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数学への「わくわく」を絵にする 「笑わない数学」シーズン2のイラストのこと



シーズン2の放送をありがとうございました

NHKの数学エンターテインメント番組「笑わない数学」のシーズン2の放送が終わりました。視聴者を数学の深淵へぐっと引き込んでくれる番組です。毎回興味深いテーマばかりで、今シーズンも非常に楽しく見せていただきました。

シーズン1に続き、わかりやすい解説、清潔感のある美しいCG、尾形さんの親しみやすく情熱溢れる語りが魅力的でした。
制作された方々はおそらく、今回もご苦労が多かったことと思います。数学に馴染みのない視聴者にも興味を持ってもらえるようなテーマ選びや、理解しやすくする説明の仕方をどのようにするか、御検討を重ねられたのではないでしょうか。

今回は多くの人が見やすい時間帯に再放送もあり、ますます番組のファンが増えたことでしょう。番組を見た子どもたちの中から、将来、数学者が出てくるかもしれませんね!

描いていたイラストのこと


さて、私は今回も、番組についてのイラストを勝手に描いて楽しみました。
シーズン1の時は、番組の放送の後、あるいは放送前と放送後の両方にイラストを描いたこともありました。でも、当時の絵を見直したら、番組を見る前の絵の方がのびのびと描けていることが多かったです。多分、番組で見た数学の難しい概念を絵で表現するのは私には難しかったのだと思います。見る前の方が、妄想に任せて描けるので、絵としての自由度が高くなるんでしょうね。

そこで今回は、番組の予告を見た時点で、番組への期待や、内容がどんなものかについての想像、妄想、連想などを好き勝手に描いてみました。事前にWikipediaなどで次回のテーマについて調べて、思いついたこと、こうかもしれないと思ったことなどをイメージが浮かぶままに絵にしました。
数学をよくご存知の方から見れば、何描いてるんだこいつ、と不快に思われるイラストもあったかもしれません。決して数学を茶化しているわけではなく、番組を楽しみにしている気持ちを表したかっただけですのでご理解ください。「番組を楽しみにしてますよ!素人としてこんなことを考えてますよ!」と伝えたかっただけなんです。

キャラクターのこと

今回のイラストでは、登場するキャラクターを子ども3人にし、それをずっと固定して使いました。これは一枚目のイラストにたまたま描いたキャラクターをそのまま継続して使っただけなのですが、メリットが沢山ありました。
キャラを固定したことで、毎回新しいキャラを考えないで済みました。3人とも同じ顔立ち、同じ服装、同じ背格好なので、コピーして使うこともできました。
3人という人数もよかったです。会話をさせることもできるし、一人一人に違うことをさせて時間の経過を表したり、違う考え方を示したりすることもできました。
ただ、失敗したなと思ったのが服装です。「キャスケット」という種類の帽子がかわいいなと思って、それを被せることを最初に考えました。キャスケットに合うファッションは何かな、とネットで検索して、出てきた子どもの服装の中からかわいかったものを選んだのですが….後から「スーパーマリオに激似だ」と気づきました…。もしシーズン3があったら服を変えようかな。

ちょっと余談ですが、学生の頃、近所に帽子作りの教室があって、しばらく通ったことがありました(前にもこの話をnoteに書いたことがあるかもしれません)。先生のくださる型紙を使い、型紙に沿って布地を切って縫い合わせていく作業です。
6枚はぎの帽子(子どもが使う紅白帽子(赤白帽)のような感じ)は、6枚の布を縫い合わせて頭頂部を作ります。三角形のような扇型のような形の布地を6枚、決められた手順通りにはぎ合わせていくと、6枚の布の(縫い代を除いた)頂点が、てっぺんでずれずにピタリと一点に集まって仕上がります。
そのことに感動して喜んでいたら、先生が
「そんなことに感動する人は珍しい。他の方は(そんなことを気にせずに)どんどん作っていきますよ」
とおっしゃったのを覚えています。
私はもしかしたら、そういう「仕組み」とか「構造」のようなものに興味があるタイプなのかもしれません。
今回のイラストのキャラクターに被せたキャスケットは、偶然ですが、同じ6枚はぎの帽子です。過去と現在の自分が細い糸で繋がったような、ちょっと嬉しい偶然でした。

証明と編み物とタイプライターの「手続きの繰り返し」

番組で扱われていた1+1=2や2+3=5の証明は自分でもやってみましたが、「編み物と似ている」と感じました。一定の手続きを繰り返しながら括弧を一つずつ外していく証明の方法が、同じ動作を繰り返して一目一目編み上げていく編み物の手順と似ているように思えたのです。
同時に、タイプライターにも似ているな、と思いました。今ではもう見かけませんが、昔のタイプライターは、文字を打ち込んでいくと紙が挟まっている部分が移動していき、紙の右端まで文字を打ったら、その紙のついている部分を手動で移動させます。この「一通り終わったらあるアクションをして、また同じ手続きを繰り返す」ところが、この証明の手順と体感的に似ていると感じたのです。

数学は難しい、自分と関係ない、とつい思ってしまいがちでしたが、自分が生活の中で経験していることと数学は、それほど遠くないのかもしれません。

今も、職場で食器乾燥機に同じ皿を何十枚も詰めながら「ケプラー予想」を思い出したりします。シーズン2を見たことで、数学との距離がまた少し縮まったような気がします。

数学ともっと仲良くなりたい

シーズン1とシーズン2を見終わって、私が数学がわかるようになったかといえば全くそうではありません。わからなかった部分も多いし、見た放送の内容もどんどん忘れるし、新しいことを勉強しようとしても、知らない単語や概念が無数の分厚い壁になって、音を立てて私の前に立ちはだかります。

でも、わからないのは、自分がダメだからじゃなくて、まだその言葉の意味や概念を自分が知らないだけなんだ。外国語を学ぶのに単語の意味を知る必要があるように、一つ一つの言葉や概念を知っていけば、もっと数学を楽しく学べるようになるはずだ。自分が知らないことがこんなに沢山あるということが、とても楽しいことだ、と思えるようになりました。

数学者が見ている数学の世界の面白さを、私ももう少し覗いてみたいです。数学をやることが、私たち一般人にとって、ラジオ体操と同じくらい日常的なものになればいいなと思います。

読んでよかった本

二宮敦人『世にも美しき数学者たちの日常』幻冬舎 (2019)
 数学者やさまざまな立場で数学と関わる人たちへのインタビュー集です。一人ひとりが個性的で楽しそう。「数学は大人になってからでも楽しめる」「数学を趣味として楽しむのも良い」という話も出てきます。「笑わない数学」の番組の内容と直接関わるわけではないのですが、番組を見て数学に興味を持ち始めた大人の視聴者にとって、勇気をもらえる一冊です。

描くためのツールなど(自分メモ)

使用した道具 iPad, Apple Pencil
アプリ MediBangPaint
ペンの基本の設定(線画) 太さ20px 最小40%
 小さめの絵にするときは 太さ15px 最小40%
配色 『3色だけでセンスのいい色』p.90掲載の3色+白+黒
キャンバスの大きさ 25cm x 25cm (必要に応じて拡大)
解像度 350dpi


「笑わない数学」に関するイラストは、下記のマガジンにまとめました。

https://note.com/rmia_clip/m/mad8496860a52

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