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体験ベースで好きなゲームBGM

実は以前からゲームBGMについて話そうと考えて温めていた。しかしいざ書くとなると好きな曲なんてものはごまんとある。
曲単体で魅力的なものやイベントシーンで輝くものもあり、それを挙げだすと冗談抜きでTOP100とかそういう話になりかねない。そんなことをすれば記事がまとまらなくなってしまう。

そんな中で「ゲーム体験」と重なる曲が印象深く心に残っていることに気付いたのでいくつかピックアップして話したい。


ガウル平原【Xenoblade】

Xenoblade】のフィールド曲。本作を遊んでいなくともスマブラなどで触れたゲーマーも多いだろう。
もちろんこれは曲単体の完成度も高いのだが、実際に遊んで耳に流れてきたときの感動はソレを遥かに上回る。

この曲の本当の魅力は、広大な平原へ抜けた解放感にある。
実はガウル平原の前にはテフラ洞窟という広大な洞窟がある。迷路のように入り組んでおり、洞窟ゆえ窮屈感も強い。
そんな陰鬱な空間を抜けた先に現れるのがガウル平原なのだ。

これは”暗がりからの大規模な解放感”という近年のオープンワールドにおけるテンプレ演出で、こういったゲームを遊ぶと自ずと何度も経験する演出だ。
それでもなぜ「ガウル平原」がこれほど印象深く聴こえるのか、それはいわゆる”タメ”の長さにある。

参考動画を見てもらうと分かりやすいが、洞窟を抜けてからこの曲が流れるまで長い無音の時間がある。先にある平原が見えないように道中は高い壁に囲まれ、道に多少のうねりがあることで「先に岩壁しか見えない」という抑圧感をかなり長く味わうことになる。

そしてうっすらと広がりを感じられたタイミングでちょうどよく「ガウル平原」が流れ、広大なフィールドへと解放される。これが最高に気持ちいいのだ。

The Grimm Troupe【Hollow Knight】

Hollow Knight】のDLC追加ボスの曲。コウモリをモチーフとした巡業団の長「グリム」との戦闘で流れる。
曲単体で見てもハロウィンチックな不気味さと劇を思わせる壮大さが魅力的だ。

この曲は敵の特殊攻撃に合わせて曲調が変化する仕掛けがある。
ある程度攻撃を加えると画面中央に留まり光弾を連射するようになるのだが、そこでコーラスの強調とギターが合わさり曲調が一気に激しくなる。

苛烈さを増す攻撃を回避しなければならない緊張感のピーク、そこに合わせて盛り上がりを加速させる構成はゲームBGMだからこそできる演出だろう。

雷霆のご威光/稲光神鳴【原神】

原神】の大型ボスの曲。日本モチーフの国「稲妻」の「禍津御建鳴神命(まがつ-みたけ-なるかみのみこと)」との戦闘で流れる。

通常時は「雷霆のご威光」、多腕を纏う強化状態で「稲光神鳴」に切り替わる。曲名自体は違うが、曲のベースとなるラインはほとんど変わらない。
なので仕組みとしては「The Grimm Troupe」と似たものになる。

通常時こそ激しいながらも和楽器の光る曲なのだが、強化状態では和楽器の音色は鳴りを潜めギターがギュンギュンに殴りかかってくる。
まさに雷の神との衝突を感じさせる、絶望感とカッコよさの合わさる演出だ。

墟城の魂たる女王/蠢く墟城【モンスターハンター ダブルクロス】

モンスターハンター ダブルクロス】の大型ボスの曲。本作ラスボスである「アトラル・カ」との戦闘で流れる。

こちらは一時的なタイミングで流れるものではなく、いわゆる”形態変化”として全く別の曲に切り替わる。カマキリのような第一形態では「墟城の魂たる女王」、巨大な龍のような第二形態では「蠢く墟城」となる。

ラスボスがカマキリというしょぼくれたルックスでプレイヤーの気を抜かし、油断させたところに突如巨大な龍となって襲い来るサプライズ性がいい演出になっている。

参考動画にあるように、形態変化のインパクトが凄まじい。すたすたとフィールド中央へ歩いたと思えば次の瞬間には巨大な瓦礫の山が砂中から現れ、あっという間に巨大な龍となって唸り声を上げる。
唸り声が爆音のブザーのように響き空が砂嵐に覆われることで、事の重大さを否が応でもプレイヤーに感じさせるのが最高にイカしている。

深い森の幻影【モンスターハンター ライズ】

モンスターハンター ライズ】の戦闘曲。古龍の「オオナズチ」との戦闘で流れる。

ここまでで挙げてきたような曲調変化や形態変化といった大胆な仕掛けこそないが、モンスターの生態に合わせて一風変わった演出を持つ。
この「オオナズチ」、怒ると自身のブレスを周囲に霧散させて深い霧を生み出し透明化する…という生態がある。
そして霧に包まれた状態ではBGMの音がくぐもり、プレイヤーの耳に届き切らないような聴こえ方に変化する。

まるでプレイヤーが霧の中に迷い込むハンターの目線に立ったかのような空気を感じられ、そこがゲームとしての臨場感やモンスターの生態に対する説得力にも繋がっている。
一見地味ではあるが、シンプルながら効果的なギミックになっている。

銀翼の凶星【モンスターハンター ダブルクロス】

モンスターハンター ダブルクロス】の戦闘曲。古龍の「バルファルク」との戦闘で流れる。

これは曲調変化などは特にないのだが、オオナズチのように生態とリンクした演出が仕込まれている。バルファルクはジェット機のように遥か上空を超スピードで飛行するモンスターで、その機動力をフルに発揮して「彗星」という必殺技を繰り出す。
戦闘エリアから一気に高高度まで急速離脱し、そこから狙いを定めて戦闘エリアめがけてまさしく彗星の如く激突するのだが、そのあまりの衝撃の強さと爆音に、耳鳴りと共に一瞬BGMが止まる…という演出が発生する。

その一瞬の耳鳴りで「彗星」の威力の高さを実感できる素晴らしいギミックだ。

つまるところ

ゲーム体験から好きなBGMをピックアップしてみた。音楽知識が乏しいのでプレイヤー目線ならではの紹介が上手くできているか分からないが、以前からこうした内容のモノを書きたかったのである程度スッキリはした気がする。
今回はそうした縛りを設けた上でのものだが、それらを抜きにして選んでみるのもいいかもしれない。すぐ思いついたものだけなので、もう少し考えればまだ出せそうな気もする…検討だけしておこう。

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