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読書せんにんの記録

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本を読んで感じたこと、思い浮かんだことについて書いていきます。 ネタバレはあるかもしれないですが、あらすじは書かないつもりです。
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記事一覧

ではノイズだらけのスマホを見てしまう理由は?~「なぜ働いていると本が読めなくなる…

今回は久しぶりに本の話。 話題になっている新書(と言いつつ、自分の職場の同僚は知らなかっ…

せんにん
2か月前
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すべての人間がこうなのだ、と言っているような~「どん底」

黒澤映画に通底するのはヒューマニズムだと言われる。 でもそれは決して甘いものではなく、残…

せんにん
7か月前
2

文字通り”時代をかけめぐる作品”~「時をかける少女」

さて、”角川娘”として薬師丸ひろ子と並び立つのが原田知世。 そのデビュー作にして、日本芸…

せんにん
1年前
5

何度でも味わえる総合小説~「罪と罰」

2023年になり今年の目標は何にしようかと考えていたころ、ふと何かの映画を観たときに、「罪と…

せんにん
1年前
4

誰のことでもあり誰のことでもないeveryman~「江分利満氏の優雅な生活」

トリスをのんでHawaiiに行こう! というコピーをご存じだろうか。 いまや、ハワイへの旅行など…

せんにん
2年前
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罪を憎んで人を憎まず~「飢餓海峡」

50年というと長いようにも思うが、人ひとりの人生の長さを考えると身近にも思えてくる期間では…

せんにん
2年前
2

自己愛を恋愛に置き換えた時代~「ユーミンの罪」

ユーミンのアルバムをよく聴く。 彼女の作品はシングルではなくアルバムで聴く方が、とても堪能できる気がするのだ。サブスクリプション全盛の昨今では、アルバムという形式そのものが意味をなさなくなっている気がするが、彼女のアルバムを聴いて”物語性”の意義を再確認するのも、とても有用なことではないだろうか。 そんなユーミンに関する面白いエッセイを読んだので、併せて紹介したい。 著者の酒井順子は「負け犬の遠吠え」で一世を風靡したエッセイスト。彼女の実体験も交えながら、当時を追体験でき

元祖”与える男”~「カーネギー自伝」

昔はいわゆる偉人伝のようなものを少年少女はよく読んだものだが、いまはどうなのだろう。 と…

せんにん
2年前
8

現代美術は”美術”か?~「西洋美術の歴史8」

「西洋美術の歴史」シリーズも最終巻、20世紀まできた。 20世紀美術で自分自身一番わからない…

せんにん
2年前
4

時間の矢のヒント~「宇宙を解く唯一の科学 熱力学」

以前読んだ、時間に関する書籍の中に、時間の不可逆性について触れてあった箇所があった。 な…

せんにん
3年前
11

マネの真似をして印象派は生まれた~「西洋美術の歴史7」

印象派というと、モネやルノワールの名前がまずあがる。 少し詳しければ、その先駆にマネがい…

せんにん
3年前
5

生物死すとも生命は死なず~「生物はなぜ死ぬのか」

日本の夏は死を喚起する。 それは、盆の時期でもあり、終戦の時期でもあり、御巣鷹山でもあり…

せんにん
3年前
1

ドイツ美術はなぜみにくいか~「西洋美術の歴史5」

改めて西洋美術史を俯瞰しなおすために、「西洋美術の歴史」シリーズを読んでいるのだが、その…

せんにん
3年前
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嫌いなヤツは地獄行き!?~「やさしいダンテ〈神曲〉」

誰しも少し背伸びをしてみたい時がある。 あまりよく分からないけど、ちょっと齧ってみたい書籍など。その代表的な作品の一つがダンテの「神曲」ではないだろうか。名前からして格好いい。よく分からないけど。。 そんな背伸びしたい人にちょうどいい作品を阿刀田高がものしてくれている。その名も「やさしいダンテ〈神曲〉」である。 ダンテが地獄・煉獄・天国と経巡ってくる様を、全部で百歌の詩で書きあげている。 そもそもこの神曲、何がそんなにすごいのか。阿刀田は簡潔にこのように述