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スロバキアvsクロアチア~守備意識の統一~[W杯欧州予選グループH第5節]

欧州予選も第5節に突入です。

試合概要

メンバー

試合内容ふり返り
両チームともゴール前までは運ぶものの、最後の決めてを欠き得点を奪えずに終盤へ。すると86分にFKから相手のクリアボールをブロゾビッチがボレーで決めてクロアチアが先制。その後スロバキアが攻め込むもGKイヴシッチの2度の好セーブもありクロアチアが逃げ切り1ー0の勝利。勝ち点を10に乗せました。

(1)スロバキアのプレス回避

その前に前提となるクロアチアがどのようにプレスをかけてきたのかを簡単に書きます。クロアチアはトップ下+ボランチ2枚でそのままスロバキアの中盤3枚にマンツーマン気味でつき、両SHが両SBに対応します。そしてCFがスロバキアの2CBの間に立つことでCB間のパスコースを消し、片方のサイドに追い込む形で守備をします。

ではここからスロバキアのプレス回避について書いていきます。上で書いたようにスロバキアのCBがボールを持った時にはクロアチアのCFがCB間のパスコースを切りながらプレスにきます。これに対してスロバキアはIHがアンカー脇まで降りてきて一度パスを受け、ワンタッチで逆のフリーのCBにボールを渡すことでクロアチアのプレスを回避しました。この時IHが緩急をつけて素早く降りていくことで一瞬マークを外してパスを受ける時間を作り出します。降りてくるスピードが遅いと相手が付いてこれてしまうので潰されてしまいます。

試合序盤からこの形でプレスを回避していたスロバキアでしたが、途中からクロアチアもこれに対応する形を見せてきます。IHからパスを受けるCBに対して左SHのオルシッチ(18)がプレスに行くようになります。自分が担当していた右SBへのコースを切りながらCBにプレスに行くことでGKに戻させ、そのGKに対してはCFが連動して寄せてロングボールを蹴らせました。この時左SBのソサ(20)は対応しているWGだけでなく、右SBにも対応できる立ち位置を取ることで、プレスに行ったオルシッチの頭を越してのパスを牽制していました。

(2)問題点となるバイタルエリア

スロバキアの問題点として自陣に押し込まれた時にバイタルエリアに人がいなくなってしまうことが挙げられます。データとして下の画像は両チームのオープンプレーでのPA外からのシュートです。青がクロアチア、赤がスロバキアです。クロアチアの方がPAに近い位置、中央からのシュートが多くなっています。7本全てがこの問題点から繋がったものではないですが、数えたところ少なくとも5本がこの問題点から、しかもフリーで打たれています。

バイタルエリアが空いてしまう問題についてこの試合では2つの原因が見られました。

1つ目の原因はスロバキアのそもそもの守備の構造によるものです。スロバキアはSBが引き出された時に中盤の選手が降りることでニアゾーンを埋めます。この時点で中盤は残り2枚になります。そしてIH、特にクツカは広範囲に動き回ってボールを奪いに行くタイプの選手なので、サイドにボールがある時には中央を捨てて出ていってしまいます。そうするとバイタルエリアには中盤1枚しか残っておらず、スペースができてしまうのです。下の図は18分20秒の場面です。このようにロボツカ(22)がニアゾーンのケアへ、クツカ(19)がボールサイドに引き出されたことでバイタルエリアにはハムシク(17)しかいなくなりセカンドボールを拾いづらくなっています。

2つ目の原因は左WGのヴァイスの守備意識の向く方向です。ヴァイスの守備意識自体は低くはなく守備時にはしっかり自陣まで戻ってきますが、その意識はサイドの選手へと強く向いています。そのため、中盤3枚が片方のサイドに寄っても一緒にスライドせずに左サイドに残ることが多く、その結果バイタルエリアにスペースができてしまいます。下の図は14分の場面です。このように中盤3枚(19、22、17)が右サイドに寄ってもヴァイス(7)はスライドせずに左サイドに残っています。

チームとしてそういう決まりがあるとも考えられます。ですが、この場面ではイヴァンシッツ(7)にパスを通された時にハムシクが手を広げて「なんでそこにいねぇんだ」と不満そうな仕草をしていました。また、ロボツカもヴァイスの方を見て指をさして何か指示を出していたので特にそういう決まりは無いように思いました。この意識を統一しないといつかやられると思うので次の試合までに修正したいところです。

注目選手: イヴィツァ・イヴシッチ

今回注目選手として取り上げるのはクロアチアのGKイヴィツァ・イヴシッチです。クロアチアリーグのNKオシエクに所属する26歳です。この試合が代表デビュー戦でしたが、3度のスーパーセーブでチームの勝利に貢献しました。ロシア戦で出場していたリヴァコビッチは足元が壊滅的だったので、個人的には今後もイヴシッチを使って欲しいと思いました。特に予選ではクロアチアは一番格上のチームであり、ボールを持つ展開が増えるのでイヴシッチを使うべきかと思います。

試合結果

2021.9.5
FIFAワールドカップ欧州予選グループH第4節

スロバキア 0ー1 クロアチア

【得点者】
クロアチア
 86'ブロゾビッチ

最後までご覧いただきありがとうございました。クロアチアの試合を見てると先日引退したマンジュキッチが欲しくなります。点が入る感じがしない。

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