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【マッチレビュー】Jリーグ2021 第25節 サンフレッチェ広島VS川崎フロンターレ 8/21

こんにちは。今回はサンフレッチェ広島対川崎フロンターレの試合のレビューを書いていこうと思います。


スタメン

スタメン

サンフレは柴崎が復帰してスタメン。急遽離脱の森島に代わってシャドーに入りました。WBは柏が左で藤井が右。久しぶりにサイドを戻しました。川崎は旗手がIHで左WGには長谷川。谷口は復帰までもう少し。今夏に三笘と田中碧が抜けたとはいえ、豪華なメンバーです。


表裏一体のハイプレス

ここまでシーズン無敗を誇る川崎相手に、サンフレは勇気を持ってハイプレスを仕掛けました。これは互角の戦いができた前回対戦でも見られたものです。

内容の良かった前半が物語っているように、サンフレはハイプレスから相手のパスミスを誘い、カウンターという流れを作ることができました。高い位置でボールを奪う場面もありましたし、一見ハイプレスが機能していたように見えた前半でしたが、どこか相手のミスに頼ってしまっていた印象もありました。

その理由を書いていきます。

シミッチがフリー

サントスはシミッチを背中で消しながGKまでケア。シャドーはそれぞれSBを気にしつつもCBまでプレッシャーをかける。青山は下りてくるIHを見ながら、サントスに合わせてシミッチの監視を引き受ける。

前線のプレスは基本的にこの4人が主導でした。

さて、川崎のビルドアップを阻害する上で1つ重要なのが、「シミッチへの対応」です。今季川崎を苦しめたクラブの多くは、川崎の軸であるシミッチをきっちりマークすることをプランに組み込みました。

その点で言うと、サンフレが用意したプランはサントスでパスコースを消しながら、サントスが離れるとその役目が青山が引き継ぐ、でした。きちんとシミッチを意識した構図にはなっていましたが、青山が常に数的不利の状況で高い位置に飛び出す事に躊躇させられていたこともあり、マークの受け渡しにギャップがありました。

そのギャップを見逃してくれる川崎ではないので、ハイプレス主導の4人が作る四角形の中で上手くフリーになり、角度ができたタイミングでパスの経由点になりました。

中盤数的不利

シミッチにボールが入ると、サンフレは広大な中盤スペースを突かれてしまいます。シミッチ、脇坂、旗手の3人に対してサンフレは高い位置の青山と低い位置で待つハイネルの2人。このスペースを使われる場面は印象的でしたし、このエリアからスピードアップしてシュートまで持っていかれる場面もありました。

こうしてみると、サンフレのハイプレスはシステムとしてあまり機能していないように見えます。その中でカウンターを打てたのは2つの理由があると思います。1つは相手のパスミスが目立ったこと。2つ目はこの先の局面でCB陣が本領を発揮したことでした。

サンフレは前方で数的不利になっている分、後方は5人でレーンを埋めました。結果として川崎はこの最後の関門に苦しめられる形となりました。最前線の家長、ダミアン、長谷川とIHの脇坂、旗手の間でパスミスや連係ミスが散見されました。思うような形でシュートを打てていない印象でした。

これは鬼木監督も触れていた様に、川崎側のミスでしたが、それと同様にサンフレのCBが強みを発揮したことも関わってきます。

サンフレのCBは対人、前への守備に強みがあります。ダミアンへの楔や距離の長い縦パスに対する対応は素晴らしいものがありました。川崎が日程的に苦しく、プレーの質が満足ではあったものの、サンフレCB陣の貢献度もかなり高かったと思います。

なので、ハイプレスの隙を狙われてピンチを招く場面もありましたが、相手のミスもありつつ、要所は抑えることで主導権を握った前半でした。


柴崎がもたらす効果

長い離脱からの復帰戦ながら、柏の得点を精密なクロスでアシスト。ビルドアップでは川崎のハイプレスを回避しながら味方に時間を提供。

復帰戦でいきなり川崎相手は酷だなと思っていましたが、完全にひっくり返されました。(笑)この辺の適応力、調整力はさすがベテランだなという感じです。


では、柴崎がどのようにサンフレのビルドアップで貢献したのか。

柴崎フリー

シャドーに入った選手は、通常であればシミッチの横ぐらいに立ち、比較的高い位置でパスを引き出すのが普通です。しかし、それでは車屋やシミッチに捕まりやすく、川崎のプレスを受けてしまいます。

そこでWBの藤井を高い位置に置くことでSB登里をピン止め。元々藤井が立っていたスペースが空くのでそこで柴崎が受けて前進。柴崎が上手くフリーになることで、時間を作りチームに落ち着きをもたらしました。

この藤井が高い位置を取る動きは柴崎の足元の技術あってこそだと思います。藤井はもちろん、チームメイトからその技術を高く評価、信頼されているからこそ「柴崎からパスが出てくる」と、チームメイトは高い位置を取れます。

サンフレ得点シーン

さらに得点シーン。逆サイドから絞ってきた柏へのピンポイントクロスでした。

柏は逆サイドから絞ってくるとき、ほぼ確実にマイナス方向に入ってきます。実際に彼に向ってボールが入ってくることが少ないのが悲しい所ですが、WBながらゴール前でスペースを見つけてフリーになっていることが多いのも事実です。

柴崎の正確なクロスによって、その動きが報われた形となりました。


雑感

前半から良い入りをして主導権を握り、後半に1本のパスから同点にされてしまったものの、今季川崎戦は2試合ともドロー。両方とも内容も伴っていましたし、手ごたえはある程度あったのかなと思います。

この試合に限ったことではないですが、戦い方の柔軟性、引き出しの数という点ではやはり脆さを感じました。2点目を取りたいのか、1点を守りたいのか。そのためにはそれぞれどういう変更が必要なのか。川崎は立ち位置を変えるなどしているので、それに対する対応策があれば良いなと。

こうして見るとサンフレは攻撃のチームではなく守備のチームだなと。攻撃においても、遅攻よりカウンターの方が怖さもあるような。

昨季は守備に比重を置きすぎてカウンターに怖さの無かった試合が多かったのが課題でしたが、サントスの加入によってカウンターの威力は増したように感じます。さらに、541の形自体は昨季と同じ守備ブロックですが、523のような意識もあると思うので、攻撃参加までがよりスムーズになったように感じます。自ら退いて守るのはコンセプトから外れているのでしょうが、現実的な戦い方の1つかなーなんて思ったりもします。どの戦い方をするにしろ、必ず撤退守備の場面はあるので、ひとまずその局面の改善があるのは良い事かなと。

自分たちの目指すボール保持時の使い方を改善しなければ、4局面が上手く回らず、結局試合として後手に回ってしまうので、遅攻の改善を待つばかりです。


最後に

さいごまで読んで頂きありがとうございます。

ここから水曜日の浦和戦、土曜日の大分戦と厳しい日程ですが、これ以上の怪我人は避けたいですね。青山は大事に至らなければ良いのですが。。。

柴崎も復帰しましたし、ヴィエイラの復帰も待ち遠しいです。


それでは次回お会いしましょう。

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