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【マッチレビュー】Jリーグ2021 第20節 サンフレッチェ広島VSガンバ大阪 5/12

こんにちは!今回はサンフレッチェ広島対ガンバ大阪の試合のレビューを書いていこうと思います。


スタメン

スタメン

サンフレはこの試合でも442を使用。青山に代わってハイネルがボランチに入り、左SBには藤井が入りました。リーグ戦での藤井のSBは初めてなので注目ポイントです。ガンバは451の可能性もありましたが、この試合では442。一美とパトリックの2トップで、ボランチには井手口とチュセジョンが入りました。


ミラーゲーム

両者お互いに442ということで、ミラーゲームとなりました。ミラーゲームということで基本的に配置にズレが無く、1対1の局面が多くなりやすい試合となりました。

チームのスタイルとしては、お互いにボール保持を好むチームなので、そこの部分での争いになるかと思われましたが、サンフレもガンバも縦に速い攻撃を多用する試合となりました。

ミラーゲーム

ガンバの方がビルドアップに時間をかけようとしていた印象ですが、井手口もチュセジョンも頻繁にCB間に下りることは無く、あくまで攻撃的な意志を持った状態でボールの前進を試みました。

サンフレは浅野の裏抜けとフィジカルに優れるサントスを狙った縦に速い展開を狙う場面が多く見られました。この縦に速い攻撃はサンフレのここ数試合の特徴でもあります。


絶妙な倉田

サンフレ プレス

サンフレの基本的なプレスとしては、ミラーゲーム通りのものとなりました。前述した通り、ガンバはボランチがある程度の高さを保った状態でビルドアップを行ったので、その2人を浅野とサントスが背中で消しながら、タイミングを見てCBまでプレッシャーをかけるというものでした。

主にチュセジョンが横にスライドして上手くボールを受けていましたが、荒木と佐々木が厳しく2トップを見ていたので、良いパスこそ出たものの得点には至りませんでした。

倉田 インサイド

そこで、より高い位置で上手くボールを引き出したのが倉田です。ほとんどマンツーマン気味に対応されるこの試合で、マークを惑わせるポジショニングを見せました。SBの黒川がサイドに張り、倉田はインサイドにポジションを取ります。この時に、森島と野上、さらに川辺の注意を引きつつもマークにはつかれない絶妙なポジショニングをすることで、特に森島に守備の狙いを絞らせないことに成功しました。

森島も上手く意識しながら昌子にプレスをかける場面もありましたが、黒川と倉田の2つの選択肢を迫られながらの守備は難易度の高いものでした。特に比較的自由に動き回る倉田の存在は厄介そのものでした。


サントスのチームへの還元

前半は展開の激しい内容でしたが、後半はガンバが落ち着いてボール保持を行う時間が増えたことで、サンフレがカウンターを狙う時間帯が増えました。

カウンターと言えば、川崎戦のイメージが強くあります。あの試合ではサントスの突破力が発揮されました。ガンバ戦でもサントスがドリブル突破を試みる場面がありましたが、中央の相手が複数いる状況でのドリブルになったので、上手くボールを運ぶことができませんでした。

さて、この爆発的な突破力を持つサントスですが、上手くチームで活かしきれていないのが現状です。スタメンから外れる試合もありましたし、試合ごとに役割が多少異なるあたりも、サントスの最適解が見つかっていない証拠です。

個人的なサントスの印象としては、突破力こそあるもののその魅力を周囲に還元出来ていない、というイメージがあります。これはサントス自身に課題があるとも言えますし、周囲やチームの課題とも言えます。

ドリブル突破を試みることで攻撃の起点にはなりますが、そこから次へ繋げることができておらず、また自身で決めきることもできていないので、効果的な存在にはなれていません。

そんな難しい状況にあるサントスですが、この試合では上手くカウンター成功に貢献しました。

得点場面

相手のコーナーキックからのカウンターでしたが、柏からボールを受けたサントスはいつも通りドリブルで持ち出す選択肢もあったものの、逆サイドの川辺へのパスを通すことで、川辺のゴールをお膳立てしました。サントスのパスも素晴らしかったですが、川辺のスプリント、それに3人引き付けて川辺をフリーにした藤井のランニングも素晴らしいものでした。

藤井のランニングが大きな意味を持ったことは間違いないですが、相手の注意を引くことができるサントスが、相対的にフリーになりやすい味方にパスを通すことができた、という事に大きな意味を感じました。

まさに、サントスの存在の大きさをチームに還元出来たという言い方ができると思います。

これを再現する形は様々あるかと思いますが、その1つがこうして結果に繋がる形で見ることができたのは1人のサポーターとして非常に嬉しく思います。自身の魅力をチームに上手く還元するという意識は常に持っていてほしいですし、周りの選手もサントスとどのように関わっていくのか、模索し続けていってほしいなと思います。

理想と現実の狭間で

ここで、直近数試合の感想を話していこうと思います。

まず前提として攻撃的なサッカーを掲げる城福サンフレッチェですが、そのコンセプトを実現するための方法としてハイプレス、ショートカウンターを昨季から重要視しています。このガンバ戦の前にも城福監督は「我々のサッカーをするために、前から圧力をかけていきたい。」という話をしていました。

このハイプレスですが、基本的にはマンツーマンで人を捕まえてリスク承知でボールを奪いにいくことが多いです。しかしこれを続けるにはかなりの体力消耗を伴います。日程的にかなり厳しい状況にあるサンフレがこのハイプレスを毎試合続けていくことは現実的に難しいものがあるのも事実だと思います。また、先日の神戸や鳥栖相手にハイプレスがあまり機能しなかった通り、ハイプレスをかけるという意志はあるものの、後方の選手を同数にするほどリスクを冒すことができていない状況だということもあり、以前ほどハイプレスの意思統一ができていない印象もあります。これは3バックから4バックになったことによる、CBの心境の変化も影響しているのではないかと思います。

また、ボールを保持してサイドを中心に攻撃を組み立てるサンフレですが、ここ数試合は良い形を作れていません。カウンターで浅野やサントスに広いスペースを使わせたり、鮎川のランニングを使う方が可能性を感じさせる攻撃に繋がっている印象もあります。

この日程や攻撃の印象を踏まえると、現実的な路線で言えば退いて守ってサントスと浅野のカウンターを中心に攻撃を考える、というのが選択肢として入ってくる可能性があると思っています。

しかしこの戦い方は合理的ではあると思いますが、確実に城福監督のコンセプトと異なるという点で非常に悩ましくなります。攻撃的にハイプレスをかけながら敵陣でサッカーをしたいという理想と、退いて守って体力を温存しながらサントスと浅野の突破力を活かすという現実のギャップをどのように考えていくのか、監督として非常に難しい判断なのではないかと予想しています。

ただ単にハイプレスが上手くいかないだけなら挑戦を続けて欲しいところですが、日程面から起こる問題については仕方ない所もあるので多少の譲歩はあってもよいのかなと思います。

非常に難しいところだと思いますが、監督としての手腕が問われる場面でもあると思うので、注目して見ていきたいところですね。


さいごに

さいごまで読んで頂きありがとうございます。

久しぶりの勝利となりました。長い連戦の真っ只中で落ち着いて練習をすることも難しい状況ですが、上手くチームとしての成長を続けてほしいなと思います。また、これ以上怪我で離脱する選手が増えないことを祈るばかりです。

それでは次回お会いしましょう。

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