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オリジナル警戒標識: 高波・越波・冠水・転落注意

警戒標識の中でも特定の道路管理者によってのみ設置され、特定の場所にしかないめずらしい「水物」系警戒標識について見てみよう。場所が特定できるものについては、できる限りGoogleストリートビューへのリンクも提供している。


標識・看板を設置する目的

意味としては「(215)その他の危険」に相当しており、通常の警戒標識で表現できない道路上で警戒すべきことや危険を知らせ、注意深い運転を促すのが目的である。

高波注意・越波注意は海沿いの道路で悪天候時に高波が道路にまで届くことを警告、冠水注意はアンダーパスの入り口にあり悪天候時に冠水していて通行不能になっている可能性を警告、転落注意は港湾で柵がない行き止まりの道路に通常あり、そのまま進むと気づかずに海に転落する危険性を警告している。

「水物」系の危険は、どれも車両が再起不能になったり死亡事故につながる可能性があるため十分に注意したいところだ。

標準形が存在しないが複数の道路管理者で同一図柄を使う場合も

それぞれの図柄には標準形は定義されていない。敢えて定義するなら、「(215)その他の危険」に補助標識で警告内容を記載するものだ。実際、そのように運用されている例も多くみられる。一部の道路管理者では、「(215)その他の危険」を使わずにオリジナルな図柄で警告内容を表現している。

また、オリジナル図柄を採用する際には、まったく独自のものを作らずに、他の道路管理者が作成した既存の図柄を参照することも多いようだ。

高波注意・越波注意

高波注意・越波注意は海沿いの道路で悪天候時に高波が道路にまで届くことを警告している。高波注意・越波注意は基本的に同じ意味で、道路管理者が好みで選択しているようだ。

警戒標識「高波注意・越波注意」
左上から右下に向かって
❶水しぶき、❷水しぶき (反転)、❸水しぶき+車
❹水しぶき+堤防+車、❺水しぶき+堤防+車(反転)、❻水しぶき+車(カラー)
❼水しぶき+車(カラー、反転)

北海道久遠郡せたな町大成区太田 (Googleストリートビュー) - この図柄は北海道、福井、岡山、愛媛などで一番広く使われている。岩手でも目撃情報がある。
福井県南条郡南越前町大良 国道305号線 越前・河野潮風ライン (Googleストリートビュー) - 同じ道路上に上下線で合計11基ある
岡山県玉野市渋川4丁目 国道430号線 王子マリンロード430 (Googleストリートビュー)
愛媛県松山市大浦 国道196号線 (Googleストリートビュー)
愛媛県大洲市長浜町今坊 国道378号線 夕やけこやけライン (Googleストリートビュー)
愛媛県大洲市長浜町今坊 国道378号線 夕やけこやけライン (Googleストリートビュー)
北海道枝幸郡枝幸町目梨泊 国道238号線旧道 北見神威岬付近 (Googleストリートビュー) - この図柄は北海道と福井で使われている。
福井県丹生郡越前町午房ヶ平 国道305号線 漁火街道 (Googleストリートビュー) - 同じ道路上に上下線で合計4基ある
石川県鳳珠郡穴水町根木ニ 国道249号線 (Googleストリートビュー)
石川県鳳珠郡能登町藤波 国道249号線 (Googleストリートビュー)
石川県七尾市中島町田岸ヘ 国道249号線 (Googleストリートビュー)
新潟県村上市吉浦 国道345号線 (Googleストリートビュー)
新潟県村上市間島 国道345号線 (Googleストリートビュー)

冠水注意

冠水注意はアンダーパスの入り口にあり悪天候時に冠水していて通行不能になっている可能性を警告している。

警戒標識「冠水注意」
左から右に向かって
❶冠水注意 (滋賀、福島)、❷冠水注意 (長野)、❸冠水注意(福井)

福島県須賀川市森宿茶畑 県道355号線 (Googleストリートビュー)
滋賀県草津市追分南8丁目 県道2号線 (Googleストリートビュー)
長野県長野市吉田4丁目 (Googleストリートビュー) - 長野市のアンダーパスでしか見かけないが、埼玉県所沢市の関越自動車道のアンダーパスの看板でもこの図柄の目撃情報あり
福井県小浜市羽賀 (Googleストリートビュー) - 一帯に合計6基ほどある。

転落注意

転落注意は港湾で柵がない行き止まりの道路に通常あり、そのまま進むと気づかずに海に転落する危険性を警告している。転落注意は全国でほぼ同じ図柄が使われており (車の形状が丸い/四角い、車に窓がない、波が少ないなどの多少の違いはあるものがある)、全国で60枚以上同じ図柄が存在するなど "異形" 警戒標識の中でも数が最も多いもののひとつである。一部、その場限りのオリジナル標識が使われているところもある。また、海がない場所、たとえば積雪すると崖下への防護柵が埋まってしまうような場所にも設置されている場合がある。

左から右に向かって
❶転落注意、❷転落注意 (北九州1)、❸転落注意 (北九州2)

北海道函館市海岸町 函館港 (Googleストリートビュー)
岩手県九戸郡洋野町種市第3地割 八木港 (Googleストリートビュー)
岩手県久慈市長内町第40地割 久慈港 (Googleストリートビュー)
新潟県佐渡市 羽茂大橋 羽茂漁港 (Googleストリートビュー)
新潟県長岡市寺泊片町 寺泊港 (Googleストリートビュー)
石川県金沢市大野町4丁目甲 金沢港 (Googleストリートビュー)
愛知県豊橋市神野ふ頭町 三河港 (Googleストリートビュー)
三重県四日市市富田一色町 四日市港 (Googleストリートビュー)
京都府舞鶴市浜 舞鶴港 (Googleストリートビュー)
鳥取県西伯郡大山町赤松 県道24号線 (Googleストリートビュー) - 港湾でなく山道にある唯一のケース。周りに合計4基ある。
香川県高松市朝日新町 高松港 (Googleストリートビュー) - オーバーハング式
愛媛県宇和島市本九島 県道313号線 (Googleストリートビュー) - 海沿いの道の車両通行不能区間の警告
長崎県佐世保市新港町 佐世保港旅客船ターミナル (Googleストリートビュー)
福岡県北九州市八幡西区築地町 (Googleストリートビュー)
福岡県直方市植木 (Googleストリートビュー)

それぞれの図柄の場所は、拙作の信号機・交通標識マニアの名所マップも参考にしてほしい。

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