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i『おジャ魔女どれみ』全シリーズ一挙放送見て号泣し通した話。 あいこちゃん編


●おジャ魔女どれみTVシリーズ一気見
「おジャ魔女どれみ」と「カードキャプターさくら」を見て育ってきた。
さくらちゃんはNHKで何度か再放送していたのでストーリーやセリフを覚えているものも多いが、「おジャ魔女どれみ」はきっと当時見たきりではないだろうか。

映画「魔女みならいをさがして」の公開記念に先駆けてTV全シリーズをニコニコ生放送とGYAO!で2020年10月30日〜11月5日の一週間一挙放送されることとなり、全シリーズ約50話前後あるストーリーをひとつずつ見ていった。


●「妹尾あいこ」という女の子
当時見ていた頃は、はづきちゃんやおんぷちゃんがすきだったりもしたが、改めて見てみると、あいこちゃんに何度も心を動かされた。

すっかり頭から抜け落ちていたが、両親は離婚しておりお父さんと二人暮らしをしていた。料理・掃除・家事をこなし、お父さんの分の朝ごはんもしっかりつくってあげる。

それでいて、さっぱりしていてツッコミもピカイチ。
普段は明るくさばさばとしているからこそ、両親に甘えたいという小学生なら当たり前に思う気持ちがより引き立つ。

それにしても、あいこちゃん聞き分けよすぎない???!分別ありすぎ!
全シリーズ通して、大阪に住むお母さんとお父さんが会い、何度か寄りを戻そうか、という話をする。

その度にお母さんの仕事が急に入ってしまったり、お父さんの会社が倒産して路頭に迷ってしまったりして、気持ちは少しずつ近づいているというのに、"どうしようもない”理由によってすれ違ってしまう。

当時、小学生だったわたしは「こんなタイミングよく都合悪くなるわけないじゃん!わざとこじらせようとしてる」なんて思っていた、ように思う。我ながら冷めた子ども。いやね。

そりゃあ、そうだとも。アニメ作品なんだから多少の無理やりはあるかもしれない。
そうではあるんだけど、そうじゃないことだってあるんだ、小学生の私よ。そして身に覚えがありチクリとしたシーンがあった。


●細かなセリフのリアリティ
意地を張っていたあいこちゃんのお父さんは考えを改め、やっと妻であるあつこさんに会うため あいこちゃんと大阪へ行くことになった。しかし、あつこさんの携帯が鳴り、仕事場へと向かわなければならなくなる。駅の掲示板(ホワイトボード)にメッセージを残して急いで駅を後にする。(『も〜っと!おジャ魔女どれみ 第26話 思いよとどけ!あいこ大阪へ』)

「掲示板」というのが時代を感じますが、それは一旦脇に置いといて。

さて、待ち合わせ場所に到着したあいこちゃんとお父さんは、どきどきしながらお母さんを待つ。しかしお母さんが来る気配はない。いたずらに時間が過ぎていくばかり。

不運にも二人はお母さんが残した掲示板のメッセージには気づかない。気づかない、というより気がつけなかった。
ふざけてふらついた通りすがりの若者たちが掲示板にぶつかって文字をこすってしまったから……。

しびれを切らしたお父さんがあつこさんの職場である病院に電話をかけ、緊急事態によりあつこさんが病院にいることを知るのだ。
この事実を知り、お父さんは"やっぱり家族より仕事のほうが大事なんだ”とイラ立ってしまう。

あつこさんが来られないことがわかると、駅を離れあいこちゃんをたこ焼き屋さんへと連れて行った。

あいこちゃんに事情を話し、残念がる彼女を横目に

「それにしたってなんとか連絡のしようがあるやろに」

とお父さんはぼやくのだ。

ここ。

このシーン。

ひとりごとのように発せられたその一言に、リアリティが詰まりすぎて、わたしの記憶に直結したのだ。

まさにわたしの両親の話で、母親の方が比較的忙しく携帯電話を確認する暇がない職種に就いていた頃。
たいていどうでもいい連絡や確認なのだが、「いちいち確認してる余裕ない」という母親に対して、父親は「万が一なんかあったとき、すぐに繋がらないと困るだろ」と怒って度々言い合いをしていた。

