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ガソリンスタンドが採用面接でマッチングを見極める!「相性の5軸」に基づく質問

1.はじめに


 厚生労働省は、令和2年3月に学校を卒業して就職をした方の3年以内の離職状況を公表しました。

 これによると、就職してから3年以内に離職した割合は、高卒者が37.0%(前年度比1.1ポイント上昇)、大卒者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。

 また、ガソリンスタンドが含まれる小売業に限って見てみると、3年以内の離職率は高卒で48.3%(前年度比0.7ポイント上昇)と全産業の第3位、大卒者が38.5%(同2.4ポイント上昇)と同第5位となっています。

 この調査は就職した方を対象にしていますが、アルバイトスタッフであれば、早期離職率はさらに高くなっていることが想定されます。

 早期離職は、採用に費やしたコストや労力のリターンが十分に得られないため、防止策が必要です。そこで今回の記事では、ガソリンスタンドの採用面接で見極めるべき内容について見ていきます。

「また辞められてしまった・・・」

2.「相性の5軸」とは

 株式会社リクルートエージェントが、第二新卒(大学卒業後、一度就職したものの、その後2年以内に離職し、改めて就職活動を行う若者)クラスの6,000人を対象に実施した200問のアンケート調査から発見した「相性の5軸」は、求人企業と応募者がどの点を重視するかの一致度が、定着率に大きく影響するというものです。

「どうも相性が合わねんた感じがするんだっきゃ」

 これは以下5項目について、自店が重視するものと応募者が重視するものが一致していると、離職率が低いというものです。

  • 感情を重視するか/理屈を重視するか

  • 行動を重視するか/思考を重視するか

  • 協調を重視するか/競争を重視するか

  • 革新を重視するか/伝統を重視するか

  • スピードを重視するか/緻密さを重視するか

 各項目を詳しく見ていきます。

  • 感情/理屈:難しい課題に直面した時、自分の感情で判断するか、それとも論理的に分析して判断するかによって、その人の性格や仕事への向き合い方を推測することができます。

  • 行動/思考:仕事に取り組む際、すぐに動き出すか、それともじっくり検討してから行動に移すのかによって、その人の行動タイプや意思決定の仕方が分かります。

  • 協調/競争:周りの人と協力して目標を達成しようとするのか、それとも自分自身が一番になることを目標とするのかによって、その人のチームワークや貢献意識を推測することができます。

  • 革新/伝統:物事の考え方において、新しいことに挑戦することを好むのか、それとも昔からの慣れたやり方を好むのかによって、その人の柔軟性や変化への適応力を判断することができます。

  • スピード/緻密:仕事の進め方において、効果や効率を重視して早く終わらせようとするのか、それとも高品質を重視して細部まで丁寧に確認するのかによって、その人の仕事スタイルや品質へのこだわりを知ることができます。

 面接において上記の5軸を意識することで、応募者と自社の企業風土や価値観のマッチングを判断することができます。そこで採用面接の際には、以下の質問を投げかけることで、見極めが期待できます。

3.「相性の5軸」を見極める質問例

「面接で聞いでみるべき質問だっきゃ」

(1)感情/理屈を見極める質問例

  • 「あなたの親友が100万円の借金を申し込んできました。あなたは現在80万円の貯金しかありませんが、クレジットカードのキャッシング機能を使えば20万円を追加で調達できます。あなたは100万円を貸しますか?」

  • 解答が「貸さない」という内容であれば理屈重視、クレジットカードを使って100万円を貸すのであれば情け重視と言えるでしょう。

(2)競争/協調を見極める質問例

  • 「学生時代の部活動で印象に残っていることは何ですか?」

  • 解答が「競争に勝った」という内容が多いのであれば競争重視、チームワークに関する内容が多いのであれば協調重視と言えるでしょう。部活をやっていなかった方に対しては「人に負けたくないと思った経験について話してください」でも判断は可能です。

(3)行動/思考を見極める質問例

  • 「当店は洗車を有料で提供していますが、顧客から無料で洗車をして欲しいというご要望をいただいた場合に、その時点で断りますか?それとも先輩や上司に相談して返答しますか?」

  • 解答が「その時点で断る」というニュアンスが強ければ行動重視、先輩や上司に相談して返答するというニュアンスが強いのであれば思考重視と言えるでしょう。

(4)革新/伝統を見極める質問例

  • 「当店の店頭に置いている看板をリニューアルすることになりました。どのようにリニューアルするかご自身で決めてよいとしたら、どのような看板にしますか?」

  • 解答が「これまでとは全く違う内容の看板」であれば革新重視、「これまでの内容を踏襲した看板」であれば伝統重視と言えるでしょう。

(5)スピード/緻密さを見極める質問例

  • 「あなたはカレーライスを作っているとします。もうすぐ家族団らんの時間が始まるので、カレーライスの完成を急がなければなりません。とりあえず間に合わせますか、それとも家族に待ってもらって納得のいくカレーライスを作りますか?」

  • 解答が「とりあえず時間に間に合わせる」という内容であればスピード重視、「待ってもらう」という内容であれば緻密重視と言えるでしょう。

4.まとめ

 ガソリンスタンドは、人手不足が深刻化している業界であり、スタッフの定着率向上は大きな課題です。新人の教育や育成までの負担が大きいため、早期離職は大きな損失となります。

 早期離職を防ぎ、人材を定着させるためには、面接において応募者と自社の企業風土や価値観のマッチングを判断することが重要です。上記の質問例を参考に、自店の求める人材に合致した質問を作成し、応募者の性格や価値観を的確に判断しましょう。


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