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【設備設計】建築のパイプスペースと自動車のエンジンルームの設計は似ている

 東京のマンションの電気+機械設備の受注をいただいて、設計をしている。PSのスペースが今まで担当した物件のものよりも小さく、メーター、配管の納まりに懸念があるので、納まり図を作成してみた。

800mmのスペースに給水+ガスの配管とメーターを2個ずつ入れる検討となる。最初は入らないと思っていたが、何とか入った。建築事務所に念のため確認すると、以前もこの寸法で何とかなったらしい。

関東の物件だと土地が高騰しているので、実績ベースで、どんどんとPSが小さくなって、施工業者は大変だと思う。

800mmにガス+水道メータ×2個

 自動車の設計でも同じように納まりの検討が問題になる所がある。それはエンジンルーム(業界用語だとエンコパ※エンジンコンパートメント)の納まり。

自動車のエンジンルーム

自動車のエンジンルームも建築のPSと同じく、消費者にとっては何の価値も
生まない空間なので、できるだけコンパクトに収めることが求められる。建築のPSとの違いは以下の2点だが、基本的にやる事は似ている。
・3D CADでパイプや補器の配置検討を行う
・エンジンが動くので、その動き量を考慮する

違うのは設計する期間だ。建築の納まりは1~2回の協議で決まるが、エンジンルームの納まりは新しい車種、エンジンだと、1年半年くらいかけて詳細検討を行っていく。

毎週エンコパ連絡会というのが開催されて、各部品の代表が集まり、あーでもない、こーでもないと議論を重ね、1車種のエンジンルームの搭載検討を進めていく。車の場合、5㎜、10mmの寸法の違いが直接、室内空間や車幅に及ぼすため、非常に詳細まで詰めていくのだ。

そうしてできたエンジンルームやPSは結局お客さんにとってはほとんど見ることが無いものだが、設計者の苦労が一番詰まった場所だと思う。スティーブジョブズが誰も見ないECUの基盤の配線の美しさにこだわった様に、見る人がみればわかるコアな部分。

そんなマニアックな部分を見て美しいと感じる消費者が一人でも増えてくれたら設計者もやりがいを感じる。



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