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ロンドン大学通信課程の実際

現在、新型インフルエンザウィルス(Covid-19)の影響で、各大学もオンライン授業を導入するなど新しい生活様式に対応しようとしています。オンライン教育に特化したシステムを導入するなどして、オンタイムで講義を配信し、学生の発言を反映したり、インタラクティブな機能を盛り込むなど、対面授業に比べて可能な限り教育の質の低下に歯止めをかける努力をしています。

それでは、ロンドン大学通信教育、特にLSE EMFSSやSOAS MScプログラムはどうなのでしょうか。実際は、このような時代にあっても、双方とも伝統的な方法を取る通信教育であると思います。つまり、基本的には大学から送られてくるテキスト教材を元に、自分で勉強を黙々と進めていくことが全てです。

LSE監修 EMFSSプログラム

大学から送られてくるのは、Subject guide(SG)だけと言ってもいいでしょう。他に、独学のTipsをLSE独自にまとめたStrategies for Successと言った薄い書籍が送られてきます。そこには、日々の学習の進め方、スケジュールの立て方、試験準備の方法、Notetakingの方法、悪い答案例などが載っています。市販の独学マニュアル本より非常に参考になります。必ず一度読みます。

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指定教科書は自分で別に手配せねばなりません。4科目のEssential reading指定教科書を揃えると、さらに2-3万円程度が学費に加えて掛かります。大学推薦の書店もありますが、そこは欠品揃いです。やはり価格、在庫、納期面からAmazonが圧倒的です。Further reading内の書籍に関しては、入手性に難、お金の面もあり購入しませんでした。

EMFSSプログラムサイトはありますが、そこにはpdf版のSGがあったり、過去問があったり、一部動画の講義があったりしますが、当時は双方向要素はほぼ皆無でした。現在は不明ですが、当時はAcademic tutor(教官)も割り当てられませんでした。ですので、提携教育機関に所属する学生と異なり、積極的に自分でForum上で他の学習者と接触しない限りは、孤独との戦いともなります。そこは辛い側面だと思います。ただLSE EMFSSプログラムは、学生が多いこともあり、Forum投稿も活発だと思いました。

SOAS監修 MScプログラム

SOASに関しても、LSEと基本的に同じです。つまり、送られてきた教材に従って、黙々と読み込みひたすら独習していきます。LSEと異なり、指定教科書の費用が全て含まれています。自分で新たに購入する必要はありません。

Study material packの例(Corporate Finance科目:Study guideルーズリーフ222ページ、文献集2分冊605ページ、指定教科書904ページ)

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こちらは、MoodleベースのBloomsberry Learning Environment(BVE)が学習プラットフォームとして提供されます。過去問、pdf版のSGファイル、関連したExcelファイルに加えて、Module(科目)毎にForumが設定されています。試験前後を除き、Forum上の議論はほぼ皆無です。

大きな違いと言えば、Module毎にAcademic Tutor(教官)が割り当てられることです。教官はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、フランスのグランゼコールなど外部教育機関所属の先生もいらっしゃいます。学習していく中で疑問点がある場合、質問・相談することが可能です。そのことは非常に大きいと思います。さらには、TMA(Tutor Marked Assignment)と言うEssay課題もそこで提出します。BVE上に課題を提出すると、即座にTurnitinと言う盗用検出システムに掛けられるようになっています。

Turnitinは、あらゆる書籍、文献、学生リポート、さらには自らの過去に提出したレポートまで照合して盗用(plagiarism)、俗に言うコピペをしていないかどうかを検出するシステムです。結果は類似性(similarity)レポートとして過去の文献と何%類似しているかで評価されますが、学生には結果は開示されません。その採点もTutorが行っています。提出の10日後に点数が発表され、Essayの内容についてもコメント、今後のアドバイスなどが貰えるようになっています。Plagiarismに関しては非常に厳しく、最悪の場合退学となります。

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LSE EMFSSの評価は、学年末試験までOutput要素は一切ありませんでした。そこは辛いです。他方SOASは、TMAがあることで、Moduleの中盤と終盤で必ず提出しなければならない課題があるため、学習のペースが出来てきます。どちらも基本的には伝統的な通信教育手法ですが、SOASの方が、Tutorも割り当てられ、相談・質問もできるなど双方向要素もあるので、そこは有利だと思いました。


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