エンナのレンズは色合いが地味という評価があるが、そういわれてみればそうかな、とも思うが、撮影日が曇りの日でもともとくっきりはしていないので、私としてはその評価は保留としておきたい。絞り開放で遠景を撮ると周辺解像が甘いものの、近接では割と使えそうな感じである。ボケはあまりきれいではない。

Braun-Reflex-Lithagon 35mmF3.5/ F8 1/2,1/500,Fuji CH
Braun-Reflex-Lithagon 35mmF3.5/ F3.5,1/1000,Fuji CH
Braun-Reflex-Lithagon 35mmF3.5/ F3.5,1/1000,Fuji CH
Braun-Reflex-Lithagon 35mmF3.5/ F3.5,1/1000,Fuji CH

●ウルトラリート 50mmF2.8
スクリューマウントのパクセッテシリーズではよく見かけるレンズで、3枚構成のトリプレットとされる。ボケは荒々しいが、中央の解像はシャープだ。少し絞ると周辺の解像も良くなる。

Braun-Reflex-Ultralit 50mmF2.8/ F2.8,1/1000,Fuji CH
Braun-Reflex-Ultralit 50mmF2.8/ F5.6 1/2,1/500,Fuji CH
Braun-Reflex-Ultralit 50mmF2.8/ F4,1/125,Fuji CH

おわりに

通称デッケルマウントの中でも、さらに知られていないっぽいレンズの紹介だった。まあ、知られていないとしても、同じ構成のレンズは他のマウントで世に出ているので、わざわざこのシリーズで揃える必要もない・・・と自分で自分を否定してどうする(笑)。

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