ある日の寝かしつけ

今晩も 根くらべ
なかなか寝ない 3歳の娘
枕元に積みあがった絵本
全部読んだのに 満面の笑み
まだ今日を遊びつくしてないとばかり
寝落ちしかけの 父にのしかかる

きみにとっては すべてが新しく
何もかもが 驚きと学びの源泉
「なんで」「なんで」「なんで」「なんで」
使えるもの全部使って 世界を
メイクセンスしようとしているね

だがその世界は お父さんたちにも
しらない場所になりつつあるようで
「きんきゅうじたいせんげんが はつれいされています」
きみが得意げにそらんじる あの放送
ぼくも最近 初めて聞いた

記録更新を続ける気温
どこかの森が燃え 氷が融け 街が沈む
ながれてくるニュースに 速まる脈
おとーさん何しているの?
慌ててスマホをしまう

三十数年 生きてきた
世界の安定は かりそめで
「平年並み」など意味をなさない
非定常な時代の入り口にすぎなかった

「なんで」「なんで」「なんで」「なんで」
ごめん 父さんにもわからないことだらけ
ただ 今日が楽しかったのは 
たぶんきみと同じ
隣から 寝息が聞こえてきた


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