わたしは、言い分だけ押し付け合う堂々めぐりを聞いているのが、とてもいやだった。だって一生終わんないんだもん。

母親の職場では、携帯電話はロッカーに置いておく決まりだし、忙しいときは昼食も十分に取れないこともある。その状況を父は理解しようとしないし、では本当に緊急の時はどうするのだという話し合いにも発展しない。

その”どうしようもできない”状況というのが現実にきちっと起こって、現実に両親が言い合いをしていたのだ。

「こんなん嘘じゃん」と思っていたわたしが、その嘘みたいなすれ違う状況に遭遇して嫌な思いを体験してしまった。


全然嘘じゃないじゃん。
こういうちょっとしたことで人はすれ違うし、誤解をするんだ。


のちのち、あいこちゃん両親が離婚した原因やあつこさんが仕事を優先してしまう理由がわかってくるのだが、最終シリーズまであつこさんの心の底の気持ちは明かされない。

本当に、人の心は外から見ているだけでは分からないということが伝わり、
わたしの脳内には、『星の王子さま』の有名なフレーズが想起される。

ままならない状況が続いても、あいこちゃんはお母さんを攻めることをしないし、お父さんに不満をぶつけることもせず、「しゃあないやん……」となんとかいい聞かせて、大切なハーモニカをふいて涙を流しながらたったひとりで葛藤するのだ。
(「おジャ魔女どれみドッカ~ン!第38話 ついに再婚!?あいこの決意」)

こんんっなできた小学生いませんよ!!!!!!!!!!!
泣いたよ。
ぼろっぼろ泣いた。


両親に甘えられないあいこちゃんは、誰に甘えれば良いのか。

助けを求め先は、「どれみちゃん」だ。

「どないしたらええ、わたし……。どないしたら……どれみちゃん」

大粒の涙をぽたぽたとひざに落としながら、あいこちゃんはどれみちゃんの名前を呼ぶ。

また号泣。涙腺崩壊。
こんなに悩み通して、手をのばす先がわたしにはあるのか、とふと我に返ってしまうほど、彼女たちの絆は深かった。

その悲痛な叫びを、遠く離れたMAHO堂にいるどれみちゃんは察知してくれるのだ。


あいこちゃんのもとへ駆けつけるため、MAHO堂に集まっていたみんなは魔法によって瞬間移動。
あやうく禁断の魔法を使おうとしていたあいこちゃんを、どれみちゃんの一言で思いとどまらせ、あいこちゃんの話をゆっくり聞くタイム。


みんながあいこちゃんを励ましている中、

「あいこはいろーんなことできるんだから、お母さんのためにできることいっぱいあると思うよ」と天真爛漫な笑顔をたたえながら嬉しそうにいうハナちゃんに救われましたよ。

マジで天使。

慎重に励ましてくれるのも優しさを感じて嬉しいけど、ハナちゃんみたいなあっけらかんとした子にかけてもらう言葉のほうが、心に届くこともあるし、楽になれるよね〜〜〜!!!
ハナちゃんありがとう〜〜〜〜!!!!
とわたしが救われていたり。

とにかく、ほんとに、みんないいこだ……。

わたしの話しに戻り恐縮ですが‥

両親の言い合いがはじまると、そのまま自室に逃げるか「うっさいうっさい!」と無理やり終了させるかしていたが、きっとあいこちゃんならふたりの気持ちを落ち着かせてあたたかくなる言葉をかけてくれるに違いない。

……と思い、あいこちゃんという人間を全力で尊敬したのだった。


高等遊民になりたい………。