MY (K)NIGHTが良すぎて1万字語りました!!!(ネタバレ感想)

MY (K)NIGHTを観ました!!!!!!!

※がっつりネタバレ感想ですしくっそ長いですのでお時間ありましたらよろしくお願いします

おっもしろかったーーーーーーーーー!!
本当に劇場に観に行けて良かったです!!!!(地元でやってなくて往復五時間運転しました)

始まってすぐ、美しい風景とともにスクリーンに映し出される刹那の後ろ姿。
このファーストカットからもう好きだ……!!ってなりました
(ちなみに待ちきれなかったので映画観る前にノベライズを5回以上は読み返していたのでストーリー自体は知ってる状態で観ています)
こだわりの映像が詰まってるタイプの作品、好きに決まってるじゃないですか……
刹那が煙草の灰を空き缶に落とす姿と母親からの留守電を聞くだけは聞いてるけど苦い顔をしているこのワンカットで、台詞もないままにキャラクターを説明するのが上手すぎる。
事務所の外の廊下の廃墟っぽさも、まさかここがデートセラピストの事務所とは外から見たらわからない感じ。
そして事務所内の最初の刻の「ねぇ」って呼びかけてる声に「今のもしかして北人さんの声!?」ってびっくりしました。雰囲気が(刻がふいんきって言ってるのもいい)全然違うので思わず何回も画面を確認しましたね……劇場の音響で聞いたからなのかわかりませんがそこにいるのは刻だしイチヤだし刹那だったんですよね本当に……すごい……
これって普段のスリボを知っているからこそなんだろうなとは思うんですが、一ミリも知らない状態で観てみたかった気持ちすら生まれました、本当に全員演技が上手いってすごいことですよ。
刻が実は大食いキャラだったり、イチヤが寡黙なキャラだったり、刹那がちょっと皮肉屋っぽいキャラだったりと、どこか本人達のイメージと違うタイプのキャラにしつつ実は観ていくうちに彼らのことを理解した上で寄せられている部分もある。監督が本当に信頼されているんだろうなって感じました。
刹那がイチローについてめっちゃ語るじゃん~って言われてたの、実は野球好きとかいう設定もあったりするのかな、ふふ
バーでのやりとりが交互にカットの切り替えを使ってうまくそれぞれ一人ずつの紹介っぽくなってるのも好き。
刹那が関西弁から標準語に切り替えるところも仕事モードに入った、ってわかるのがいい。
あと地味に好きなのが、探してた鍵が見つかるところ。刹那がコートを羽織ったあとに整えた動きでチャリ、って鍵の音が聞こえて「あー俺や!」ってなるの、めちゃくちゃ自然だったしあるある……

MY (K)NIGHTのKだけ明朝体ぽかったのも面白いタイトル!
オープニング、使われてたのが予告でも流れていたサントラの曲でこれがもう本当にいい。
朝からサントラを二枚両方買ってずっと聞いてるんですが、サントラだけでめちゃ語れそう。なので語ります。もうこれ聞いてるだけで映画を観ているような気持ちになれるんですがとにかくクラシックのジャズアレンジがおしゃれ~!!!テーマ曲の他にパッヘルベルのカノンとチャイコフスキーの交響曲第1番の二曲がアレンジされていると思うんですが(もしかしたらテーマ曲もアレンジなのかな、ごめんなさいそこまで詳しくなくて)それぞれさっちゃんが左手のカルティエ(指輪を外してるから)、カノンが灯さん(教会系の病院)、チャイコフスキーがmiyupoなのかな(バレエだし)。全体的にどのシーンもそれぞれ使われてた気はしますが、印象としてはそんな感じ。二回目以降見ることがあったら確認したいかも。
なんならこのサントラだけでも普通にジャズアルバムとして買っちゃいそう。それぐらい良かったです!!あと本編に本人達歌唱のソロとかが使われてないのが逆に統一感あって良かったんですよね……こういう映画にきっちり合わせて作られたサントラ、好きにきまってるよ!YUKI KANESAKAさん、覚えました。

話はそれましたがオープニングでみんなが走ってるところ、そのシーンがない人もいたような気がするけど(刻はあった)それぞれ電車に乗るためとか最後の写真を取りに行くためとかのシーンで実はあったのかもな、って最後まで観たら思いました

