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UFO型信号機 (懸垂型交通信号機)の事情

UFO型信号機という単語を聞いたことがあるだろうか。最近マスコミやニュースでも何回か取り上げられており、設置場所を見に行ったり写真を撮る人も増えているようだ。さらに2023年までに完全撤去される予定になっていることもあり、関心を寄せる人も絶えない。この記事ではUFO型信号機の詳細について見てみることにする。

"UFO型信号機" の定義

UFO型信号機というのは通称名で正式な名称ではない。銘板には「懸垂型交通信号灯器」あるいは「細街路用信号灯器」といった名称が刻まれており、これらが正式名称だ。ただし、「懸垂型」というのは太い支柱から交差点の真ん中に吊り下げられた長いアームに4方向が集約されて設置されていることを示しているのみで、集約された灯器の状況までは指定していない。

以下に新旧の懸垂型信号機の主な設置パターンを図示してみた。UFO型信号機は誰かが厳密な定義をしているわけではないが、ネット上では、主に図の上段側のものを呼んでいるようだ。下段側のものは昔は上段の旧式のものが更新され全国的にもそれなりに見られるようだがUFO型と呼ばれていない事が多い。

図: 下から見上げたときの図。
上段の場合はUFO型信号機と呼ばれ、下段の場合は呼ばれないことが多いようだ

UFO型信号機と呼ばれるためには

  • 懸垂型信号機であること (必須)

  • 横型であること (必須)

  • 一体型 (=旧式の角型信号機の特殊版)であること

  • 歩行者用信号機が一緒に集約されていること

あたりが条件となるようだ。上記の4条件をすべて厳密に満たすものは、図の中の左上のみで、名古屋電機工業株式会社が1975年 (昭和50) 頃から10年くらいで設置したものを指す。

UFO型信号機が設置された経緯と最近の事情

街中もしくは住宅地の狭い路地の交通量が増え、信号機設置の要望があるにも関わらず、狭くて信号柱を設置するスペースが取れない狭い交差点で、太い信号柱を1本設置するだけで設置できるUFO型信号機が1970年代に設置されるようになった。

現在はLED型に更新されている愛知県名古屋市中区大須の個体をはじめ、1975年 (昭和50)から約10年ほどで宮城県、群馬県、愛知県に設置された (名古屋電機工業製)。他に高知県、島根県、広島県、岡山県、大阪府、滋賀県、長野県、埼玉県、栃木県、岩手県などでも懸垂型の設置が見られる (こちらは日本信号、小糸工業等も製造している)。

しかし特に一体型の角型信号機は特注品で製造するメーカーも限られることから高コストでもあり、あまり広がらなかったようだ。歩行者用信号機が交差点上に集約されているのも、歩行者にとっては見づらく初見殺しである。その後の信号機更新のタイミングでは、汎用型の部品を使った電球型信号機の集約設置に更新されたり、交通事情の改善や信号機の技術革新により撤去されたり、低コスト型LED信号機の通常設置に置き換わったりしているのが現状だ。

歩行者にとっては視線上に歩行者用信号がないため、懸垂型設置は見にくい

厳密な個体が残っているのは宮城県のみ

全国的には旧式の角型信号機の更新が進む中、宮城県は2010年代半ばまで旧式が大量に残っていた。それぞれが交差点の形状に合わせた特注品でもあり、十字路の交差角度により灯器が向く角度も調整された一点ものが設置されていることもあった。その後ネットでも話題になり、宮城県でも遅くても2023年までにすべての旧式UFO型信号機を更新することが決まっている。

LED信号機で再現された名古屋の信号機

名古屋電機工業株式会社のお膝元である愛知県名古屋市中区大須の赤門通と裏門前町通の交差点では、1975年 (昭和50)にUFO型信号機が設置されたが、現在はUFO型を模したLED信号機に置き換えられている。歩行者用信号機までも集約設置したLED信号機は全国でもここだけのようだ。ちなみに、信号灯器は一般的なものの組み合わせで設置できる。横型の歩行者用信号もアーケードや高架橋下などの高さがない場所に設置されているものを見ることが出来る。

さまざまな懸垂型信号機

UFO型信号機と呼ばれるもの、呼ばれないものを含め、全国には様々な懸垂型信号機が設置されている。

歩行者信号機がない角型一体型

電球型

縦型

LED集約型

参考記事:

宮城県に残るUFO型信号機のマップ:

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