見出し画像

『岩壁音楽祭 2022』、テーマ「Spectrum(スペクトラム)」を表現したキービジュアルデザインの裏側

9月17日(土)山形県・瓜割石庭公園で開催される『岩壁音楽祭 2022』!

岩壁音楽祭は“オープンソースなフェス”としてフェス開催のリアルな内情を公開中。2019年は運営メンバーのコラム形式で発信しておりましたが、今年は今年度から運営メンバーに参加した筆者が運営メンバーにインナーインタビューする形でも、知見を発信していきます。

前回の記事では、『岩壁音楽祭 2022』のテーマ「Spectrum(スペクトラム)」がどう生まれたを運営メンバーにインタビューしました。

今回は『岩壁音楽祭 2022』キービジュアル(以降、KV)デザインを手がけた、東北芸術工科大学(以降、芸工大)3年・及川けやきさんにインタビュー! テーマに込められた想いをデザインでどう表現したか、お話を聞いています。

「Spectrum(スペクトラム)」を体現するデザインコンセプト


──初めに、普段の活動を教えてください。

グラフィックデザイン学科に所属していて、授業では主にポスターデザイン、パッケージ、ブランディングなどを勉強しています。1年生の時はフィールドワークが多く、2年生以降はIllustratorやPhotoshopなどパソコンと向き合うことも増えました。

山形は自然が多いので、フィールドワークのような自然を生かした授業も多いんです。コロナ前だとビーチコーミングといって、海に行って漂流物を拾い、何を拾ってきたか発表するという授業もありました。韓国から流れ着いたものや見たことがないもの、ガラスの破片などいろんな物があって面白かったです。芸工大も山に囲まれていて、普段から自然にインスピレーションをもらうことが多い環境ですね。

──とってもいい環境ですね。岩壁音楽祭に入ったきっかけは?

元々翼さん(山形在住。岩壁音楽祭運営初期メンバーで、瓜割石庭公園を最初に紹介してくれた人物)と知り合いで、Slow Jamという山形のカフェ / レストランでのDJイベントのフライヤー制作などやらせてもらっていたんです。ある時翼さんから「岩壁音楽祭で一緒にやらないか」とお誘いいただいて。

『岩壁音楽祭』の存在自体は知っていましたが、初年度開催時は大学にもまだ入学しておらず、具体的にはよく知らなくて。「まずはMTGに出てみようかな」と思い、初めてMTGに参加した際に、運営スタッフのみなさんが色々と教えてくださってきちんと知った感じです。

元々音楽が好きなので、2019年開催時のアーティストを教えてもらい「すごい、知ってる人がいっぱい出てる!」と思って、やってみたいなと思いました。参加後は今回のKV制作、そのほかグラフィックデザインとオフィシャルグッズ制作も担当しています。

──KVについて聞かせてください。初めに運営メンバーからオリエンを受けたと思うのですが、岩壁音楽祭自体のコンセプトや今回のテーマを聞いて率直にどう思いましたか?

アーティストを国内外でブッキングしていたり、コロナ禍での分断などもある中で“なだらかな解放”を目指すと聞いて、世界が1つになるようなイメージがありグラデーションでデザインするということに意味があるなと思いました。

元々自分が作る作品には色が多く、グラデーションを使うことも多いので、自分本位ですが「自分がデザインするのに向いていそう」と思い、抜擢されて嬉しかったですね。

──今の形になるにあたって、構想は早い段階で固まってたんですか?

最初から「グラデーションの要素を入れたデザイン」というのは一貫していたんですが、最初作った案は結構かっこよさ重視のデザインで。岩壁の写真をPCに表示して、それをチェキで撮影した写真をデザインに使用したものでした。

初期のデザイン(この時点ではテーマ表記も「GRADATION」想定だった)

それはそれで気に入っていたのですが、上田さん含めデザインチームで話していく中で、フェスそのもののコンセプトや「みんなが安心して行けるようなイメージ」というのを受けて、コンセプトとずれてるかもしれないと思い始めました。

それで暖色寄りで、でも暖色すぎない温かみのある色使いでデザインしようという風にシフトし、今のイメージに変えていったんです。

──なるほど。そこから今のKVはどのように作り上げていったのですか?