刻とさっちゃんの待ち合わせのシーン、さっちゃんの表情が本当に緊張してるのが伝わってきて、そこに現れた刻の台詞がさっきとはまたちょっと違って「王子様仕様」になってるんですよね……ううう演技が上手い……
レストランのシーンも全員並んだテーブルにしてるからそれぞれ順番に対比になってていいですね、刻はなんとか緊張をほぐそうとしてるしイチヤはどうしていいかわからないし刹那はめちゃ駄目出しされる。
えっこれ一番ポイント高いと思ったのに、ってあたりがなんか普段の自信家っぽさが出てるというか、逆に灯さんがいつもと違いすぎるからこそすれ違ってるんだろうな~
あと刹那が音を立てて飲んでるやつは、普段からこうだとしたらほんとにナンバーワン!?ってなっちゃうけどあれはまだ彼女に対しての接し方がよくわからない状態だったからなのかな。それとも今まで利用してきたお客さんにはつっこまれなかった……?
基本的にそんなに普段食べないタイプの北人さんが作品中はたくさん食べるキャラで、ストイックで体重常に気にしてるRIKUさんが大量に食べさせられ、一番大食いである壱馬さんが何も食べさせてもらえないのかわいそうでおもろかったです。

水上タクシーでの刻のシーン、ずっと映像がふわふわしててブレたりしてたけど、あれがきっとさっちゃんの内面の表現なんですよね、ちゃんと本来の自分を見つけていくにつれて画面がはっきりしてくる……
あとやっぱり「ホテル行く?」で普段から金で買われてホテルにも行くデートセラピストという職業を一言で表現しててめっちゃストレートだけど上手い。
あれがあることで「いつもはそういう仕事もしています」てわかるじゃん……今回はたまたまそれがなかっただけで……
刻は特に「綺麗な顔の男」を求められているキャラクターだからこそ、他の二人よりもそういう仕事が多いんじゃないかと思うんですよね、だからこそさっちゃんに彼女のこと話したとき「同僚」って言い方してて、それがなんかすごい良かった……そうか、同僚って感覚なのか、って……刻、いいキャラだな本当に……
さっちゃんの本心を少しずつ探っていって、どうにか楽しませてあげたい、っていう刻はデートセラピストに向いてるけどそれできっと悩むこともあるんだろうな、それこそが刻の抱えているものなのかも。自覚があるかは分からないけど。
あと夫からの電話に出てるさっちゃんの表情と声のアンバランスさ、あまりにも演技が上手すぎる……さすがです安達さん……!!

miyupoとイチヤの中華街巡り、本当にずっと彼女はイチヤを正面から見てない感じなのが上手いな~~!ここが最後にちゃんと繋がってくる。
あと不機嫌そうにしてるイチヤはやっぱりデートセラピストとしてはまだまだというか、仕事に対しての意識があんまり高くはないんですよね他の二人とは違って
だからこそイチヤの話はイチヤ自身が大きく変わるきっかけになる話でもあり、さらにmiyupoもちゃんと変わっているシーンが出てくる。それは後半また語るけど、二人の表情の変化が上手かったな。
あと何より良かったのが、インスタで見てる子達が写真撮ってください~ってくるシーン。あそこなんかすごいリアルだった……好き……
イチヤが一番食べそうだったから、って理由で指名したのもなんか分かるし、この映画のテーマの中に「人は見た目によらない」っていうのがありそうだからそこらへんの伏線なんだろうな~ あとmiyupoは女性陣の中で一番安定してそうではあるけどは中華街を一人で食べ歩きはしづらいけど友達といくのは気まずい、ってあたりに実は彼女にも抱えてるものがあるってわかるんだよね
あとファンの子には彼氏ですか?って言われてカメラマンですって返すけど展示会では彼女ですって言っちゃうあたりもいいですね、ちょっとずつイチヤに対して興味が向いてる感じ

