「10年待つのはザラ」が砕け散った日
Nintendo Directがあるたび、毎度のように「本命はプライムトリロジー、大穴はプライム4かな!w」なんてゲラゲラ笑いながら喋っていたら嘘が真になってしまった。ついにメトロイドプライム4が迫り始めている。
しかしいちメトロイド好きとして何年も待ち焦がれていたゲームであるにも関わらず、今回の発表で自身は椅子から転げ落ちることがなかった(ドレッドの時はすっ転んで叫んで台パンしていた)。自分でも不思議なくらい飲み込みに時間がかかっていないのはシンプルに実感がない…というのもそうだが、やはりこのシリーズを待つことに慣れてしまったからだろう。
ちょうどいいタイミング(むしろ今だけ)なのでメトロイドシリーズにおける空白期間が今までにどれほどあったものなのか、軽くだが触れていこうかと思う。その間のメトロイド情勢までを完全に拾うことができない点には留意してほしい。
スーパーメトロイド~メトロイドプライム/フュージョン
SFCで1994年に発売された「スーパーメトロイド」は、メトロイドシリーズ3作目にあたる。冒頭のムービーシーンで「METROID 3」と表示されている通り、ファミコンで発売された初代、GBで登場したⅡの2作を踏まえてストーリーが構築されている。本作はよゐこ有野課長の「ゲームセンターCX」で取り上げられた後Wiiチャンネルなど任天堂側の公式媒体で配信されたこともあり、画面だけでも見覚えがある人は多いだろう。
ここまでは無印からⅡまで6年、Ⅱからスーパーまで2年と新規IPとして見るとまだまだ順当なペースでリリースされている。しかし問題はここからで、スーパーから次作まで一気に9年も経過する。
2003年に発売のプライムよりほんの数週間早くGBAで「メトロイドフュージョン」が発売。事実上の外伝であるプライムシリーズと異なりこちらは正統続編として冒頭にもしっかり「METROID 4」と表示される。長寿シリーズながらこの時点で未だ4作目であり、任天堂自社IPで4作分かかった年数を比較してもメトロイドが17年なのに対してゼルダの伝説は7年…というとその流れの残酷さが伝わるだろうか。
もちろん一介のユーザーには開発側の事情を推し量ることは不可能であるため単純比較になるワケもないが…wikiなどで作品の年表を見た時の空白の大きさはシンプルに重い。
続く「メトロイドプライム」はGCで発売され、2000年の「任天堂スペースワールド」にてティザー映像という形で登場した。さらにそこから1年かけて「E3 2001」にてようやく正式発表され、単体で見てもタイトル未確定の段階から2003年の発売まで3年経過していることになる。
本作からはかなりの高頻度でシリーズが更新されていき…
2004年「メトロイド ゼロミッション」がGBAで発売。
2005年「メトロイドプライム2 ダークエコーズ」がGCで発売。
2006年「メトロイドプライム ピンボール/ハンターズ」がDSで発売。
本編、スピンオフと形式問わず4年連続でメトロイドシリーズが更新されるという現代から見てもありえないスケジュールを超え、1年というわずかな空白から「メトロイドプライム3 コラプション」が2008年にWiiで発売。続く翌年にはGCで展開されてきたプライムシリーズの1と2がWiiで移植。
海外ではプライム1~3をひとまとめにした「メトロイドプライム トリロジー」も展開され、なんとまた翌年(2010)に「メトロイド Other M」がWiiで発売されることとなる。
「空白がどうとか言う割にそんなでもないじゃん」と思うかもしれないが、この2003~2010年の発売ペースはシリーズ全体で最も高密度に作品が出ていた時期。つまりここからまた空白が生まれることとなる。
メトロイドプライム フェデレーションフォース/サムスリターンズ
2010年にOther Mが出てからまたまた一気に6年が経過し、2016年にスピンオフながら新作として「メトロイドプライム フェデレーションフォース」が発売された。本作は操作キャラをサムスから銀河連邦の兵士に移し、また異なる世界からメトロイドの世界を体験することとなるが…存じる人も多いように相当な非難を受けることとなってしまった。
正直この話は中々シビアなので触れるか迷ったのだが、触れずに無視するのもそれはそれで不義理だと感じるので、セクターを分けつつ記載しておこう(読み飛ばしてもらっても構わない)。
