2022/03/26

近頃全然勉強出来ていなかったので、午前中は罪滅ぼしに行政法を齧った。午後からは折角の休日なので、足を伸ばし、前々から気になっていた某専門店までビカクシダを買いに行った。Google Mapは既に店付近に到着している事を示しているのに、店が中々見つからず、怪しい電波によって頭を狂わされたシロナガスクジラみたいな感じで半径10m以内を10分近く彷徨っていた。傍から見たら、普通に不審者みたいな動きをしていたと思う。近隣住民の皆さん、すまない。

無事店に辿り着きドアをくぐると、圧巻の品揃えで思わず息を呑んだ。子供の頃、私はぬいぐるみが好きで、よくトイザらスに行って棚に所狭しと詰め込められた大量のぬいぐるみを眺めて胸を躍らせていたのだが、その時の高揚感が心に蘇ってきた感じがあった。色々と悩んだ結果、ヒリーの一種を購入する事にしたのだが、店主がお優しい方で、苗の選定やら生育方法等について諸々教えてくださり、大変勉強になった。また伺いたいと思う。

それにしても、植物を置きすぎて部屋がジャングルと化してきた。野性に部屋が浸食されていっている。昼間は官僚制に縛られ、夜は野性が犇めく部屋で眠るのは、結構悪くない。私が戻るべき場所はやはりここにあるのかもしれない。植物の根という存在に心を馳せると、心が妙に落ち着く。真にやるべき事、それは根源に立ち返る事だと思う。いつだって根源が叫ぶ声のままに身体を太陽に向かって突き動かせばいいだけの話なのに、社会に揉まれると、この自明性が時折見えなくなる時がある。そんな時に植物を眺めると、喝を入れられた気分になる。

帰宅途中で猫に会った。口元だけ白くて、ボディは真っ黒な猫だった。首輪はなかったので、恐らく野良猫だと思う。不審者なので、思わず「猫ちゃん、どうしたの」と声をかけてみたが、猫は私をじっと見つめ返すだけで、何も返答してくれなかった。逃げはしなかったが、近寄ってもくれないから、多分この猫は私に気がないんだと思い、猫の元を立ち去った。ふと気になって後ろを振り返ると、猫もまた私と同じく道の真ん中でポツンと突っ立って私の方を見ていた。お互い似た者同士なのかもしれない。きっと私も猫になれるし、猫も私になれる。ぼくらを隔てる境界線は、思った以上に曖昧なのかもしれない。おわり。

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