刹那と灯さんはある意味一番デートセラピストとしての仕事ではない、どちらかというと演技者としての依頼だったわけだけど、刹那がそれに気づくまでにどうにか気に入られようとしたり、彼女が頼んでくれなければご飯にすらありつけないから「あれ美味しそう!」とか言ってみたり、おそらく数ある刹那のこれまでのデートセラピストの姿の中で一番無様な姿を見ていることになるんですよね我々は。
いつもだったら完璧に何でもこなせるナンバーワンなのに、全部上手くいかなくて調子崩されてちくしょーってなってる刹那がめちゃめちゃ面白い。いつもの刹那だったらこんなことにならないだろうからその姿を見られることに特別感があるというか、お得感がある。
ネクタイを変えるシーンでも刹那はあくまで「婚約者」を演じるから距離感を縮めようとするけど、灯さんはそういうつもりでは依頼してないから近寄るなオーラ全開にしてて、だからあのシーンは胸キュンとかじゃ全然ないんですよね、それがすごくいい。あれでキュンとできるタイプなら多分こんな依頼はしてこなかったはずだから……灯さん……
でもまあ刹那はそんな事情知らないから自分のペースにもっていこうとして空回りしてて。電車の中でようやく事情を知った刹那の顔がものすごい複雑そうな顔をしててそれもまた上手かった……!!

刻とさっちゃんが「したかったこと」をしにいくシーン。
喫煙所のとこ、確か試写イベントのトークで監督が「たまたまその場にいた人をエキストラにして、アドリブで話しかけさせた」って言っててすごいな!?ってなってたのでようやく見られて嬉しかった……!あそこで自然に火をつけてあげたってことだもんな……ふふ……
北人さんのアドリブ対応力は恐らく今までのドラマ(特に魔法のリノベあたり)のおかげだと思うんですけど元々のセンスもあるんだろうな。監督が色々させたくなるのもすごいわかる……それぐらい演技が自然で良かったので……プリレジェの頃からずっと変遷見てるからこそ感動しましたよ!個人的にトーキョー製麺所もめちゃくちゃ好きです。ハイローは親なので勿論ですが……
また脱線しましたが、したいことその2!トイレで立ったまましてるとこが見たい、のところめっちゃ良かったですね!?変態なんだ、って言いつつ全然生々しくないし「もうしまっていいっすか」「いいっす」のやりとりとかがさらっとしてて性的なものを感じないようになってる。
ていうか排泄を見せるのってある意味究極だと思うんだけど(もしかしたらデートセラピストとしてもほとんどなかったかも)それをすることで彼女が楽しんでくれるなら、って受け入れる刻も結構すごいというか、もしかしたら自分をあまり大切にしてないのかもしれない。そう考えるとどの組もそれぞれ共通点があるってことだよねやっぱり……さっちゃんみたいに自分を殺して生きてきたというか……
このあたり映画ではあんまり語られてないけどノベライズにあったモノローグとか設定とかがどこまで監督の構想にある設定なのかが知りたいですね、カフェの話とか外見と中身の話とか、無視されることに慣れているみたいなやつ……
そしてその3、ラーメン屋のシーン。これ深夜に見たらめちゃお腹すいちゃうやつだった……ご飯食べてから見たので命が助かりました
あの狭さの店にきっと入ったことはないんだろうな、もう全部が楽しいって顔してるさっちゃんがここらへんで本当に笑顔が可愛くなってて、表情の変化がすごくよかった。
なによりスタンドUPスタートでの共演と同時期だったのも分かるというか、いいキャスティングでしたね……!!

家に行ったあたりの「ほらもう汚い!」の言い方とかも上手いな……台詞全部いい……
自分のホームに戻ったから素になった刻がすごいよくわかるシーンだしアドリブ多かったって聞いてたけどそれがまた自然で良いシーンになってましたね
何より茉麻役の織田さん、コンフィデンスマンJPのモナコだ~~!!(好き)
刻の家が本当に居心地良さそうというか、空気感が良すぎてさっちゃんが「なんかいいな」ってなるのがわかりすぎる、あの空間から自分のいるタワマンの塔の上でひとりぼっち(この表現もよかった)に戻るって考えたら辛いよね
「俺、俺ケンタロウ」とか「マーサ~片付けろ~」とかも上手すぎる、全然演技してる感がない……
この二人が共同生活してる関係性も良かったな、どっちもお金出し合ってるしお互いを養っているっていう感覚でもないというか、お互いを尊重している感じ……恋人っていうよりもう家族なんだろうな~
そしてここでさっちゃんが手料理さらっと出してくれたりして、何者!?って茉麻に驚かれることで自分が何者なのかを少しずつ取り戻していくその流れが本当に好きでした

