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みどりの窓口騒動から学ぶセルフスタンドの顧客満足度向上策

1.みどりの窓口騒動とは


 この記事では「みどりの窓口」騒動から、セルフサービスのガソリンスタンドが、顧客に支持されるためのポイントを見ていきます。

 「みどりの窓口」は、JRグループが駅構内に設置・営業する乗車券類発売所です。これは、有人窓口なので、機械操作に慣れていない人や、初めてきっぷを購入する人でも安心して利用することができます。また、窓口係員に質問したり、相談したりすることもできるので、きっぷ選びや旅行計画のアドバイスを受けることもできます

 JR東日本は2021年5月、2025年までに「みどりの窓口」を7割削減する方針を発表しました。これは、乗車券などの購入をセルフサービス化することを意味していますが、同社は2024年5月にこの方針を凍結しました。以下では、その背景を見ていきます。

2.窓口削減方針凍結の背景

 削減方針凍結の背景として、主に以下の3点が挙げられます。

(1)経済活動の回復とインバウンド増加による窓口混雑

 2023年以降、経済活動の回復やインバウンド(訪日外国人)の増加により、一部の窓口で激しい混雑が発生しました。特に、定期券購入や外国人観光客向けのきっぷ販売で混雑が顕著でした。

(2)利用者からの苦情

 混雑状況の悪化を受け、利用者からは窓口削減への懸念や反発が多く寄せられました。特に、高齢者や障がい者など、オンライン予約が難しい利用者にとっては、窓口の存在が不可欠であるという声が多く聞かれました。

(3)デジタル化の進展と窓口機能の見直し

 JR東日本は、みどりの窓口の機能の一部を券売機やスマホアプリに移行するなど、デジタル化を進めています。しかし、窓口完全廃止は利用者の利便性を損なう可能性があるという懸念もあり、窓口機能の見直しが急務となっていました。

「どんだげ待でばいいんだべのぉ」

 このことは、JR東日本が提供しようとしたセルフサービスが受け入れられなかったことを意味しており、セルフサービスのガソリンスタンドにおいても、他人事ではありません。よって、現在自店が提供しているセルフサービスが顧客に支持されているのか、検討する必要があると言えるでしょう。

 特に、計量器や洗車機の操作で戸惑う顧客は多く、セルフサービスだからとその対応を粗末にすることなく、充実した対面サービスも求められているのではないでしょうか。以下では、この対面サービスについて見ていきます。

3.戸惑う顧客への対応

 セルフスタンドでは、慣れた利用者にとっては簡単な操作も、初めて利用する方にとっては戸惑ってしまうものです。そんな時、スタッフの親切丁寧な対応が、顧客満足度を大きく左右しますが、そのポイントは以下の通りです。

「やり方、わがんねぇのさ」

(1)目配りをして積極的に声をかける

 機械の前で立ち尽くしたり、不安そうにキョロキョロしたりしている顧客を見かけたら、積極的に声をかけましょう。機械の使い方や給油の仕方を丁寧に説明することで、不安を解消し、スムーズな利用をサポートできます。

(2)丁寧な説明で安心感を与える

 「そんなことも知らないのか」という気持ちは捨て、顧客の立場に立って、分かりやすく丁寧に説明することが重要です。手順を一つずつゆっくり説明し、分からないことがあれば気軽に質問できるように促しましょう。

(3)不機嫌な顧客の挑発に乗らない

 乱暴な言動の顧客に乱暴な接客をするスタッフもいますが、いちいち腹を立てず、大きな器で接するようにしましょう。そのような顧客の言動に影響されて、不機嫌な接客をするのは、顧客の挑発に乗ってしまっているとも言えます。自分の機嫌は他人ではなく自分でコントロールすることを踏まえて接客することが必要です。

 さらに、より喜ばれるサービスを積極的に提供していくこともポイントです。以下にその具体例をご紹介します。

4.セルフサービスにプラスαのサービスを

 あるセルフサービスのガソリンスタンドでは、それまで顧客自身が実施していた空気圧点検を、スタッフが給油中に無料で実施することにしました。

 この取組みにより、顧客は以下の負担を軽減することができます。

「自分でやりたぐねぇのさ」
  • 手先の汚れ:バルブキャップにはブレーキパッドの粉などが付着しており、取り外すと手が汚れてしまいます。スタッフが点検を行うことで、顧客は手を汚さずに済みます。

  • キャップ紛失のリスク:バルブキャップをはずした際に、誤ってホイールカバー内に落としてしまうことがあります。スタッフであれば、落とす可能性は低いですし、仮に落としてしまっても、ホイールカバーを外して取り出すことができます。

  • 空気漏れのリスク:空気圧点検時に、エアーフィクサーをまっすぐにバルブに挿さないと、空気が漏れてしまいます。スタッフであれば、そのようなことも防止できます。

 さらに、スタッフが点検を行うことで、すり減ったタイヤが発見され、交換を促すことも出来ました。

5.まとめ

 セルフスタンドでは、機械操作に不慣れな顧客への丁寧なサポートや対面サービスの充実が求められています。スタッフが積極的に声をかけ、丁寧な説明を行うことで、顧客満足度を高めることができます。また、空気圧点検などのプラスαのサービスを提供することで、顧客の負担を軽減し、業績の拡大を促すことができます。

 「セルフサービスで良かった」と顧客が思えるように、コミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことが、セルフサービスの成功につながるでしょう。

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