ベーシックスタッツに基づいた選手の評価

はじめまして、らんそうるいと申します。私は普段、スポーツのデータ分析事業を行っているSportMeme株式会社で、バスケットボール担当のデータアナリストとして働いています。最近では頻度が減りましたが、Twitter上でデータ分析の練習を公開する活動を個人的に行っていました。
 これから5回に渡って、バスケットボールのデータ(=スタッツ)で選手を評価する方法について書いていきたいと思います。この連載の全体像をお示しすると次のような砂時計状の図になります。

選手の評価指標の整理:下は個人の具体的なプレイで、上は出場選手たち(ラインナップ)の得失点差を表しています。下に行くほど具体的・上に行くほど抽象的です。

 この連載の最終目標は、砂時計の中央に位置する「混合系の(オールインワン)メトリクス」をご紹介することです。現段階では砂時計の各項目を理解する必要はございません。
 連載は初回(この記事)でベーシックスタッツを扱います。第2回ではFour Factors理論を扱います。第3回ではEfficiencyに端を発する、EFF系の評価指標について説明します。第4回ではプラスマイナス系の評価指標を説明します。第5回ではEFF系とプラスマイナス系をミックスした混合系の評価指標をご紹介します。
 それでは連載の第1回、ベーシックスタッツについて説明いたします。よろしくお願いいたします。

ベーシックスタッツとは何か?

スタッツとは、バスケの試合で発生したプレイを集計・加工したものを指します。たとえば、得点やフリースローの試投、ディフェンスリバウンドなどです。
 スタッツの中でもベーシックスタッツと呼ばれているものは、スコアシートに記録されているスタッツのことです。ベーシックスタッツはトラディショナルスタッツと呼ばれることもあります。
 ただ、使用するスコアシートによってベーシックスタッツの定義は変わりえます。私の例で恐縮なのですが、私が使っていたスコアシートにはフリースロー成功率を記録する欄はありませんでした。しかし、一般的にはフリースロー成功率はベーシックスタッツだとされることが多いです。
 そこで、この連載ではベーシックスタッツはBリーグ公式ホームページで公開されているスタッツだと定義したいと思います。

どんなスタッツが公開されているのか?

Bリーグ公式ホームページに公開されているベーシックスタッツについて説明いたします。

出場試合数・プレイ時間に関するもの

  • G:出場試合数です。

  • GS:先発として出場した試合数です。

  • MIN:総出場時間です。

  • MINPG:1試合の平均出場時間です。PGはPer Game(=「試合あたりの」)の略です。

得点・シュートに関するもの

  • PTS:得点です。

  • PPG:1試合の平均得点です。Point Per Gameの略です。

  • FGM:フィールドゴールの成功数です。フィールドゴールとはフリースロー以外のシュートのことです。MはMade(「成功」)の略です。

  • FGA:フィールドゴールの試投数です。成功・失敗に関わらず、フィールドゴールを試みた回数です。AはAttempt(「試行」)の略です。

  • FG%:フィールドゴールの成功率です。

  • 3FGM:3ポイントシュートの成功数です。

  • 3FGA:3ポイントシュートの試投数です。

  • 3FG%:3ポイントシュートの成功率です。

  • FTM:フリースロー成功数です。

  • FTA:フリースロー試投数です。

  • FT%:フリースローの成功率です。

リバウンドに関するもの

  • OR:オフェンスリバウンド数です。

  • DR:ディフェンスリバウンド数です。

  • RPG:オフェンスリバウンドとディフェンスリバウンドを区別せず、リバウドとしてまとめて、1試合あたりの平均を出したものです。

パスに関するもの

  • AS:アシスト数です。

  • APG:1試合の平均アシスト数です。

ミスに関するもの

  • TO:ターンオーバー数です。ターンオーバーとは相手にボール(≒攻撃権)を渡してしまうミスプレイのことです。

  • ST:スティール数です。スティールとは相手からボールを奪うプレイことです。

ブロックショットに関するもの

  • BS:ブロックショット数です。

  • BSR:ブロックショットされた数です。

ファウルに関するもの

  • F:ファウル数です。

  • FD:相手からファウルをもらった回数です。ファウルドローンの略です。

総合的な貢献に関するもの

  • EFF:エフィシェンシー(Efficiency)の略です。選手の貢献を一つの数値で表そうという、オールインワンメトリクスの一種です。

ベーシックスタッツに基づいた選手の評価の限界

ベーシックスタッツは単体では評価にあまり使われません。選手の能力を必ずしも反映しているわけではないからです。たとえば、オフェンスリバウンド数が少なくても、それはチーム全体でシュートの成功率が高いため、そもそもオフェンスリバウンドの機会が少ないせいかもしれません。
 そこで、選手の能力を反映させるために、ベーシックスタッツ同士を組み合わせたアドバンスドスタッツが実際の評価では使われます。アドバンスドスタッツの例としては、シュートの効率を表すTS%(True Shooting%)やオフェンスリバウンド力を表すORB%(Offensive Rebound %)があります。
 次回の記事ではアドバンスドスタッツの中からFour Factorsについて説明いたします。

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