見出し画像

私選・筒美京平ベスト

先週、筒美京平の訃報が日本中を駆け抜けた。
作曲家のプレゼンスが最近はさほどではなくなり、シンガーソングライターの万能性がもてはやされる時代になってきているように感じる。

しかし、一人の歌手やアイドルに一つの物語性を帯びさせ、その時の社会が求めているパッケージにして売り出していくという、在りし日の作詞家・作曲家は、文字通り時代の空気を作り出していたわけで、その影響は現代にいたるまで計り知れない。

と、能書きをつらつらと書いてきたが、
今回は私が好きな筒美京平ソングを紹介したい。ただそれだけである。

まずは1978年発表の「たそがれマイ・ラブ」だ。歌は大橋純子。
多くの歌手にカバーされているが、本家の大橋の歌唱力には圧倒される。
作詞は阿久悠、何とも言えない場末感ではないだろうか。でもこれが当時の空気なのだろう。
この曲を聴くと、いつもその空気に没入させられて、せつなくなるのだ。

「たそがれマイ・ラブ」と同年発表の「リップスティック」、歌は桜田淳子。
桜田淳子は今となってはいろいろあって、山口百恵の陰に隠れがちだが、最初の頃の人気は桜田がトップをいっていた(らしい)。
作詞は松本隆。内容は付き合っていた男に浮気をされるものなのだが、桜田は振り付けもしながら、ノリノリに歌っているのが印象的だ。

最後は1973年発表の「傷つく世代」、歌は南沙織。
それまでの清純的なイメージからガラッと変わったロック調の曲になっている。歌手のイメージチェンジをはかれるかどうかも作曲家の腕の見せ所だろう。
なおこの三曲とも、編曲まで筒美京平が担当している。

歌い手の個性や時代に合わせて、いくつもの顔を見せる筒美京平。
私自身もベストの曲がその時々で変わってしまうくらいだ。

これでしばらくは筒美ソングがヘビーローテーションになりそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?