田村俊子「木乃伊の口紅」

優れた解説のエリンギ氏の評言

「大正時代に書かれた作品がこんなにも示唆的なのに、令和時代にも根強い男尊女卑・家制度の蔓延りかたというのはいかに根強いものかと思う。」

作品から男尊女卑や家制度の批判を読みつつ元号(家父長制や男尊女卑の象徴たる天皇制文化の一つ)を用いているところに少し疑義が。

田村俊子の作品が「文学史」の片隅に追いやられていること自体が、「文学史」がいかに「女性作家」の横領の上に成立しているかを暗示する。

試みに「文学史」のテキストを開いて見るが好い。いかに「女性作家」の少ないことか。

彼女の作品はフェミニズムの教科書としても読みうる。

また資本主義批判としても読み得る要素も散りばめられている。

現在では全集も出ているし、文庫化された作品も多い。もっと読まれて然るべき作家の一人だと考えている。

それにしても田村ような「女性」、1世紀近い前のこの社会ではどれほど生きにくかったか、それがよく分かる。

余談
青空文庫に入っていますから、無料で読めます。