あと順番は違うけどその後のボクシングの練習のシーンもすごいよかったしそこからの流れは突然のハイロー!ってなりましたね、刻が壁に吹っ飛ばされるシーンとか慣れている、さすが鬼邪高の高城司……って感じだし(司は強いけど)
というか壁に叩きつけられてるときの衝撃とか伝わってきてアクションのシーンがめちゃ上手かった……
さっちゃんかっこいいよさっちゃん~!!スタンドUPスタートとどっちが先だったのかわからないけど、どっちも同じような撮影してたと思うと面白いですね!!
連続で相手をパンチで吹き飛ばす演技をする安達さん……ふふ……

ここからはイチヤとmiyupoのパート!
イチヤは三人の中で一番過去がはっきり出てくるキャラクターで、どちらかというとmiyupoの方に最初は謎が多いんですよね
写真展に入る理由が「有名なインフルエンサーが話してて話題だから」っていうのもインスタグラマーあるあるなのかもしれない、確かに一人が紹介したら一斉に他の人たちも同じものを紹介しているイメージはあるかも。それがどういうものかはちゃんと精査してなくて、ただ話題だから、流行ってるから、という理由で紹介されたものが実は……みたいなのも実際結構あるし
ていうかよく考えたら善友トモアキの写真展自体がそういうSNSでの写真についての反抗というテーマなのに、実際miyupoはそのSNSを駆使するインフルエンサーが紹介してたから、という理由でここに訪れたわけで、そう思うとなかなかの皮肉ですね……紹介するツールが今やそのSNSがほとんどだから……それ以外で宣伝して見に来るのって結局ああいう個展はほぼ身内とかだけになりがちだと思うので……
そう思うと「どっちも自分」というmiyupoの言葉が一番実はハマっていて、だからこそイチヤもそれで吹っ切れたのかもしれない。
どっちかだけしかないと思い込んでいただけなんだろうな。
北條とは昔も付き合ってるかどうか曖昧な感じだとお見受けしたんですが善友のこともそこまで……って感じに見えましたね
「いい写真はいいねでいいと思います」は最高の台詞だなって思うし、芸術作品に対しての評価って結局難しく考えずに自分がそれを見ていいなと思ったかどうかだけなんですよね
それはそれとしてイチヤの本名が「青山」なのってRIKUさんが普段青山陸ではなくRIKUとして活動しているからこそできる遊び要素でいいですね!
イチヤって名前は多分お店の名前だろうから本当に本名は青山陸の可能性もある……?
なんだかんだでイチヤはもうここに戻る気はないってはっきりしてるんですよね、でも昔のモヤモヤが晴らせたわけじゃなくて、miyupoのおかげでそれがすっきりしたんですよね
あと屋上のシーンでmiyupoがイチヤの叫びを聞いて初めて目が合った瞬間のところ、予告で何回か見てたはずなのにあの流れで見たらものすごく良くて、miyupoはインスタの画面といいねの数しか見えていなかったのが、バレエの話をしたのとイチヤと目を合わせたことでようやく外の世界が入ってきたってことかな
友達と一緒は気まずい、っていってたmiyupoだけど実際友達と一緒に行ったらそれはそれで楽しい気はするんですよね、スマホの画面だけを見ずに目の前にいる相手と向き合うことで新しいものが見えてくるよ、みたいなことを特に押しつけがましくなく気づかせてるところが良かったな
ところで屋上で突然EX FIGHTのジムトレーニングが始まってましたね?本気のスパーリング始まってめっちゃ笑いました
その後の「なんであの人やったらやりっぱなしなんだよ……」の台詞がめちゃ自然で良かったですね、これまで舞台がほとんどだったRIKUさんの初の映像作品(ほんとはCLの短編あるけどそれもよかったし撮影も同時期だった)、舞台との違いで苦戦したかもしれないけどものすごい演技が良くて、今後もぜひぜひドラマなどにも挑戦してもらいたいな~と思いました
あととにかく最後の撮影会のシーンが本当に美しくて!!中川監督は本当に照明の使い方が上手いんだなーと改めて……あそこで撮った写真全部見せて欲しいな~~!
インスタにあげた最後の写真もすぐにめちゃいいねついてたの、わかるよ……
あれを本当にRIKUさんが撮ったっていうのもすごい!!

