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【マッチレビュー】Jリーグ2021 第27節 サンフレッチェ広島VS大分トリニータ 8/28

こんにちは。今回はサンフレッチェ広島対大分トリニータの試合のレビューを書いていこうと思います。


スタメン

スタメン

サンフレはヴィエイラが長期離脱から復帰。森島も3試合ぶりに復帰。今季出番の少なかった土肥が青山とのダブルボランチ。3バックに戻して以降、出番が減った東が久しぶりのスタメン。大分は最前線に伊佐が入り、近い位置に野村と藤本。左には香川。


見逃したくない攻撃問題の本質

サンフレは直近5試合で複数得点がなく、勝利自体も6月の柏戦以来となりました。

決定機を決めきることができない場面が散見されてきましたが、問題の根幹は組織的に攻撃を組み立てられない事にありました。

チーム状態が上がらず、現在最下位の大分が相手だったこともありますが、4得点できたことは今までの悪いイメージ、雰囲気を払拭するきっかけとなるはずです。


では、4得点できたこの試合では問題の根幹である「組織的な攻撃」を行う事はできたのでしょうか。


結論から言うと、組織で勝ったというよりは個の力で勝ったという印象が強いです。



ボール保持をした際にサンフレが攻略したいエリアはサイドです。シャドー、WB、野上、(ボランチ)を絡めたパス交換で突破を図るのがパターンです。

このエリアで調子の良い柏とキレのあるエゼキエウを中心にポケットを取ってクロスを上げようとする試みはこの試合でも見られました。実際に突破をしてクロスに繋げられた場面もありました。しかし、これは組織的ではなく、柏とエゼキエウの個の力に頼る部分が大きかったと思います。

密集しすぎ

良い時間帯では柏とエゼキエウの2人でシンプルに攻略していくことができますが、悪い時間帯になると、とにかくエリアに密集するという悪い癖がでます。CBの野上とボランチの土肥も攻撃参加をして、人数はかけるが攻撃の活性化に繋がらない場面が見られました。

人が集まりすぎて、ドリブルを仕掛けることもできなければ、エリアが狭すぎてパスコースも被っている。さらにそれぞれのイメージが独立しているので、1人ひとりの存在意義が低下してしまっていると感じました。

人数をかけて全力で即時奪回をする、事ができているわけでもないので、人数のかけ方と配置はもっと相手のカウンターも考慮する必要があるかもしれません。CBが頼もしいので何とかなっていますが、川辺も抜けた今のチームは、より組織的に戦うことが求められます。

誰がスペースを空けて、誰がスペースに入っていくのか。あくまで密集を作ることは手段の1つであるはずです。密集を作ることが目的になってしまわないように、それぞれの役割を組織的に構築することで密集を作る事によるメリットを確立することができればいいなと思います。



気になる間延びの仕方

この試合でもPKでの失点のみに抑え、最少失点で試合を終わらせることが続いているサンフレ。この結果を可能にしているのが、CBの3人です。高さで負けることもなく、積極的にインターセプトもできる。リーグでも屈指のCB陣だと思います。

そんな彼らの活躍もありますが、チーム全体で良い守備ができているかと言われると、少し疑問の残る部分があります。

中盤のスペース

サンフレがハイプレスをかける際は、ボランチの青山が高い位置まで出て、チーム全体でマンマークの守備を行うのが理想形です。これも、最終ラインの頼もしさあってこそです。

ハイプレスが良くはまっている時は、WBも人を捕まえて高い位置まで出ます。

しかし最近の試合では後方の3CB+WBの2人も最終ラインで固定して、前の5人と後ろの5人が別々の動きになってしまっている印象があります。

この理由は、シャドーの役割変更も影響しているのではないかと予想します。シャドーが相手のCB(中央寄り)を担当するだけでなく、SBまでの広いエリアを担当することが多くなったので、この試合のようにサイドに1人しか配置しない相手だと、そのままシャドーの選手に任せている印象です。なので、WBの選手がマークすべき相手がはっきりせず、結果的に最終ラインに吸収されている気がします。

また、青山が高い位置まで出ることで、中央にスペースを与えてしまい、この試合では土肥のカバーエリアが広くなってしまっている事も一貫した課題です。

広いスペースで縦パスを通されて一気に決定機まで持っていかれる疑似カウンターを受ける場面はここ数試合で顕著に見られます。川辺の移籍はここで大きく影響しています。

解決策としては、WBの位置を上げて、シャドーを中央に寄せて、ボランチの位置を下げてスペースを消す。又は、そもそものプレス開始位置を下げてスペースを与えにくくする。この2つが主な方法になるのではないかと思います。


ヴィエイラに見るシンプルさの重要性

この試合で長期離脱から正式に復帰し、久しぶりにスタメン入りをしたヴィエイラ。前節の途中出場でも良いプレーを見せましたが、この試合でもサンフレで求められるワントップの姿を見せてくれました。

ヴィエイラの離脱期間は、永井が同じく離脱していたこともあり、サントスがフル出場する試合もありました。サントスの活かし方をチームで模索し続けた期間でしたが、本人のプレーに大きな変化は見られず、低い位置でプレーしてしまう、リズムを乱してしまう、などの問題は解決することができませんでした。唯一良かったのは、スペースの生まれる時間帯、展開では突破力を活かしてシュートまで持っていく事ができていたことです。

ボール保持をしても効果的、組織的にシュートまで持っていく事ができていなかったのは、サントスの独りよがりなプレーも少なからず影響していたと思います。ポテンシャルは大きなものを秘めているだけに本当に惜しいですが。

一方この試合で長時間プレーしたヴィエイラは、前線でハイボールを収め、味方の動きを見て黒子役に徹する時間もあるなど、周囲との連係で相互作用する場面を作ることができていました。

決して複雑なプレーをしているわけでもなく、サントスの様に個人での打開力、期待感があるわけではありませんが、サンフレにとって必要な仕事を確実にこなしてくれます。守備もサボりませんし、非常に頼りになるストライカーです。

そんなヴィエイラと途中交代で入ったサントスは、この試合で2得点を決めました。低い位置でボールを持ちすぎてしまう、無駄なドリブルを試みてリズムを崩したり、ボールロストをしてしまう場面は確かにこの試合でもありました。

しかし、1点目はエゼキエウとのワンツー。2点目はカウンターから柏のクロスにニアに走り込んでシュート。独りよがりなプレーからではなく、周囲を活かした、シンプルなプレーでした。高い突破力とシュートインパクトは彼の強い武器です。それはシンプルなプレーを選択したとしても変わりませんし、その武器を、より求められているエリアで、求められている局面で使うべきです。

また、柏のクロスに合わせた時のようなボールを呼び込むランニングは久しぶりに見たような気がします。カウンターの起点になって、そのあとは惰性でゴール前に入っていく事が多かったサントスですが、柏との信頼関係、周りに味方がおらず、自由に動けることも相まって、スペースに上手くボールを呼び込むランニングを見せました。

これを機に、何とかプレー選択の部分で改善のきっかけになれば良いなと思います。味方をもっと信頼できれば、パスを出す側からパスを受ける側へと変わることもできると思います。ここ4試合で3ゴール。ぜひ波に乗ってほしいですね。


さいごに

最後まで読んで頂きありがとうございます。

久しぶりの複数得点。久しぶりの勝利。前述したように、まだまだ解決しなければならない課題も多く、怪我人も少なくありませんが、この勝ち点3が持つ意味はとても大きく、様々な局面で良い効果をもたらしてくれるはずです。上位浮上へのきっかけになることを祈るばかりです。


それでは次回お会いしましょう。

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