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土木:鉄道:信楽高原鐵道・杣川橋梁と大築堤(滋賀県甲賀市)

信楽高原鉄道(信楽線)は貴生川駅と信楽駅との間の14.7kmを結んでいる第三セクターの鉄道で、市町村合併によって今では全区間が甲賀市の中に収まっている小さな鉄道だ。
終点の信楽は山間の盆地に位置していて、標高は285mある。一方でJR草津線と接続している貴生川駅の標高が164mなので、両者間の標高差は120mにもなる。この標高差を克服しなければならないが、信楽高原鉄道のルーディングはダイナミックで貴生川駅を出て紫香楽宮跡駅までの最初の1区間の9.7kmで登り切ってしまって、あとは比較的平坦な信楽盆地の中を走っている。前半(路線の6割)は喘ぎながら登る急勾配、後半(残り4割)は高原鉄道の名前の通りのどかな高原地帯という、差が激しいルートなのだ。

貴生川駅~紫香楽宮跡駅の間はこのように信楽高原鉄道のハイライトとも言える勾配区間なのだが、実は山裾に取り付くまでの手前に幅広の杣川の氾濫原が横たわっていて、まずはこの平坦地を行かなければならない。そこで築かれたのが、直線区間だけで長さ1kmにもなる大築堤である。昭和初期の大土木工事である。

杣川橋梁は杣川を渡る長さ95.7mのプレートガーダー橋。
杣川橋梁の中央2径間の橋桁の色が違う(色が薄い)箇所が、2013年の台風18号で流失した後に復旧事業で架け替えられた部分。

信楽高原鉄道・貴生川駅~紫香楽宮跡駅(昭和8年(1933年)開通)


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