見出し画像

河川:治水:斐伊川放水路(島根県出雲市)

斐伊川放水路は、斐伊川下流の氾濫を防ぐために洪水の一部を隣の神戸川に分流するための水路で、斐伊川と神戸川との間に4.1kmの放水路を開削している。もっとも、単に斐伊川の水を神戸川に持って行っただけでは今度は神戸川の方で氾濫してしまう恐れがあるので、神戸川の河口までの区間9.0kmの拡幅工事(河川容量を増やす工事)を含めてまでが「斐伊川放水路事業」となっている。確かに、その通りだ。
昭和56年(1981年)に事業着手し平成25年(2013年)に完成しているから、足掛け33年かかっている。

放水路として新しく開削した部分を拡大
ちょうど山地から平野に出る山の端の位置で、しかも斐伊川が蛇行して放水路に水を取り込みやすい場所に放水路を開削したことがわかる。よく考えたものだ。

斐伊川から放水路に分岐する箇所を空撮した。
中国山地から流れ出ている斐伊川の流域では、かつては岩石を砕いて砂鉄を取り出す鉄穴流しが盛んに行なわれていて、斐伊川にも多量の砂鉄が流れ込んでいる。空から見ると、砂鉄が幾重にも流紋を描いているのが見える。

ゲート
ゲートには、起伏式ゲートと水制ゲートの2種類ある。大水が出た時、起伏式ゲートを乗り越える形で放水路への放水が始まり、やがて起伏式ゲートを倒すことでより多くの水量を放水路に誘導して斐伊川本流の水量を削減してやる。とは言え、無限に放水路へ流すことができるわけではなく、限界を超えるようであれば水制ゲートを降ろして放水路への流入を抑制するという「非常手段」も備えられている。写真手前と奥の水色の細長いゲートが水制ゲートだ。

普段は水は流れていない。この部分は、水勢を一旦弱めて水流に含まれる砂泥を沈殿させる沈砂池と呼ばれる部分。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?