KVの右下にカラーチャートを置いてるのですが、これは『岩壁音楽祭 2019』のロゴの色になっていて、この5色をスポイトツールで抽出してグラデーションにしました。元々100パターンくらいのグラデーションデザインを作っていて、そこからいびつだったり色の交わり方が汚いものは省いていき、絞っていったって感じです。

グラデーションを作るときにどうしても境界線ができてしまうのですが、線が出来てしまうと今年の「Spectrum(スペクトラム)」というテーマが持つ「境界線がなく交わりをもつ」イメージに近づけられないので、線ができないようにグラデーションを作るのに結構苦労しました。カラー配分によっては結構くっきり線になっちゃうこともあって、馴染ませるのが難しかったです。

そうして最終15パターンくらいに絞り、定例でフィードバックをいただいたりして最終的に今のデザインになりました。グラフィック学科の友達にも出来上がったデザインを全部見せて、どれが綺麗なグラデーションになっているかアンケートを取ったり、先輩からアドバイスもらったりもしましたね。

様々なグラデーションパターンを検証

様々なグラデーションパターンを検証最終的に、黄色の配分が多く温かみがあり明るい雰囲気で色の交わりが綺麗なもの、動きは丸みが強調されていて柔らかい雰囲気のものに決めました。

工夫を凝らした印刷物とオフィシャルTシャツ


──試行錯誤を重ねてのデザインだったんですね。確かに温かみがあって、とってもいい! 今各所で配布してるポスター / フライヤー / ステッカーもけやきちゃんデザインですか?

そうですね。ステッカーは2種類作ってます。「Spectrum」に合わせてプリズムっぽくなるように、キラキラした用紙を使用していて。可愛いですし、存在感があっていいなと思ってます!

フライヤーは1枚1枚グラデーションの模様が異なっていて。繋げて並べると一つのグラデーションになるんですよ。

ポスター / フライヤー / ステッカー
並べると1つのグラデーションになるフライヤー
異なるグラデーションのものをランダムで提供できるよう並べ替え作業

──紙ものも色々デザインしていてすごいなぁ。グッズではどんな領域を担当していますか?

グッズチームは4人で動いていて、私は主にオフィシャルグッズTシャツのデザインを担当してます。どの業者さんに依頼するかをみんなで探している中で、ちょうど私がリフレクターに強い業者さんを見つけて、そこでお願いすることになりました。

Tシャツもコンセプトにマッチしたものにしたかったのと、夜暗くなってからもフェスを楽しんでほしいという想いで、胸元の岩壁音楽祭ロゴにリフレクターを入れるようにしました。あと、後ろのビジュアルのサイズはグッズチームで何回も検討して。普段着として着たい方もいると思うので、おしゃれに使えるビジュアルのサイズ感になるように考えました。生地感もしっかりしてて、めっちゃいいです!

オフィシャルTシャツ(背面)

──最後に、当日に向けての意気込みをお聞かせください!

いろんな人にロケーションや、「こんなフェスがあるんだ」と知ってもらいたいです。学生も職業も関係なしにみんなで楽しめるフェスになると思ってるので、そういう面でも楽しみたいと思ってます。当日はオフィシャルグッズの販売を担当する予定です。本当に楽しみです!


『岩壁音楽祭 2022』は9月17日(土)の開催に向けて絶賛準備中。
ポスター / フライヤー / ステッカーも山形・東京の様々な店舗に置いていただいて、本当にありがたい限りです……!

次の記事では、『岩壁音楽祭 2022』空間デザインを担当する、東北芸術工科大学の勝又なつほさん、阿部大雅さん、市川直樹さんにお話を伺います!

『岩壁音楽祭 2019』開催時の知見はnoteで公開しています。『岩壁音楽祭 2022』の知見を貯めたインタビューも公開しておりますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

オフィシャルサイト:https://www.gampeki.com/
Twitter:https://twitter.com/GampekiMusicFes
Instagram:https://www.instagram.com/gampekimusicfes/
 
チケット購入はこちらから:https://gampeki.zaiko.io/e/gampeki2022




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?