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なぜライカでスナップを撮りたいのか。

 "雰囲気も味のうち"と言う言葉の通り、外食では料理はそのもの味だけでなく、店の内装やサービス、また誰と一緒に行ったかも大事になる。特に、この誰と行くかという事は本当に大事で、同じ店だとしても、仕事上の付き合いで嫌味な上司と行く会食とデートとして行く会食を比べると、天と地ほどの差があるのは誰しも納得することであろう。もっとも、初めてのデートで緊張しすぎて味を覚えていなかった、ということはあるかもしれないが。

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 この誰と何をするかで楽しくなったりツマらなくなったりは、何事にもあてはまることが多い。例えば、仕事の退職理由。なんと90%が上司、部下、同僚との人間関係に起因しているというから驚きだ。結局、人間は感情の生き物であり、物事の判断はその感情というフィルタを通して行うのだ。

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 もちろんこれは、写真撮影でも同じだ。例えば、ポートレート撮影ではカメラマンとモデルの関係が写真に出る。そもそも、ポートレート撮影は、カメラマンが男で、モデルが女というケースが多く、男女の関係上、ただでさえ警戒される。とくに初めて会う同士だと、モデル側がよほど慣れてる場合を除けば、撮影して暫くは表情の固さが抜けずまともな写真にならないことが多い。これこそ、ポートレートの難しさであり、上手なポートレートを撮る人、とくに男の場合は、写真の技術だけではなく、コミュニケーション能力が高く人の懐に入ること上手い人ばかりだ。

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 では、スナップ撮影ではどうだろうか。スナップ撮影では、"一緒にやる誰か"は存在しない。だからこそ、"カメラ"の比重が大きくなる。別の言い方をすれば、何のカメラで撮るのか、が大事になってくるのだ。考えてみてほしい。本来であれば、スナップ撮影は手元にあるスマートフォンでも撮れるのである。大多数の人は、写真を大判プリントせず、TwitterやInstagramに投稿するだけだ。それなのに、何故高いカメラで撮るのか。答えは単純で、写真の質と同じくらい、"カメラで撮る行為"を重視しているからである。カメラの重さやシャッター音、プレビュー画面で撮影画像を確認する行為を好ましいと思っているからだ。そして、カメラが好きであればあるほど、撮ることの楽しさを追求する比重は増してくる。その終着点にいるのがライカだと思う人が一定数いるからこそ、ライカのカメラは売れるのである。

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 実際、Leica M10-Pを使っているからこそ思うが、ライカには撮影行為を楽しく感じさせる点が多い。その最たるものがレンジファインダーだ。二重像の合焦でピントが合うことは、原理は分からないまでも、ミニ・ゲーム的な楽しさがある。また、撮影する際の選択肢がシンプルなのも良い。撮影する際に最低限必要なISO、シャッタースピードはボディのダイヤル、絞りはレンズのリングとして外出しされており、必要応じてダイヤやリングを捻るという直感的な動作で済むのが大きい。もちろんライカにもメニュー画面はあるが必要制限に選択項目が絞られていて、他のカメラメーカーと比べて設定項目は多くない。ただ、これもポイントの一つだ。選択肢の多さは利便性を高めるが、同時に取っ付きにくい印象を与えてしまうため、必ずしも製品の魅力にはならないのだ。このことは、日本製スマートフォンがiPhoneに駆逐されたことやBlogをやめnoteに移るユーザが増えていることからも明らかだ。纏めると、ライカには撮る楽しさ、直感的な操作感、シンプルさがある。そして、それが筆者にとってライカでスナップを撮りたくなる理由なのだ。

それでは、良き写活と良きnoteライフを。

日本にはチップ文化が無いのでサポートするって習慣は馴染まないけど、そんな中サポートしてくれる人は素敵だと思います😭