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#81 お盆休みに先祖を想う大切さ

 蝉の声の忙しさが耳に慣れてくる8月上旬になると終戦記念日、原爆の番組が増え、祖父が戦争に行ったときの話を聞いた事を思い出す。

積極的に自分から戦争の話をする祖父ではなかったが、小学校の夏休みの宿題で戦争の話を聞くという宿題があるとお願いすると、話してくれた。

祖父は陸軍歩兵部隊で東南アジアの方に派遣された。野営を張って見張りを一昼夜して、起きているか、寝ているかわからない不思議な感覚だったこと、ほふく前進しながら玉が飛んでくると弾丸の音色で近くなのか遠くかを聞き分けることなどを教えてくれた。

今思えば、暴行や略奪など汚い行為もあったと思うのだが、小学生だった私に気を使って話題を選んでくれていたんだと思う。

その話をしたあと、おもちゃ屋さんに行った。私は車が好きだったので、戦車のおもちゃが欲しいと言った。祖父は戦車は上から撃たれたらひとたまりもない、飛行機の方が強いと言って、竹ひごで作るヒコーキを買ってくれた。

祖父と父と一緒に飛行機を作り上げ、飛ばしに行った。ゴムを目一杯巻いてから飛ばすととても高く飛んだ。子供の私にとっては、本物のヒコーキくらい高く上がっているように見えた。喜ぶ私の顔を見て、ほらヒコーキの方が良かっただろ?と言った。

実際に戦争に行った祖父、育てた子供、そして孫の私。祖父に取ってはこの上ない幸せな時間だったかもしれない。当たり前になると気づかないが、失ってからでは取り戻せない平和な時間という幸せ。

石油という生命線を欧米に断たれ、経済力を勝ち取るために戦った日本。泥沼から抜け出せなかった戦争。すべてを失って子孫のために懸命に働いた祖父の世代。それを必死に発展させた父の世代。そしてそれを受け継いでいく我々現役世代。

働く意義を見失いがちな現代で、先祖の想いを感じ取ることは有意義なことだと思う。


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