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どうしてこうなった!? 縦割り行政の無駄な交通標識

道路標識の設置には、都道府県公安委員会、警視庁 (東京の場合)、道路管理者 (都道府県建設局や国土交通省、市区町村など)等、いくつかの組織・団体が関与している。たとえば、案内標識や警戒標識は主に道路管理者が設置し、規制標識や指示標識は主に都道府県公安委員会が設置する。そのため、時にはお互いの連携が取れていない "縦割り行政" が発生する。典型的でよく見かけるのは、警戒標識と規制標識が同じ場所にあるのに異なる支柱に設置されている例である。しかし、時にはより大きなムダが発生することもある。

東京都江東区豊洲にある大型道路案内標識

東京都江東区豊洲の晴海通りにある、有名なオーバーヘッド型の大型道路案内標識。10mと離れていないところに大型のオーバーヘッド型の柱が2つ建っている。下り線に掲示されている案内標識は、両方とも先の豊洲交差点での案内をしているもので、同じ内容である。

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一方、上り線の内容は、片方は先の交差点での案内標識、もうひとつはバス専用車線の指示標識であり、内容は異なるのだが、同じ柱に設置してしまえばいいのでは?という内容である。

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標識設置者を見てみると、亜鉛メッキ塗装の支柱は「東京都建設局」、茶色の支柱は「警視庁」が設置していることがわかる。

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案内標識は本来、都道の道路管理者である東京都建設局が設置するものだが、東京都では大型の規制標識、指示標識を警視庁が設置することがあり、そのついでに案内標識も設置している例があるため重複になったと思われる。厳密に言うと、進行方向別の通行区分を表す標識は規制標識なので警視庁が設置する役割を担う。一方、その上に載せている標識は案内標識で、通行区分と組み合わせると、事実上案内標識と同じ役割を果たす。

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大型の案内標識は1つ設置すると数千万円の費用がかかると思われるため、このような重複はなくしてほしいものだ。

まだまだある!重複する無駄な交通標識

この他にも、東京都内の限られたエリアだけでもこのような重複は結構見かけられる。ただ、多くは、別の組織が縦割り行政により別の標識を立てているというよりは、同じ公安委員会設置の標識が重複しているケースが多かった。片方は更新がされていないケースが多く、昔に設置した物の管理が漏れていて新しいものを別に設置してしまったように見えるものが多かった。

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場所: 東京都中央区日本橋
交差点手前の左側に指定方向外進行禁止の同じ標識が続けて2つ設置されている。手前のものは支柱も古く管理されていない可能性がある。

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場所: 東京都千代田区 靖国通り
道路左側の指定方向外進行禁止の同じ標識が続けて2つ設置されている。右折を禁止したいもののようだが、少し先に左斜め前に一方通行で進行可能な道があり、このことが考慮されていない。本来は以下のような異形矢印標識がふさわしいものと思われる。

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場所: 東京都中央区日本橋 小舟町交差点
車両進入禁止の標識が同じ側に2つある。手前は少し向きが変わっているが、画面右方向から右折で入ってくる車向け?

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場所: 東京都新宿区四谷四丁目交差点付近 甲州街道下り新宿御苑トンネル入り口
道路右側に原付、軽車両、歩行者通行止めの標識が2つ至近距離である。この1年の間に反対車線の大型標識柱が更新された際に、なぜかもう一組、設置されてしまった。

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場所: 東京都江東区亀戸 明治通りの亀戸中央商店街入り口
歩行者専用の標識が道の左に1つ、右側に2つある。右側の奥は重複?

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場所: 東京都中央区日本橋 室町3丁目交差点
駐車禁止の標識が重複している。

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場所: 東京都港区新橋
ぱっと見て同じ標識が4つ。これは多すぎでは!?

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場所: 東京都中央区八重洲 鍛冶橋交差点
道路の左右に指定方向外進行禁止の標識が2つずつある。こんなにいる?少なくとも左右ひとつずつでいいのでは!?

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場所: 東京都文京区湯島 三組坂下交差点
正面が一方通行出口で直進できないことの警告だが、進入禁止4枚が配置されている。

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場所: 東京都新宿区弁天町付近
追い越し禁止の終わりが少し離れて重複している。手前のものは、この場所でオレンジ色の中央線が終わっていないため意味がない。古い標識が放置されているものと思われる。

通常の道路標識も、一つ設置すると30~40万円程度掛かるため、このような無駄は極力減らしてもらうように要望したい。



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