そして最後に刹那と灯さんのパート。
まずここの病院、ロケ地どこなのかな!?建物自体がめちゃくちゃ雰囲気あるし、シスターの出迎えで思ったけど灯さんの服もどこかシスターみがあるというか、キャラクターのイメージがそうなのかもしれない。
名前が本名でマジで!?ってなるのは刻と刹那に共通のシーンだったけどやっぱりどちらも今回はイレギュラーな依頼だったんだろうな、そして高橋宏という偽名、ノベライズでは気づいてなかったけど後から壱馬さんだからその名前か!ってなって面白かったですね
ここで灯さんが病室入るときの緊張がすごい伝わってくるというか、穂志さんの演技がずっと上手いんだなって改めて思ったシーンでしたね……
そういえば婚約者の設定として、映画は二月の話だけどクリスマスに式を挙げるって結構先の話だ でもまあ紹介するタイミングって考えたらそんなものか……もしくはお母さんがもういなくなるかもしれない時期として選んだのかな……
灯さんがずっと「選ぶ」という行為が苦手で一人ではなかなか決められない、っていうのがここにきてこれまでの行動と繋がるのが上手かった
レストランでもネクタイ選びでもとにかく自分が選んだものが正解なのかわからない、ってことなんだよねずっとそれを否定されてきたから……
ここで刹那が「俺は親が嫌いだけど」ってはっきり言ったのも彼女にとっては救いだった気がするんですよね 嫌っててもいいんだ、っていう その後も自分を責める彼女に対して刹那は「本物のナイトになれ」という言葉を実行しようとする。
ずっと刹那は彼女の本心が見えなかったからペースを崩されてきたけど、ここにきてようやく彼女のことが分かったからこそ彼女を救うためにすべきことが見えた。この流れが最高にかっこいい……

そしていよいよ母親とのタイマンシーンですが(タイマン言うな)刹那が結局彼女に全部見透かされてバレて狼狽えるのも良かったな、一枚も二枚も上手だった佳津子さん……というか坂井さんの演技よ……!!
佳津子さんが刹那に対してはちょっと話すようになったの、やっぱり刹那が出て行った父親に似たタイプだったからなのかも。本来このタイプの人間と会話が弾むんだろうな。そうやってペースを乱されるのがあんまり好きじゃなかったにしても。
娘に対して煙草を吸うとこは見せてなかったけど、それと同じで隠していたことがきっとたくさんあるよね、それこそ親子とはいえ他人だから……
刹那も親に対してずっと虐待されてきて、縁を切って逃げてきたわけだけど、佳津子と灯のようにこんなに近くにいるのに何も見えていなかった親子を見たら自分が見ていなかった親の部分に関しても思うところはあったのかもしれない。
でもそれですぐに会いに行く、とはならずに留守電にメッセージだけ残したのもいいな。
されてきたことを考えたら許したくもないだろうし許せなくて全然いいし。
あとノベライズで読んだときよりも刹那が灯さんに伝えたメッセージは灯さんのために考えられた言葉だったんだろうなって思いました。ここは本人が考えた台詞なんだろうなってすぐにわかったけど、私が元々川村壱馬さんを知っているからこそだし、全然知らない人が聞いたとしたらまた違って聞こえるのかもしれない。監督の考えた台詞がしっくりこなかったからってインタで観たけど、監督が最初に考えてた台詞も気になる~!
煙草吸わないです、って言ったとき佳津子さんが嘘でしょって顔してたけど、煙草ってそもそも身体に匂い染みついてるから吸ってる人はわかるだろうからすぐバレますよね!
そして結婚に反対する理由が「自分が許可したらそれを理由にまた親から逃げられなくなるから」っていうの、親子そろって不器用だったんだな……素直に言えないからこうなったわけですからね……でも煙草吸ってるって知った時の「それは駄目でしょ」の灯さんが一番親子の顔してたから普段はきっとああいう会話もあったんだろうな~ちゃんと

あと刹那パートで一番良かったのは「普通に、幸せに生きたいよな」って台詞ですね。そうなんですよ、不幸になりたいわけでもないし幸せになることを誰にも邪魔されるべきではないから、あの言葉を灯さんが聞けたことが確かに癒やしになっていたらいいなと思いました
そして最後にちゃんと報酬はもらい、肩を叩いて送り出す。
残された刹那の隣にマリア像があるのも象徴的だった……彼もまた親にまだ縛られているからこそ、灯と同じように親離れするために連絡したのかもしれないよね、前に進むために。

そして肩を叩いて送り出す行為を同じ頃さっちゃんにしていた刻。
デートセラピストとして今後もリピーターになってもらうような相手じゃないからこそ、彼女たちの背中を押して夜明けに向かって送り出すラストがものすごく美しい。
イチヤに関しては彼自身も多く救われているから、トラックの上と下で手を伸ばしあっているあの構図がしっくりくるんですよね。イチヤが背中を押して送り出すのはちょっと違うし
ちなみに押したのはインスタのいいねだったんじゃ、と教えてもらったのでなるほど!ってなりました。それもmiyupoへのエールだな~!

