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持つことを諦める・本を手放す

(*本文の内容は特定の人の事を書いているわけではありません。)

そのお客様はとても勉強家で、研究熱心でたくさんの文献をよみ自分の患者のために最善を尽くして来られたことがわかる。

自分が病み、思う様に自分を扱えなくなり、部屋の片付けを私はサポートしている。
この部屋を春には明け渡す。
もう数年前からすこ〜し、またすこ〜し片付けてきた。

部屋にはたくさんの本や参考文献の資料がある。
この部屋は賃貸だ。
これからどの様な暮らし方をするにしても、ものは減らさなくてはいけない。それも思い切って諦めることが必要だ。

手放すことを理解しているけれどこれまでのことが決心を引き止めている。その気持ちが手に取るようにわかるから、切羽詰まっていないならと急かすことなく数年が過ぎた。

先日、ついに思い切って本を手放す決心をされた。
決心された理由は「処分を外注したときの見積もりの金額」。

2DKのマンション、大型家具、たくさんの本や雑貨、洋服、家電など一気に処分してもらう金額が約30万。
パッと見ると高いと思うのだが、この部屋の家賃が10万円だとして、半分以上の空間をもので埋めていると、5万円を使えていないことになる。
5万円を1年間無駄にしていると考えると60万。
見積もり金額の倍を無駄にしていることになる。


感じ方は人それぞれだけどね。

本は重いのでダンボールに詰めて送付することも難しいので、私がいるときに訪問買い取りを頼んでもらった。
売れない本も一緒に引き取ってもらい処分してもらえる業者だったので、一気に本が減り、部屋の空間が軽くなった。

買取金額も予想より多く、ただ捨てるだけで料金が発生することを考えるとクライアントのメンタルも上がりありがたかった。

まだまだ同じだけの本の量はあるのだけれど、大きな前進だと私はよろこんだ。次は家電を、その次は大型家具を。。。と予定を伝えた。
もちろんお客様は自分で判断できる方なので、ご自身で判断してもらっているし、了解を得ないことはしていない。

それに現実問題手放さない限り、引越しができない。
迷ったときに「これから先、お客様がこれを持っていて幸せな気持ちになるのであれば残していいですよ。」
と言いながら「目標はこの本棚1竿程度です。」
などと伝えている。

あの本を読んでいた時のお客様はどんな気持ちだったのだろう。
どんな顔で、どんな希望を持っていたのだろう。
あの参考文献を読んでいるときはイキイキしていたんだろうな。

と思うとなんだか胸の奥がキュンとなる。

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