話を戻そう。フェデレーションフォース(ブラストボールも含む)が発売された翌年の「E3 2017」では、GBで発売されたⅡのリメイク「メトロイド サムスリターンズ」が発表された。GBという描写的にどうしても力不足なハードでしか展開されていなかったⅡがついにリメイクということで、作中ストーリーを追いかけたいユーザーにとってもかなり嬉しい一作だ。
実はこの前年にユーザーによる非公式ファンメイド「AM2R(Another Metroid 2 Remake)」が任天堂からの著作権侵害の申し立てによって配信停止されている。「今この段階で取り締まられたということはもしや…?」といった空気がコミュニティ上に流れたままE3に突入し、お祭り騒ぎになったのを記憶している。
(AM2Rは単純にリソースの無断使用が原因ではあるのだが)
同じく「E3 2017」にてついに「メトロイドプライム4」のティザーが公開。2004年のゼロミッションから2Dメトロイドとして13年ぶりの発表となるサムスリターンズ、プライム3から9年ぶりのプライムシリーズナンバリング更新となるプライム4。たった1度のE3で念願が2つも確約される、まさにメトロイドプレイヤー全員が椅子から転げ落ちる大イベントだったのだ。
メトロイドドレッド~メトロイドプライム4
大騒ぎなE3 2017から4年、プライム4には続報がないどころか開発スタジオをバンダイナムコからプライムを長年手掛けたレトロスタジオに変更する事実上の再開発宣言により、ユーザー間はいつもとなんら変わりない静まり返った雰囲気のまま「E3 2021」がスタート。
暗がりから突如として「メトロイド ドレッド」が発表され、あらゆる意味で驚きを隠せずに椅子からすっ転んでしまった。
実はこの”ドレッド”というタイトルはこの瞬間が初出ではなく、その昔DS向けとして開発が進んでいた新規タイトルに「ドレッド」との仮称が付けられていたことがあった。ドレッド=恐怖が示す通り元からそうした側面を掘り下げるための作品であったようだが、これは技術面から断念され、ユーザー間の語り草になる程度であった。
そんな都市伝説に片足を突っ込んでいたようなタイトルが公式から改めて名乗られ、さらに「METROID 5」の名を冠して登場した。METROID 4を冠するフュージョンから数えると実に17年ぶりの正統続編となり、2Dシリーズについに完全新規のストーリーが紡がれることとなった。
一発でフュージョン後のサムスであると分かる背中のカット、そこからいきなり”METROID 5”と過去作をオマージュした演出はまさにファンだけが即座に全てを理解できるそれであり、ひたすらに叫び尽くして歓喜したことを今でも覚えている。
2023年には「メトロイドプライム リマスタード」が発売され、プライムシリーズに入る導線がより明瞭になった。こちらはGC、Wiiと古いハードでしか出ておらず年々触れにくいコンテンツとなっており、それが最新機種で装い新たに出ることがとても嬉しかった。自身は我慢できずにWii版を買っていた
そしてわずか数日前(執筆時点)。ようやく「メトロイドプライム4」が正式発表された。というより来てしまった。プライム3から数えるとまたも17年ぶりの正統続編だ。2Dと3Dどちらとも17年かけて完全新作にありついている妙な偶然が出来上がっているのはなんとも面白い。
初報から7年かけてやっとゲームプレイ映像まで漕ぎ着けているのはコミュニティ外からしてみれば念願中の念願…いやそれは内外問わない話なのだが…自分としては”俺が死ぬまでに出ればいいや”くらいの悟りに近い思考で禅と構えていたこともあって、いざその瞬間が来た時も不思議と暴れまわるようなことはなかった。
空白も多く含んだコンテンツが故に、気長になり続けて達観してしまったことから10年くらいは余裕で視野だったのだ。慣れとは恐ろしい
つまるところ
改めてシリーズの流れを振り返ってみると、自分が思っていた以上にあれもこれも長く待っていたモノだったんだな…と思い出すことができた。
厳密にいえば17年間フルパワーで待っていたかというと別にそんなこともなくゆったり過ごしていただけではあるものの、それでも”霞のような存在であったもの”が眼前に実体を持ち始めていることは素直に嬉しいと思っている。
にしても今からサイラックスに会いに行くならDSのハンターズか…相変わらず完全履修には険しい道のりのゲームだ…
メトロイドプライム2と3のリマスターをどうか出してください…プライムを遊ぶためだけにWiiUを存命させるにも限界というものがあります…プライム2のWii版は中古でも10000円を超えていてさすがに手を出すのが憚られます
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?