エステサロンの経営革新計画:アンゾフの成長ベクトルを活用した新規事業の見出し方
1.経営革新計画策定に取り組むきっかけ
同店は、代表者1名のみで運営するエステサロンです。駅から徒歩圏内に立地しており、固定客も相応に存在していました。創業5年目を迎えて、代表は今まで以上に事業規模を拡大したいと考えるようになりましたが、具体的な方策は思い当たりません。
そこで、地元の商工会へ相談に伺ったところ、経営革新計画の策定を提案されました。経営革新計画の詳細は以下のリンクをご覧ください。
2.アンゾフの成長ベクトルとは
同店代表は、商工会が派遣した専門家と面談を繰り返す中で、新規事業を見出す考え方として「アンゾフの成長ベクトル」を知りました。これは、市場(顧客層)と製品・サービスという2つの軸を組み合わせることで、以下に示した4つの戦略を導き出します。
上図で示した4つの戦略の内容は以下のとおりです。
(1)市場浸透戦略
現在同店をご利用いただいている顧客への施術頻度を高めるなど、現在同店が提供している製品・サービスをより多くご利用いただき、事業を拡大する戦略です。
(2)新市場開拓戦略
これまで同店をご利用されたことのない顧客へ、現在同店が提供している製品・サービスを提供し、事業を拡大する戦略です。
(3)新製品開発戦略
現在同店をご利用いただいている顧客へ、現在同店が提供していない新たな製品・サービスを提供し、事業を拡大する戦略です。
(4)多角化戦略
これまで同店をご利用されたことのない顧客へ、現在同店が提供していない新たな製品・サービスを提供し、事業を拡大する戦略です。
3.アンゾフの成長ベクトルの活用
これらを踏まえて同店は、まず(1)市場浸透戦略を検討しました。既存顧客は誰なのか、その顧客に対する主力の製品・サービスを検討し、それらをより多く提供する方策を考えます。
その上で現在提供している製品・サービスを、新たな顧客に提供するとしたらどのような顧客層があり得るのかを考えるのが(2)新市場開拓戦略を見出すことに繋がります。
さらに、既存顧客に新たな製品・サービスを提供するとしたらどのようなものがあり得るのかを考えるのが(3)新製品開発戦略を見出すことに繋がります。
そして、(2)新市場開拓戦略、(3)新製品開発戦略を模索する中で、新たな顧客に新たな製品・サービスを提供することが合理的という結論になるのであれば、それは(4)多角化戦略ということになります。
4.同店の経営革新計画
同店の主要顧客層は40代以降の女性であり、美肌にこだわりを持つ方々です。この層からいただく要望として、目の際や肌の凹凸がある部分のシミを取りたいというものがありました。
肌のシミ取りは、機械を用いて肌に特殊な光を当てますが、同店が利用している機械の端末を用いて目の際といった敏感な部位に照射することは、利用者がケガをするリスクがありました。また、顔の凹凸がある部位は光の当たり方にムラが出ていました。
この課題は、ペン型端末を搭載した設備を導入することによって、解決することが出来ます。これは、既存顧客に新たなサービスを提供するということですので、(3)新製品開発戦略に該当します。同店はこれをテーマに経営革新計画を策定することとしました。
5.同店のマーケティング戦略
同店はマーケティング戦略としてネットを活用することとしましたが、ネットで発信する情報は、フロー型情報とストック型情報があります。
フロー型情報は、SNSに投稿される情報などを指し、時間とともに変化し、流されていく新鮮な情報であり、店舗の近況報告として活用できます。これに対して、ストック型情報は、ホームページやブログなどに掲載される情報などを指し、一度作成されると基本的には変化せず、長期間にわたって参照することが出来る情報であり、専門性のアピールができます。
つまり、フロー型情報で代表の人となりを訴求し、ストック型情報で専門性を訴求するということであり、これらをバランスよく発信することが成果に繫がりやすくなります。どんなに人となりが分かっても、専門性に疑問を抱かせたり、逆に専門性が高いことがわかっても、その人となりが分からなかったりすると、同店の利用には繋がりにくくなるということです。
同店は、これまでこのような情報の種類を意識せず、発信したい時に発信するという形をとっていました。そこで、毎日ブログとSNSの投稿をすることとしました。
6.まとめ
同店が取り組む経営革新計画は、顧客の美肌を育むサービスをさらに充実させるための重要なステップです。特に、新たなペン型端末の導入は、顧客のニーズに応える革新的な取り組みであり、これによって肌のシミ取りの効果と安全性を向上させることが期待されます。
また、ネットを活用したマーケティング戦略も重要であり、代表の人となりや専門性をバランス良く発信することで、より多くの顧客にアプローチできるでしょう。同店の今後の成長に期待が高まります。
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