いろいろな可変標識
可変標識、または可変式道路標識とは、日時や曜日、道路状況等によって、遠隔制御や時間プログラム、温度センサー、時には手動で内容を変えることができる標識のことである。可変標識には「可変式速度標識」「可変式規制標識」「可変情報版」「可変標示板」などの種類があり、規制標識や指示標識、案内標識の内容を切り替える。また、可変標識は昭和の時代、まだ白黒写真の時代から様々な型式が設置されている。電源が必要なもの、太陽電池で動作するものもある。旧式から最新式まで、この記事ではさまざまな可変標識を紹介する。
可変標識が設置される理由
日本の道路には日時や車種等を細かく指定した複雑な規制が多く見られるが、通常の規制標識だとドライバーが現在規制中の内容を判断するのに時間を要する場合などに可変標識が設置される。可変標識は、その瞬間に規制されている内容のみを表示するため、ドライバーが規制内容をより判断しやすくなる。
また、道路状況等の変化する状況をドライバーに伝えるための案内目的で設置される場合もある。
可変標識の例
街中でよく見られるのは、日時や曜日によって変更される規制標識の現在の規制内容を表示するものである。
少しレアなものとしては、時間により中央線が切り替わる道路で複数の可変標識を使って進行方向から通れる車線を示す標識がある。(中央線変移システム)
また、通常は同じ規制標識が表示されており、臨時の場合に遠隔操作で内容を切り替えるものもある。
可変式標示板
道路状況や期間限定の規制等を伝える目的で、LEDで文字を書いて内容を知らせる標識である。同じものを点滅させて注意を促す標識、速度検知をしたり一定温度以下など道路状況で自動で内容が切り替わり警告を表示する標識、遠隔操作で道路状況や規制内容を伝える標識などがある。
可変式速度標識
主に高速道路や自動車専用道路で見られる。状況に応じて最高速度や最低速度の標示を切り替える。消灯されている場合もあり、その場合は既定の法定速度 (高速道路なら100km/hなど)となる。車種別にダンゴになっている場合がある。内容の変更は通信回線で行われている場合がある。
最新型
可変式標識の最新版は、フルカラーのLED表示版を用いて、内容を自在に変更できる (約50パターン) デジタル可変式の型式が登場している。
手動式
数は少ないが、標識板を回して手動で切り替える方式も存在する。切り替え頻度が年に1回など少ない場合は手動式で対応している場合もあるようだ。
可変標識の分類と型式
可変標識は以下のように分類される。
表示・切替方式
灯火式: 蛍光灯やLEDを標識の内部に設置することで自ら光る内照式。
字幕式: 図柄を描いた幕を上下にスライドさせて表示を切り替える。
反射式: 太陽光やヘッドライトを反射させる通常の標識と同じ方式。
回転式: 円形の可変標識で円板を回転させることで表示を切り替える。
上下式: 可動板を上下にスライドさせることで表示を切り替える。
LED式: デジタル可変標識。表示内容を約50種類から自由に選択できる。
電源方式
通電式
太陽電池式
手動切替
警察庁の仕様書名
単独灯火式可変標識(警交仕規第10号): 1971年に仕様化。オーバーハング型等。
単独全反射式可変標識(警交仕規第12号): 1971年に仕様化。円形をしており2可変。円板を回転させることで表示を切り替える。オーバーハング型等。
交通管制用可変標識(警交仕規第19号): 1976年に仕様化。字幕式で10種類の中から表示する。オーバーハング型等。
3可変灯火式可変標識(警交仕規第25号): 3可変。警交仕規第10号の進化型。
路側式可変標識(警交仕規第40号): 1981年に仕様化。「I」形と「II」形がある。太陽電池式。「I」形は円形をしており2可変で円板を回転させることで表示を切り替える。警交仕規第12号の改良型路側版。
A形3可変灯火式可変標識(警交仕規第46号): 3可変。警交仕規第25号の進化型。
A型全反射式可変標識(警交仕規第48号): 2可変。警交仕規第12号の進化型。
照度対応可変標識(警交仕規第68号): 1992年に仕様化。
U形3可変標識(警交仕規第241号): 1999年に仕様化。図柄が描かれた複数の三角柱を回転させて表示を切り替える。3種類の図柄を切り替えることができる。今日良く見られる形の一つ。
3可変標識(警交仕規第1022号):
可変標識の歴史
可変標識は1969年 (昭和44)に、東京新宿区神楽坂の逆転式一方通行の規制状況を表示するために初めて設置された。翌年の1970年 (昭和45)には、時報の電波を受信して時計プログラムで内容が切り替わる可変標識が設置された。
1981年には路側式可変標識(警交仕規第40号)が登場し、太陽電池式かつ万年プログラムを持つため、設置場所の制約がなくなり、その後の10年位で生活道路の狭い路地や郊外の道路など幅広い範囲に設置された。しかしコストは通常の標識よりも高額になるため、それから約30年が経ち故障などにより更新時期を迎えるタイミングで通常の標識に戻されるケースも多い。
街中でよく見かけるU形3可変標識板(警交仕規第241号)は1999年に登場した。2018年よりフルカラーLEDによるデジタル可変標識が設置されるようになった。
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