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【美容室が人材の定着率を上げる方法】託児所を作っただけでは人手不足は解消しない

1.美容室が託児所を作りたくなる理由


 美容師は立ち仕事であり、相応の体力を必要としますし、美容に対する高い感度も求められることから、若い女性を労働力として求める店舗が多い印象があります。ですが、このような労働力は、就職後ほどなくして結婚・妊娠というイベントを迎えるケースもあります。

 その後、復帰していただければ良いのですが、退職してしまうケースもあり、労働力確保に頭を悩ませる美容室の経営者も多いはずです。そこで託児所を併設して、人材の定着率を上げたいと考える美容室の経営者もいます。

 ですが、託児所を設けさえすれば人材の定着率が上がると考えるのは早計です。この記事では、人材の定着率について効果的な施策をモチベーション理論の観点からひも解いていきます。

2.この記事で美容室が人材の定着率を上げる方法を取り扱う理由

 私は、かつてガソリンスタンドを運営する企業に勤務し、店長を担っていました。店長経験が浅かった頃は、私のマネジメント力の低さから、人材の定着率が低く、年間で70人以上の人材が辞めていったこともあります。

 私はその後、店長職を担いながら始めた中小企業診断士の勉強でモチベーション理論を知ります。それをガソリンスタンドの現場で活用したところ、退職する人材がほとんどいなくなりました

 その後、経営コンサルタントとして創業し、様々な企業の経営支援をする中、人材の定着率を上げるために託児所を立ち上げようとしている美容室をご支援することになりました。

「人材不足に悩む美容室を支援したのであった」

 このご支援の中で、上述のモチベーション理論に基づき、同店経営者と人材の定着率向上に向けた取り組みを検討した結果、最終的に託児所よりも優先するべき事項があることに気付き、成果を上げることができました。

 そこで、この記事では、美容室含め多くの企業が人材の定着率を上げて、人手不足から脱却するヒントを提供したいと考え、成果に繋がるモチベーション理論を取り上げることとしました。

3.ハーズバーグの「動機付け=衛生理論」とは?

 人材が離職する原因は複雑ですが、それらは「不満足度が大きい」または「満足度が小さい」のいずれかに分類されます。そこで、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ氏が提唱した「動機付け=衛生理論」を参考に、定着率向上のための施策を検討します。

 ハーズバーグ氏は、従業員のモチベーションに影響を与える要因を2つに分類しました。

(1)衛生要因

 充足されると不満足度が軽減されますが、満足度の向上は限定的な要因であり、具体例は以下のとおりです。

  • 会社の方針・理念

  • 上司の管理監督

  • 給与・福利厚生

  • 人間関係

  • 労働条件 など

 これら衛生要因を充足させると、従業員の職場に対する不満足度は軽減され、下がったモチベーションが回復するとされています。ただし、満足度が向上して高いモチベーションを得ることは困難とされています。

(2)動機づけ要因

  充足されると満足度を向上させますが、不満足度の軽減は限定的な要因であり、具体例は以下のとおりです。

  • 承認

  • 責任

  • 達成感

  • 仕事そのもの

  • 昇進 など

 これら動機づけ要因を充足させると、従業員の職場に対する満足度が向上し、高いモチベーションを得ることが出来るとされています。

4.美容室が人材の定着率を上げる方法:託児所を作っただけでは人手不足は解消しない理由

 託児所を作るということは、「衛生要因」の福利厚生を充足させる取組みに該当するでしょう。よって、この取組みは従業員の不満足度を軽減させます。ですが、ハーズバーグの動機づけ衛生理論では、これによって高いモチベーションを得ることは困難とされています。

 そこで、衛生要因をある程度充足させるとともに、動機づけ要因を充足させ、仕事に高いモチベーションを抱いてもらうことが、定着率向上に繋がります。

 衛生要因と動機づけ要因は、車の両輪のような関係です。どちらか一方を重視しても、効果は限定的です。

「前輪と後輪の両方が大事」

 美容室が人材の定着率を上げるためには、単に託児所を設けるだけでは不十分であり、ハーズバーグの「動機づけ=衛生理論」に基づき、衛生要因(福利厚生など)を一定範囲まで充足させるとともに、動機づけ要因(承認、責任感など)を充足させることが重要です。

 なお、具体的な動機づけ要因の充足方法については、以下のリンクをご参照ください。

 今回の記事を踏まえ、自社における人材の定着率を上げる方法を検討されたい方は、以下のリンクからお問い合わせください。弊社ホームページのお問い合わせページへ移動します。


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