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スロベニアvsスロバキア~左サイドをを諦めたスロベニア~[W杯欧州予選グループH第4節]

名前も国旗も似ててよく分かんなくなる対決です。

試合概要

メンバー

試合内容ふり返り
試合は32分のボジェニークのゴールでスロバキアが先制。しかしその10分後の42分にスロベニアのストヤノビッチが決めて同点。スロバキアはこの試合で11本のシュートを放つも枠内は僅か2本と精度を欠き、ポストに2度当てる不運もあり勝ちきれず。1ー1の引き分けとなりました。

(1)攻撃の中心となる右サイド

スロベニアはボールの保持時にはボランチのシュトゥラツが中央のレーン、ロフリッチが右のハーフスペース、トップ下のザイツが左のハーフスペースにポジションを取り、真ん中の3レーンを担当します。スロベニアの右サイドではそのロフリッチとSBストヤノビッチ、SHイリチッチで三角形を作り連動した攻撃を見せます。三角形の基準となるのは右SHのイリチッチです。イリチッチがサイドに開いた時にはロフリッチかストヤノビッチがハーフスペースにポジションを取り、内側に絞った時にはサイドに開くといった感じでイリチッチを基準に三角形を作ります。下の画像の45分20秒の場面は特に綺麗な連動でした。

また、この試合で特に効果的だったのがロフリッチのニアゾーンへの侵入です。イリチッチがサイドでボールを持ちスロバキアのSBを引きつけた時にロフリッチはニアゾーンへと侵入します。スロバキアはこのニアゾーンをCBが横にスライドするのではなく、中盤の選手が降りることで埋めようとします。しかし、この試合ではここを埋めきれていない場面が目立ちました。スロベニアはこのスペースをうまく活用できていました。

(2)使われない左サイド

3人の連携で攻撃の中心となっていた右サイドとは対照的に左サイドの攻撃は機能していませんでした。左SHのムラカルは中央に絞ってプレーをし、左SBのバルコヴェツは高い位置を取らずに低い位置でのプレーが多くなります。そのため左サイドのファジーな位置(SBとSHの間の曖昧な位置)に誰もいないことが多くなります。ここにポジションを取った選手に対してはSBとSHどちらが対応するのか曖昧になり、守備が難しくなります。しかし、スロベニアの左サイドは下の画像のような立ち位置になっているためスロバキアはSBがSBに、SHがSHにと対応する相手が明確になっています。

このような問題が起きているからかスロベニアの攻撃は右サイドに偏り左サイドからの攻撃はほとんど見られません。下のデータはスロベニアの攻撃割合ですがかなり右サイド偏っていることが分かります。

トップ下のザイツは低い位置に降りてビルドアップに関わることが多く、左SHは右からのクロスボールに飛び込みチャンスに絡む場面がありました。この2つから考えると左SBにはサイドに張って高い位置で勝負できるタイプの選手を起用したいところです。そういう選手がスロベニアにはいないのかもしれませんが。

注目選手:ヨシプ・イリチッチ

今回注目選手に取り上げるのはスロベニアのイリチッチです。イタリアのアタランタに所属するイリチッチは身長190cmもあり、とにかくデカくてゴツいです。その見た目とは裏腹にテクニックが高く、細かいタッチでのドリブルやボールキープが特徴です。この試合の得点に繋がったスルーパスも見事でした。また、クロスの精度も高く、右サイドから左足でのインスイングのクロスをあげてきます。スロベニアの攻撃はイリチッチを中心に回っています。ですが、第5節ではイリチッチは累積警告により出場停止です。スロベニアはイリチッチ不在の中どのような試合をするのか注目です。もう試合終わってるけど。

ちなみにそんなイリチッチですが、所属するアタランタではNonna(ノンナ)というあだ名で呼ばれています。意味はイタリア語でおばあちゃんです。イリチッチがいつも体中が痛いと言い、練習前には既に疲れたと言いながら死にそうな顔をしていることが由来だそうです。

イリチッチのプレーはこちらから↓

試合結果

2021.9.2
FIFAワールドカップ欧州予選グループH第4節

スロベニア 1ー1 スロバキア

【得点者】
スロベニア
 42'ストヤノビッチ

スロバキア
 32'ボジェニーク

最後までご覧いただきありがとうございました。スロバキアについてはほとんど触れられなかったのでまた次の記事で。

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