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必要なものだけ。の時代へ -コロナ共存で進化する人々-

1.人々の進化

人類は「本質的に必要なもの」だけを追求する時代へと突入しようとしている。コロナの蔓延により、人類は外出、外食をしなくなり、「生きる」ということにフォーカスし日々を送るという、貴重な経験フェーズに突入している。ここ最近の世界はSNSの登場により、個々の「自己顕示欲、自己承認欲求」の大幅なスケールがなされ、それに基づいたサービスが各業界にて構築されてきた。私自身も時代の流れに乗りつつ、そういったサービスを享受してきた1人でもある。しかし、今のこの世界において、そういったサービスが必要なのだろうか。もちろん経済発展の視点においては、より一層成長させるべきである。が、人々がこのコロナにおけるステイホームフェーズを経験した事で、彼らの意識が大きく変わりつつある事実を止める事はもはやできないだろう。「意外と必要のないもの」や「なくても困らないもの」に気が付き始め、本質的に人が精神的、身体的に豊かになれるものに消費がシフトしていくのかも知れない。

では、それが一体何なのか?人が生きる上で必要な「衣食住」に関して見ていこう。

2.「衣」における進化

まず、「衣」に関して。かつて流行った本「フランス人は10着しか服を持たない」にも書いてあるが、本当に好きな、大切な服のみ数着持つ。という概念。この流れになりつつあるのは間違い無いだろう。断捨離という言葉も流行ったが、まさに今ステイホームしながら断捨離をしている人たちがかなり多いと聞く。今まさに無駄なものを「捨て」、本質的に必要なものだけを「残す」フェーズに突入しているのでは無いだろうか。モノが減ることで、場所も縮小できる。かつての物に囲まれた時代、人々は「モノ」のために家賃を払ってきた。この時代は、まさに「本当に必要な物」に気付くことができる絶好の機会とも捉えられる。スティーブ・ジョブズは黒いシャツしか着なかったことで有名だが、人々は多くの装飾から解放されるタイミングとも言えるかもしれない。zoomなどの新しいコミュニケーション方法を実践するなかで、実は人は他人のファッションをそこまで注視していないという事にも改めて気がついてしまうタイミングだ。贅沢品の代名詞であった「時計」に関しても、かつてはオーデマピゲやパテックフィリップなどのラグジュアリーウォッチが王道の時代も存在していた。が、最近では、富裕層でさえも実用性を重視し、Apple Watchなどのウェアラブル端末利用者が急増している。この方向性が今回のコロナにより、さらに伸長すると言えるだろう。結果的にはアパレル全体の消費はしばらく落ち込むのでは無いだろうか。

3.「食」における進化

次に「食」に関して。都心部においては無数の飲食店が軒を連ね、日々賑わっていた。しかしコロナ蔓延による非常事態宣言下において人々が飲食店を訪れなくなり、今では外食をするという習慣から、自炊やデリバリーを利用するという習慣に変わりつつある。それもすごいスピードで。なかには自給自足を考えだすものも現れ始め、食に対する概念が大きく変わる、まさに時代の変わり目と言っても過言では無いだろう。当然ここまでの変化は一時的であると言える。が、しかしコロナ収束後、かつての外食消費が戻るのかどうか?それは難しいのかもしれない。世界が不景気になり、一人当たりの所得は減り、失業者もとんでもない数に増える。そのなかで、当然だが外食にかけるお金は大幅に減り、自炊、自給自足をする層が増え、世の中の三食に対する消費スタイルに劇的な変化が生じる可能性はもはや避けて通れないはずだ。私も大手ラーメンチェーンである幸楽苑ホールディングスの役員をする中で、日々今後の外食のあり方について考える機会を得ている。そのなかで、常に意識していることは「今までの当たり前は通用しない」ということだ。これからの人々のスタイルに沿った「外食」ならぬ「新食」の在り方を構築すべく、日々思考を巡らせている。人々にとって、改めて食の選択肢が増えたなかで、もはや外食の世界は、「変化なくして継続なし」という厳しい環境下に置かれているのは間違いないのである。

4.「住」における進化

最後に「住」に関して。ここが一番大きな変化につながるだろう。今回のコロナにおいて「リモートワーク」という概念が定着した。多くの企業が、今後リモートワークを導入するだろう。また雇用のスタイルも変わり、正社員雇用からリモートワーカーの契約社員雇用や外注へとシフトするだろう。それに沿って「住む場所」の概念が大きく変わる。もはや港区を代表する都心部の超高価格エリアに住む必要はなくなるのだ。賑やかなコンクリートの街並みよりも人類にとって本質的に共存すべきパートナーである「自然環境」が注目され、都心部から地方への引越しも目立つことだろう。不動産価格は大きく変化、ニーズの低下と共に都心部の家賃、地価は下がり、むしろ自然環境が豊富な地方の地価がゆっくりと上がり始めるかもしれない。私が創業したリグナは家具インテリアのECを中心に展開をしているが、インテリアに対する人々の考え方は、従来よりも注目する人が増えるのではないかと考えている。当然ながら自宅で過ごす時間は増え、今までより快適な自宅環境を構築したいと考える層は増えるであろう。

5.「移動手段」における進化

移動手段も例外では無い。感染症に対する懸念から、かつては人が密集する電車、バスの利用が多かった都心部は、1人単位で移動できる電動自転車、小型電動自動車や電動キックボード等の電動モビリティの利用者が増えるであろう。日本国内においては、未だ法整備はなされていないが、欧米では電動キックボードの利用が当たり前になりつつあり、こういった、最小エネルギーで移動できる便利な移動手段がこれから世界中で増え、結果的に、よりクリーンな世の中へと変化していくであろう。国内ではkintone社などが電動モビリティーの領域においては興味深い活躍をしている。

6.さいごに

コロナは世の中の悲劇を多く生んだ。今もなお生み続けている。しかし悲劇こそが世の中を変え、進化させ、より強くするのだ。このサディスティックな時代を見抜き、潮流に乗り、生き抜くものこそが、世界を変え、そして時代を創っていくのだ。こんな時代に生きている我々は、むしろラッキーと思って生きるべきなのかもしれない。いや、そんな気持ちで生きていこうではないか。

文責: 小澤 良介

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