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反対の意味になる(?)規制標識

概要

規制標識の中には、絵柄が同じで色やデザインが異なるものがある。特に、青が基調のものと赤が基調で斜線が入ったもの (大文字の "N" を形どったものと言われている) に分かれるが、それぞれの意味は、「対象のもののみ許可」「対象のものを禁止」なので、反対の意味になっているとも考えられる。

この記事では、実際に反対の意味になっているのか見てみよう。

クルマ

(左) (325) 自動車専用
(中央) (304)二輪の自動車以外の自動車通行止め
(右) (503-B)車両の種類: 二輪の自動車以外の自動車

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まず、中央と右から見ていこう。これらに書かれている「クルマ」のシンボルは、いずれも「二輪の自動車以外の自動車」を表すものである。つまり、バイクや原付などの二輪車は入らない。シンボルが見た目通りである。

一方、左の「自動車専用」であるが、これは「二輪の自動車以外の自動車のみ通行可能」という意味ではない。「高速自動車国道」または「自動車専用道路」という特別な意味が定義されているためである。車両の種類の規制について特別な意味としては、以下の2つがある。

● 125ccを超える二輪車は通行可能
● 四輪自動車でもミニカーは通行できない

また、125ccを超える二輪車の二人乗りは、2005年 (平成17) 4月1日以降は「年齢20歳以上」かつ「自動二輪車の運転免許を受けた期間が3年以上」の場合に限り許可されるという意味も付く。

つまり、「自動車専用」はシンボル通りの意味にはならず、したがって、「クルマ」のシンボルの場合は「〇〇専用」と「〇〇通行止め」で反対の意味にはならない。

自転車

(左) (325の2) 自転車専用
(中央) (309) 自転車通行止め
(右) (503-B)車両の種類: 自転車

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「自転車」の場合はどうだろう。規制標識に書かれている名前では、どれも「自転車」となっているので、一見同じものを許可、禁止しているように見える。しかし、結論から言うと、これらはそれぞれ異なるものを指している。(325の2) 「自転車専用」、および(325の3) 「自転車及び歩行者専用」でいう「自転車」とは、「普通自転車」のことを指すからだ。

普通自転車とは、自転車のうち、四輪以下で側車が付いていない長さ190cm以下、幅60cm以下で乗車装置(サドル、座席)が1つのみ、制動装置(ブレーキレバー)が走行中容易に操作できる位置にあり、他の車両を牽引していない、歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないもの。幼児用座席は付いていて構わない。

普通自転車に該当しないのは、催事に使われる大きな自転車や、遊園地などにある2人以上乗り自転車 (タンデム車)ペダル付き電動自転車などである。これらは自転車専用、自転車及び歩行者専用の道路を走ることはできない。また、車椅子、歩行補助車、小児用の車は歩行者とみなされる。

ここでいう「自転車」は原動機が付いていない軽車両の一種だ。原動機付自転車 (原付) は道路交通法上「自転車」にも該当しない。また、余談だが、原動機付自転車は道路運送法上では125cc以下の自動二輪のことも指すため、同じ原付でも指す範囲が異なる。このような紛らわしい定義は止めてほしいものだが...

つまり、まとめると、左のものは「普通自転車」、中央と右は「自転車」のことを指している。

尚、更に余談だが、左のものと中央/右とは自転車の絵柄が異なっており、左のものは「左向き」、中央/右は「右向き」となっている。後続のバスもそうなのだが、左右の向きがあるシンボルについては、「〇〇通行止め」や「補助標識」の既定の方向は車両の向きは右向き、青地の「〇〇専用」や「〇〇通行帯/通行区分」は車両の向きは左向きになっているようである。

原付

(左) (327の8) 原動機付自転車の右折方法 (二段階)
(右) (327の9) 原動機付自転車の右折方法 (小回り)

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これは通行止めに関する規制標識ではなく、どちらも原付の交差点における右折方法を指定しているものである。

原付は通常のルールとして、信号機がある片側の車両通行帯が2以下の「狭い道路」の交差点での右折時は、自動車と同様に道路の右側端に寄って右折 (小回り)し、片側の車両通行帯が3以上の「広い道路」の交差点での右折時は、交差点の側端に沿って二段階で右折すると定められている。このルールと違う方法で原付の右折を行わせたい場合に左、または右の規制が行われる。

(327の8)原付の二段階右折の規制は、「狭い道路」でも交通量が多かったり交差点の構造が特殊なため二段階右折をさせたい場合、(327の9)原付の小回り右折の規制は、「広い道路」でも三差路等の交差点で左折する車が多かったり、変形交差又は多枝交差等のため二段階右折が危険だったり適していない場合に小回り右折をさせたい場合に設置される。

両者とも地点規制が基本だが、(327の8)原付の二段階右折の規制は区間規制になることもある。

ちなみに、自転車などの軽車両には、車線数に関わらず二段階右折をする必要がある。

これらは、左と右で反対の意味になっている。(やっと反対の意味のものが出てきた!)

バス

(左) (325の5-A) 許可車両専用
(中央) (306) 大型乗用自動車等通行止め
(右) (503-B)車両の種類: 大型乗用自動車等 (大乗等)

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左のものは2020年11月に制定されたばかりであり、特定車両停留施設と呼ばれる国が許可される施設、たとえば今後の整備が予定されている東京の品川駅西口、新潟駅前、神戸三宮駅前ターミナルなどを念頭に新設されている。

中央、右のものはバスの中でも「大型乗用自動車等」と呼ばれる種別のものを表す。これは車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗車定員30人以上の乗用車である「大型乗用自動車」と、車両総重量8トン以上11トン未満、最大積載量 5トン以上6.5トン未満、乗車定員11人以上29人以下の自動車である「特定中型乗用自動車」のことを指す。

左のものは、ターミナルへの停留が許可される路線バス、貸切バスなどのことを意味するようになると思われるが、現時点でまだ適用例がないので不明である。大型乗用自動車等に限定されているかどうかも不明である。今後の展開が待たれる。

余談だが、バスのシンボルは左のものは最近になって制定されたため、ポップなデザインとなっており、中央や右のデザインとは異なっている。また、左のデザインは左を向いており、中央や右のデザインは右を向いている。

トラック

(左) (325の5-C) 許可車両専用
(中央) (305) 大型貨物自動車等通行止め
(右) (503-B)車両の種類: 大型貨物自動車等  (大貨等)

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左のものは、これも2020年11月に制定されたばかりであり、特定車両停留施設と呼ばれる国が許可される施設、たとえば今後の整備が予定されている東京の品川駅西口、新潟駅前、神戸三宮駅前ターミナルなどを念頭に新設されている。

中央、右のものはトラックの中でも「大型貨物自動車等」と呼ばれる種別のものを表す。「大型貨物自動車」「特定中型貨物自動車」「大型特殊自動車」のことを指す。

左のものは、ターミナルへの停留が許可される貨物車のことを意味するようになると思われるが、現時点でまだ適用例がないので不明である。大型貨物自動車等に限定されているかどうかも不明である。今後の展開が待たれる。

これも余談だが、トラックのシンボルは左のものは最近になって制定されたため、ポップなデザインとなっており、中央や右のデザインとは異なっている。また、左のデザインは前を向いており、中央や右のデザインは右を向いている。

おまけ

(左) (302) 車両通行止め
(右) (316) 駐車禁止

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この2つの標識、デザインは同じで色だけ違う。青が色あせた古い標識であれば見間違う可能性もあるかもしれない。また、この2つがダンゴになっているケースも存在するようである。しかし、意味は全く違うので注意が必要である。

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