【マッチレビュー】Jリーグ2021 第12節 サンフレッチェ広島VSヴィッセル神戸 5/1

こんにちは!今回はサンフレッチェ広島対ヴィッセル神戸の試合のレビューを書いていこうと思います。


スタメン

スタメン

サンフレは復帰した佐々木に代えて、荒木を起用しました。前節からメンバーは荒木以外同じです。神戸はヴェルマーレンがスタメン復帰、イニエスタもベンチに復帰しています。山口とサンペールのボランチに、古橋が中央です。両者基本システムは442です。


機能しないハイプレス

昨季から継続しているハイプレスをこの試合でも序盤から果敢にしかけたサンフレですが、ボール保持を得意とする質の高い選手が揃う神戸に上手く回避されてしまい、ハイプレスを機能させることはできませんでした。

ヴェルマーレンやサンペールといった元バルセロナの選手に山口が絡むとなかなかボールを奪うことは難しくなりますが、ハイプレスが機能しなかった大きな原因は他にありました。

WBフリー

これが神戸の基本的なビルドアップの形です。2CBの間にサンペールが下りて、山口もビルドアップを助ける。SHは内に絞って、SBが高い位置で幅を取る。山口も含めた4人でボールを回しながら、空いたSBに出すか、中央で上手く数的優位を作ったり中間ポジションでボールを引き出すのが基本でした。

ヴェルマーレン、サンペール、菊池の3人に対してサンフレは2トップとエゼキエウの3人ではめにいきますが、フリーの選手を見つけるのが上手いサンペールとヴェルマーレンからフリーのSBに回避される場面が目立ちました。必ずと言っていいほどSBの酒井と山川はフリーになっていたことがサンフレにとって非常に厄介でした。

サンフレのハイプレスはボランチの青山の仕掛けに合わせてSBも高い位置を取ることで、相手のパスコースを消すことでボールを奪うことが多いですが、前述した通りSBをフリーにさせてしまったことでハイプレスは機能しませんでした。


SBにボールが入るとエゼキエウがそのまま下がって遅れながらも対応するか、野上が出たくないのに出なければならないかのどちらかでした。チームのやり方を貫くのなら野上を酒井のマークにつかせることになるかと思いますが、

後付け

野上が対応に出た時の周囲との連係を見てからも、彼が酒井の対応をするという考えはこの試合ではチームに無かったように思います。なので、酒井と山川の両SBをフリーにしてしまう場面を繰り返してしまったように思います。

その対応になってしまった理由は、古橋のスピードを警戒してディフェンスラインをあまり上げることができないことが挙げられると思います。結果的に古橋のスピードにやられて2失点してしまいましたし、彼を含めた前線の選手と同数で守ることはリスクだと捉えたのだと思います。

相手より人数の多い状態で守れば仮に裏を取られたとしてもカバーができるので、結果的に2失点してしまいましたが、チームとして古橋の対策は講じていたと思います。


しかしその対策によって生じる新たな問題を解決することが出来なかったことが、ハイプレスを機能させることができなかった一番の理由かと思います。

この問題についてはシステムの問題なので、城福監督の手腕が問われる部分でした。神戸のビルドアップは研究していたはずですし、この問題が生じることは予測できたことだと思います。例えばですが、あえてSBに出させてそこで一気に囲い込むというなどの何か狙いや対策がなかったのは見ていて寂しさを感じた部分でした。


神戸の上手さ

神戸の上手さはビルドアップ後のボール保持にも現れました。

昨季の試合でも明確な狙いを持って試合に入ってきた神戸ですが、この試合でもチームで連動して崩そうとする意思を感じました。


その昨季の神戸戦はこちら。


SHが内に絞ってSBが幅を取るという基本的な立ち位置の元、中央で上手く数的優位を作りながらボールを引き出したり、スペースを作り、使うという動きは洗練されていました。

相手の動きを見ながら

この場面では内に絞った中坂が野上を引き付けて、野上が上がってきたところで佐々木が野上の空けた裏のスペースを取ろうという動きを見せました。あくまで一例ですが、こういう連動性を何度も見せることができていた神戸のボール保持はパスを出す山口やサンペールの個の能力の高さだけに依存しているわけではないということがよく分かりました。

この連動性は森島もきっかけを作ることができる選手なので、森島とサントスなどでこういう連係が増えてくるといいなと思ったりしました。


ビルドアップの限界値

ボール保持で上手さを見せつけられてしまったサンフレですが、サンフレもボール保持をすることができるチームです。ですがこの試合では上手くボールを運べず、ロングボールを蹴らされる場面が多くありました。

ボール保持失敗

神戸の形と同様に、サンフレも青山か川辺がCB間に下りることで、後方に数的優位をつくりながらビルドアップを試みます。数的優位を活かして確実にボールを前進させたいサンフレでしたが、神戸のように上手くいかない理由は荒木と今津にあったと思います。

荒木と今津がボールコントロールに絶対の自信があるわけではないので、孤立を嫌がってどうしても中央寄りにポジションを取ってしまいます。なので、2CBとボランチの3人で相手の2トップに対して数的優位を作っているはずなのに、距離が近すぎることで2人で対応できてしまうことで、数的優位を活かすことができませんでした。

パスコースない

そうなるとSBの野上と東は高い位置を取ることができないので、下がってボールを受けるしかありません。そうなるとプレスにかかりやすいSBは神戸にとって格好の狙い目となります。

古橋という足の速くてプレスもきちんと行えるFWがいるとビルドアップの難易度は上がります。もちろん彼1人だけの効果ではありませんが、ここまでビルドアップに苦しんでしまったのはチームとして非常に苦しい現実だったと思います。

森島が下りることでボールを落ち着かせようとするなどの対応は見せましたが、その先がありませんでしたし、CBのボール保持能力については考えていかなければなりません。左利きで足元も上手い佐々木が入れば多少の改善は期待できますが、今後広島のDF陣を牽引するであろう荒木の成長は不可欠ですね。


さいごに

最後まで読んで頂きありがとうございます。

警戒はしていたはずの古橋のスピードに振り回されてしまった試合となりました。ここまで良い内容を続けていた今津だったので、またリベンジしてほしいですね。

サントスの立ち位置をサイド寄りにしてみたりと、変化と挑戦を続けていることは好印象の城福監督ですが、この試合でのシステム上の問題解決の部分では後手を踏んでしまう結果となりました。ここ数試合勝てていない状況からどのように挽回するのかは、城福体制の大きな課題です。どのような策を講じてくるのか、注目です。


それでは次回お会いしましょう!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?