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#27 おかえりなさい

「おかえりなさい。」
ショートステイから、16:30に送ってもらい帰宅。
送迎の職員の方にお礼を言い、
「何かあげるものはないかな。」と、
母が言う。
お世話になったのでお礼にと思っての言葉であろう。私は、何も用意していないので
『何もないわ。ごめんなさい。』と、しか言えなかった。
部屋に入り、ソファーに座るなり
「もう、どこへも行かない。家でゆっくりするのがいいわ。」と。
いつもの言葉である。
夕食は、母の好きな細巻き寿司、鯛の刺身、すまし汁、筍の煮物等。
ショートステイから帰宅日には、少し優しくなれる私は、母の好物を用意する。喉につまらせないように、食べやすい大きさに切っておく。
母は、「美味しいです。良い味です。」と、褒める。
しっかり食べて、ゆっくりして、さあ、今晩はどんな夜になるかしら。
9時頃に入れ歯をはずし、口腔のうがいをして、就寝前の薬を飲む。
ゆっくりお休みなさい。心で祈る。
30分後、
「おーい、ちょっと来て、脚がつる、痛い、はよー来て。」
ショートステイでよく歩いたのか、久しぶりである。湿布をはり、芍薬甘草湯68を飲ませる。
いつもなら、それで落ち着くが、今日は、何度も何度も呼ばれる。
深夜1時頃にやっと落ち着き眠り始めた。
やれやれ、眠れぬ夜がまた始まった。

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