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#31 目があかん

「目が開かん、どうしたんかな?ちょっと起こして、目を開けて」
母が、急に叫ぶ。
『眠たいの、手で開けてごらん。』
「開かん、開かん、開けれん。」
私が手で瞼を開けるようにするが、なかなか開かない。やっとのことで少し開く。
寝る時の薬が効きすぎて、眠いのかな。そんなことが1日に何度も起こるようになった。
昼夜逆転になって、昼間眠くなってしまうのか。
パーキンソン病が進行したのか。
いろいろ考えてみるが、答えは出てこない。そんな日もあれば、調子のよい日もある。何が起きるかわからないが、美味しそうにおやつを食べている母の姿を見て安心する。
食事中に突然目が開かなくなることもある。持っていた茶碗を何処に置いてよいかわからなくなり叫ぶ。
「誰か来て、目を開けて。目が開かん、目が開かん。」
1日に何度も叫ぶようになっている。
病院へ連れていくべきか?しばらく様子をみるべきか?
日々悩んでいるが、「目が開かん。」の母の声にも次第になれてきて、次回6月の通院まで待つこととする。
「目が開かん。目が開かん。目を開けて。」今日も母の声がする。

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