メトロイドプライムを遊んでくれ
任天堂が展開している本格SFゲームシリーズ、メトロイド。
海外では絶大な人気を誇るが、日本では任天堂らしからぬ硬派なグラフィックや2D探索アクションというやや狭いジャンルなこともあり、人気がそれほどない印象がある。
しかしメトロイドを遊んだことのない人にこそ、先日発売された「メトロイドプライム リマスタード」を遊んでほしい。
この作品は2D探索アクションとなる本編とは違い一人称の3D探索シューティングとなるが、そんな本作は本編では味わえない面白さと、探索アクションというメトロイドの基礎をしっかり押さえたやりごたえが集約された素晴らしい作品となっている。
日本のオタクを一人でも多くメトロイド沼に落としたい一介オタクとして、「メトロイドプライム リマスタード」の良さをここに記そうと思う。
一人称で未知の惑星を探索する臨場感
メトロイドシリーズは共通して惑星全体を探索する、という形を取った探索アクション。本作で異なるのは主人公サムスの見ている視界そのままを自身で操作しながら堪能できるシューティングゲームであるという点。
2Dでは描画しきれない惑星全体の細やかな背景や、オブジェクトやクリーチャーの細やかな造形は3D一人称の本作でしか味わえないものだ。
本作の空気感や臨場感を特に強くしているのが、周囲の環境によってバイザーに画面効果が加わる演出だ。上記の画像ではパイプから漏れる水蒸気がバイザーにかかって曇ったり、雨の降っている屋外でバイザーに水滴が当たったりしている。
実際にゲーム内で見ることのできるバイザーの特殊演出は例として以下のようなものがある。
強い磁力を起こす敵に近づくとサンドストームのようなノイズがかかる
電撃を浴びるとバイザーのUIが一瞬消える(すぐに再表示される)
小型の虫が至近距離で死ぬと体液が飛び散ってバイザー上にかかる
閃光やフラッシュが至近距離で発生するとサムスの顔が映り込む
このように多彩な演出によりサムスと自分の境界線が曖昧に感じられ、まるで自分自身が未知の惑星を探索しているかのような強い臨場感が楽しめる。これが本作最大の魅力と言えるだろう。
3Dでも変わらず広大なマップ
2Dメトロイドは惑星の広大な地下を探索するが、本作でもマップの広さは負けず劣らずのものだ。
本編と違い大部屋-通路-大部屋-通路…のようにいくつかの大部屋が互いに接続されている形がメインデザインとなるが、マップ自体が立体的なので探索の面白さは失われていない。
またマップによって構造も異なっており、全体で一つの大きな遺跡や施設をイメージしているところもあれば、エリアまるごとひとつ分で各エリアを繋ぐ巨大な通用路のようになっている場所も存在している。
始めこそマップとにらめっこをする時間が多いだろうが、遊んでいくほどにエリアの構造理解が深まりスムーズに移動できるようになっていくはずだ。
バイザーとビームで世界が変わる
”本作最大の魅力は強烈な臨場感”と前述した。では最大の売りは何かというと、”バイザーとビームを切り替える謎解き”だ。
ゲーム内でサムスは特定の機能に特化したバイザーとビームを使い分けて謎解きや戦闘を進めていく。画像で使用しているものは”対象をスキャンし、詳細を明らかにする「スキャンバイザー」。
スキャンできるものはクリーチャーだけではない。マップ上の不審なオブジェクトや古代の碑文など多岐に渡る。
攻略の糸口が見えてこない強力なボスエネミーもスキャンをすることで固有の習性や耐性、弱点が見えてくる。
他にも視界内で強い熱を放つモノを可視化する「サーモバイザー」、通常見ることのできない物体や壁の裏を透視できる「Xレイバイザー」がある。
これら各種バイザーを状況に合わせて使い分け、道を切り拓いていく。
戦闘では4種類のビームを使い分けて敵を撃破する。
低威力だが連射が効き汎用性の高い「パワービーム」
強い追尾性と電撃で相手を麻痺させる「ウェイブビーム」
低速な代わりに相手を凍らせる「アイスビーム」
射程が短いが超高温、高威力な「プラズマビーム」
敵ごとに有効なビームが異なり、弱点属性をついていくような感覚でこれら4種のビームを使い分けていくことになる。
また、アイスで敵を凍らせた後はミサイルで強制一撃撃破となったり、空中をジェットエンジンで飛ぶ敵のジェットパックをプラズマの超高温で破壊させて早期撃破…といった変わった撃破が可能な敵なんかも存在する。
オリジナル版からのグラフィック向上
オリジナルと比較した最大の違いはやはりグラフィック。
上の画像はほぼ同位置で撮影したもの。単純にアスペクト比が変わったことによる視野の拡大+ゆとりあるUI配置はもちろんのこと、雪の粒や岩肌の細かさ、各種テクスチャの滑らかさなどグラフィック面で大幅にパワーアップしている。
グラフィックとは関係のない話になってしまうが、オリジナル版をプレイする上でハードルとして存在した「WiiかWiiU本体+Wiiリモコン&ヌンチャクの用意」という問題がNintendo Switchで販売された本作によって解決した点も、本作をオススメする理由の一つだ。
つまるところ
本作は据置機で楽しめる一人称シューティング(FPS)としての面白さとメトロイドシリーズとしての高密度な探索アクションの面白さが融合した傑作だ。
シリーズ時系列で見ても本作は「プライムシリーズ三部作」という枠組みでのみ接続されている(本編ストーリーと強い繋がりがない)ため、シリーズ初見のオタクにこそ本作から入ってサムス・アランという銀河最強のバウンティハンターの魅力を感じてほしい。
最後にオリジナル版TVCMのクールなキャッチコピーでこの布教を終わりとしよう。
目に見える物だけを信じるな。
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