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【Jユースカップ2回戦】ヴィッセル神戸×レノファ山口【試合レビュー】

 もう1か月近く前の試合なのでアレですが、せっかく「翌日のトップチーム鹿児島遠征とどちらに行くか?」の天秤で神戸まで行ってきたので振り返っておきます。


 1回戦で塩釜FC(宮城県代表/宮城県1部)に勝利したレノファ山口U-18は10月19日、いぶきの森球技場にてヴィッセル神戸U-18と対戦。レノファユースは現在山口県リーグ1部、相手はプレミアWESTなので2カテゴリー上の超格上となる。

ユースピラミッド

 スタメンは以下のとおり。神戸はU-17W杯でも活躍した山内翔が代表召集のため不在だが、トップチームでも出場歴のある小田裕太郎など、錚々たる面子。レノファユースは1回戦と同じメンバーで神戸に挑んだ。

20191019 Jユース杯2回戦 スタメン

 ヴィッセル神戸はいわゆる「バルサ化」を推し進めているが、トップチームだけでなく下部組織にもバルサメソッドを注入している。神戸ユースもトップチームと同様、後方からしっかりボールを繋いで前進してくるスタイルだった。この神戸のビルドアップに対して、レノファはかなり極端な守備戦術を取った。バルセロナのような格上で繋いでくるチームに対する守備というと、深い位置に守備ブロックを敷いて待ち構えるのが一般的だ。しかしながらレノファユースは、代名詞の?ハイプレスと、いつも以上に高いディフェンスラインで対抗した。

■神戸を迎え撃ったレノファの守備

20191019 Jユース杯2回戦 守備

 一例を切り取ると上図のようになる。ハイプレスといいつつも、前線の3トップはボールを「奪い」にはいかない。下手に突撃するとそこから芋づる式にはがされるため、我慢してパスコースを制限し、中盤~DFラインのプレッシャー・ボックス内での奪取を狙う。相手のダブルボランチ+2シャドウの4人を、【OM林・DM柳井/三好・逆サイドのSB】で見るのが基本ルールのようだった。そして相手の受けるスペースを狭めるために最終ラインを極端に高くする。これは神戸がショートパスでの繋ぎを重視するため、裏一発はあまり狙ってこないという計算もあったかもしれない。このような格好で、序盤はハーフウェー付近の縦20~30メートルという狭いフィールドでサッカーが行われた。

 体格・技術など個々の力は神戸のほうが1枚上な感じだったが、レノファの守備戦術は見事に嵌まり、序盤は互角に近い展開に持ち込むことに成功。ボランチやシャドウへの縦パスを狙って奪い、神戸3バックの脇にウイングを走らせる。前半7分には⑪杉村がPKを獲得。これが決まっていれば試合展開は違ったものになっていたかもしれないが、このPKは神戸GK多久美に見事ストップされる。
 そして20分、神戸の右コーナーキックから、ペナルティアーク付近にグラウンダーのボールを送るというシンプルなトリックプレイだったが、⑨小田がフリーとなっており先制を許すことに。その後も神戸に一方的にボールを保持されるが、レノファは辛抱して守備方針を貫き、時折効果的なカウンターを繰り出す。28分には完璧な崩しから決定機を得るがこれも防がれ、セットプレーでも2度惜しい場面があったが決め切れなかった。
 前半は0-1で終了。ボール支配率は75:25くらいだったと思うが、試合展開的には4分6分とも言え、勝機も十分にあると感じられた。やはり問題は前線に良い縦パスが入った場合で、特に神戸の2シャドウ⑨小田と⑭加藤に前を向かれると、自動的に水際まで下がらざるを得なくなってしまうほど別格だった。

 後半立ち上がりはレノファが攻勢に出る。河野孝汰はやはりズラタン、長州のイブラヒモビッチだ。前半と同じ我慢しながらも積極的な守備から、河野のキープでチャンスを演出しレノファの時間帯が生まれていた。
 ただやはり徐々に劣勢度が高まっていき、このあたりからはかなりうろ覚えなのだが、69分にはそれまで鳴りを潜めていた左WB⑳佐々木に単独突破を許し0-2に。さらに終盤、イージーミス?から3点目を奪われる。やはり神戸は強かった。

 点差がついてからは互いにフォーメイションを変更。後半25分あたり、選手交代と同時に神戸は[4-3-3]に並びを変更。神戸守備陣からは「早くね?」という声も聞かれたが、どういう意味だったのだろう?
 レノファも[4-1-2-3]に変更して捨て身アタックを仕掛けるようになったため、途中から試合展開はオープンに。ここまで細かくつないできた神戸側もシンプルな展開で素早くゴールに迫る場面が増えていった。こういうオープンな試合展開のほうが神戸の選手も活き活きしているように見えたのは気のせいなのか、そう思ってしまうのが和式なのだろうか。ともかくも、互いにガバガバ度が増してきたため、山口の前線も見せ場が増えてきた。河野のキープ力で相手を2枚引き付けることで、右ウイングの松原も躍動。得点こそ奪えなかったものの何度もチャンスを作った。スコアは完敗だったが、プレミアリーグのチーム相手でもここまでやれるというのを見せてくれたと思う。

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 残念ながらその後の3回戦で敗退してしまったが、ヴィッセル神戸U-18は強いチームだった。トップチームまんまというか、試合中の選手間の声掛けも「寄りすぎるな!」「角度を取れ!」など、ポジショニングに関するものが多かったのが印象的だった。

[得点]
神戸:⑨小田(20分)、⑳佐々木(69分)、渡邊(88分)
[交代]
神戸:⑨小田⇒㉒渡邊悠平、⑭加藤⇒⑥桐谷雷
   ⑳佐々木⇒㉜倉田、⑪森田⇒⑬臼井勇気
山口:㉓柳井⇒㉗山崎柊人、㉒吉田⇒⑦天根勇輝

■ユースの今後について

 最後に、これはツイッターでもちょっと呟いたのですが、

 代替わりを繰り返すごとに強くなってきたレノファユース。代表候補の河野くんが目立っていますが、そのほかにもレベルの高い選手がたくさんいます。こうなってくると、来季のプリンス昇格の可能性が消滅している現状で、県リーグでどこまで育成が出来るのかというのが課題となってきますね。プリンス相手でもこれだけの試合が出来るチームなので、もっとレベルの高い相手にもまれる機会が増えればと、どうしても思ってしまいます。(※県内の他チームを貶めているわけではありませんが)
 来季も県1部なことは決定しているので、通常のリーグ戦以外でどう強化を図っていくかというのは注目事項ではないかと思います。

ではまた。

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