刹那が海で電話をかけるシーンが、恐らくちょうど明け方の5時ぐらいだと思うんですよね、そして最初の屋上で留守電を聞いてるシーンが夕方の17時なので、夕日からの朝日との対比、沈む光と昇る光が刹那の気持ちにリンクしててもう全部が上手い。すごい。しかもすごい画面映えしてて最高。
迎えに来た車には全員もう乗っていて、刹那と刻の朝日に照らされた横顔がまたすっきりしてていい顔をしてて、車内ではイチヤがインスタを見て微笑んでいて、じんわりといい話だったな、って感じるラストが素晴らしかった。
そこからの「海行きたいッス」のあとはもうご褒美シーンですよね!
いつものスリボのわちゃわちゃ感も見れるし、でもちゃんとそれぞれのキャラクターとしての関係性も見えて……
イチヤが写真を撮っていたことなんてきっと知らなかった二人が、彼に言われて被写体になって色んなポーズを撮っているのもここまで見てきたからこそほっこりするいいシーンでした。

この映画、最初はLDHのいつものシネマファイターズ企画の短編3本の予定から始まったと知って、なるほどインスパイアソングのソロは要するにその頃のエンディング曲のつもりで作ったのかな?とか(だから歌詞の内容が今回の映画に全然リンクしてなくて納得だった)片隅が実は元々オーディションの課題曲の予定だったとか、企画から二年以上経ってから形になったとか色んな話があったみたいですが、とにかく中川監督が撮ってくれて良かったし結果的に脚本も最高だったし、何よりアーティストを主役にしたこれまでのLDH作品とは違ったパターンで見られたのが本当に良かったです。純粋に彼らが俳優としての仕事を積み重ねてきて成長したことで実現したものだと思うし、こんなにいい映画を見せてくれて本当に感謝しかないですね……観たかったのはこういう映画だったので……!
何より映画好きにこそ見てほしい、って自信をもって紹介できる映画に出演しているのが我らがスリボっていうのが嬉しすぎる。見てくださいランペのスリボ、こんなにすごいんです!!
なのでもっともっと演技のお仕事も見たい、でも本業のアーティスト活動も見たい、なんて贅沢な悩みなんだ……

そしてどうかパンフを……パンフを買わせてください……

※12/8にETSでのパンフ販売が決まりましたね!やった~!!買います!!


【12/10追記】
追加で二回観たので新しく気づいたところ。

事務所のホワイトボードは上から順番に刻、イチヤ、刹那の順番で場所と戻り時間が書いてある。刻は23:30?でイチヤは18時台で刹那は21:45ぐらいだった。
映画では全員朝に迎えにきてたけどたまたまその日は皆同じ時間になっただけかな?
あと事務所の横浜デートスポットマップ的なやつに「必殺水上バス」の付箋あり。さっちゃんが緊張してたからあえてそこに連れて行ったのかも。
車に乗る時は刻が助手席、イチヤと刹那が後部座席。帰りも同じだからいつもそうやって乗ってる?

miyupoが中華街でストーリーをあげてるけど、後半展示会で自分も撮影されて「ヤバイ女w」ってされてる
イチヤと屋上で話しているシーン、サイレンが鳴っても演技をやめなかったからそのまま使ったのかな?ってぐらいあの喧噪とかがリアルですごくいい

刹那が親の話をするときの演技がいつも口の中をもごもごさせているというか、噛んでる?みたいに見えるのでうまい。頬をすぼめるみたいな感じのやつ。

それぞれのシーンすべてにマリア像が出てきてる。刻は家の中の窓際に、刹那は病室に、イチヤは個展の受付のテーブルの上に。それぞれの印象的なシーンの場所にあるのかも?
更に刹那が病室で座る時後ろに十字架とマリア像があってそれを隠すように背を向けて座るのも上手い。

最後にmiyupoと写真を撮るシーンでイチヤが彼女の姿に笑顔になった瞬間にBGMのピアノの音が流れるところが何度見てもうわーー!ってなる。気持ちいい。


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